『家族心理学研究』第32巻 第2号
夫(妻)をがんで亡くした配偶者を対象に、インタビュー調査を実施。
その結果を踏まえ、がん闘病中の夫(妻)を抱える配偶者を支援する際の視点を考察している。
引用
・がん闘病中の夫婦の間には、互いに察したり配慮したりするが故に齟齬が生じてしまうという、周囲からは捉えにくい複雑なコミュニケーションが存在していることが示唆された。
・配偶者は、自分自身が夫(妻)のがんを受け入れることと同時に、夫(妻)のがんの体験過程を理解しようとしており、二重の過程があると言える。
いまや、2人に1人ががんに罹患する可能性があると言われている。
身近になりつつありながらも、治療方針や予後については多岐にわたり、考えることや決めることが多すぎることは、言うまでもない。
本論文では夫婦であるがゆえに、踏み込めないこと、聞きそびれてしまうことが、インタビュー調査の「声」によって綴られている。
「日ごろからコミュニケーションが良好であれば、言い残しや伝え残しがない。」ということにはならない。
そんな切ない声を本論文では丁寧に取り上げ、考察されていた。