社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「改訂 死別 残された人たちを支えるために」C.M.パークス著 桑原治雄、三野喜央訳

2013-07-08 13:09:41 | 医学
著者は精神科医であり、ボウルヴイの弟子でもある。
自身がおこなった調査結果をもとに、死別を体験したことで生じる様々な症状について、具体的に紹介している。

引用
・悲嘆とは、死別の後に始まり徐々に消えゆくといった一連のまとまった症状群でもない。互いに混じり合い置き換わる臨床像の連続体なのである。
・悲嘆に加えて、死別体験に対する反応全般の決定につねに関わっている二つの要因がある。それはスティグマと愛情剥奪である。
・愛情剥奪とはかけがえのない人との対人関係が存在しなくなることを意味し、その人の死自体とは全く違うものである。
・悲嘆の苦痛発作は、死別体験のあと、数時間から数日後に始まり、通常は、その苦痛のピークに5日から2週間までに到達する。
・悲嘆の心痛の間に、生活は通常通り行われているように見えるだろうが、実際にはそう感じられない。食欲や通常の仕事への興味はひどく渇望してしまい、日常生活は意欲ではなく習慣で行われる。


孫引きされることの多い本書は、死別によって苦しんでいる人に対する援助について、とても丁寧に解説されている。

死別後に、一見普通に生活をしている人も、それは意欲ではなく習慣で行われているという部分には、とても納得させられた。
と同時に、習慣をこなすことによって、新しい生活へのリズムの再構築を進めることにもつながるであろうと感じた。

死別―遺された人たちを支えるために
クリエーター情報なし
メディカ出版
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