社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「人工呼吸器非装着の筋萎縮性側索硬化症患者と家族の病の経験と生活」『社会福祉学第53巻第4号

2013-03-12 12:51:15 | 社会福祉学
副題:生活構造論・生活の資源の枠組みを用いて

田中恵美子、土屋葉、平野優子、大生定義

ALSを発症し、人工呼吸器の装着を選択しなかった患者と家族の病の経験と生活について、遺族への聞き取り調査を実施。人工呼吸器を装着した患者、家族のそれと比較しながら、読み解いている。
人工呼吸器の装着の是非ではなく、おのおのが選択に至った道筋と選択後の生活の有り様を丁寧に読み解いている。

引用
・社会サービス利用に対する抵抗感は、患者、介護者ともに[非装着]、特に男性にみられた。
・(インタビュー内容より)「実際に呼吸器つけている人に会ってみて、僕は、それまで呼吸器はつけるべきだと思ってたんですけど、実際本人に会ってみて呼吸器つけるのがいいことなのか、分からなくなった」
・呼吸器の装着、非装着という生活戦略の違いは、生死を分かつ重大な違いだが、どちらも呼吸筋麻痺というある状況に対し選択されたひとつの生活戦略にすぎないのである。


呼吸器装着をしたから、病気を受け止めている/非装着だから受け止めていない…と私はどこかで思っていたが、本論文を読み、そうでないことが分かった。
装着の選択に際しては、患者本人と家族の、もともとの思想が深く関わっていると説いている。至極同然のことであるが、援助者は、「介護力があるか」「経済状況はどうか」でその選択を左右していると思いがちではないか?自分の反省も含めて、そう思った。

そして、確定診断がつくまでの専門医へのアクセス、人工呼吸器装着についての情報提供等、援助者サイドの力量によって大きく左右されていることが明らかになっている。そしてまた、マスコミによる情報提供は、否定的な印象を受けていることが明らかになった。どういう手段で情報を管理し、そして提供していくのか、検討が必要でる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする