社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「自治体の保健師に求められるジェネラリストとしての専門性-チームで対応した事例による考察-」崎村詩織(2018)

2023-05-28 12:57:31 | 看護学

『保健医療科学』2018 Vo.l67 No.4

 

保健師の専門性のひとつとして、ジェネラリストとしての側面があるということを事例を通して考察している。

活動実態が見えにくい、自治体の保健師の活動について、分かりやすく紹介している。

 *管理人 注:ジェネラリストとは?幅広い知識を持つ人のこと。

 

引用

・保健師が事例のケースマネージャーを担った理由を考察すると、保健師は公務員かつ専門職という立場であるため、事例および関係機関から、

 高い信頼性を得られたためではないかと考える。

・保健師は直接支援(個別ケースワーク)において、各分野に精通すると同時に、事例のケースマネージャーとして、医学的かつ予防的な側面か

 ら事例をアセスメントし、事例の問題解決のために、当事者・関係者にとっての最適な状況を見つけ、解決をリードする、つまり、ジェネラリ

 ストとしてのマネジメント能力が求められていると考える。

 

 問題が複雑化し、支援機関が多岐にわたるケースについては、「責任の所在」が見え隠れする。

本論文では、その責任の所在を自治体の保健師さんが受けてくれている、そのように感じた。

でもそれは保健師さんだからなのか?行政の人だからか?このあたりはとてもデリケートで、保健師という資格でなくとも、

精神保健福祉士や社会福祉士であっても、行政の人であれば対応できる部分なのでは?という疑問が拭えない。

保健師さんとしての専門的知見…「医学的かつ予防的な側面から事例をアセスメントする」という部分をもっともっと掘り下げてもらえれば、

他職種からの理解が深まるのではないかと感じた。

 

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「地域包括支援センター保健師の専門性に関する研究ーテキストマイニング分析を用いた内容分析からー」古賀佳代子、他(2020)

2023-05-24 19:53:11 | 看護学

『日農医誌 68巻5号 2020.1』

地域包括支援保健師の専門性を明らかにするため、半構成的面接法を用いて調査している。

 

引用

・地域包括には3つの職種が配置されており、保健師は保健医療、社会福祉士はソーシャルワーク、主任介護支援専門員はケアマネジメント等、

 専門性を発揮することが期待されている。

・今回のインタビューから、住民の生活に入り込み医療的知識を活用しながら予防的に関わり、包括的に保健指導を行うことが求められていた。

・(調査結果から)地域包括保健師の専門性として、「相談を受け、関係性を大事にし。判断する能力」、「認知症高齢者や精神疾患、医学的知

  識、在宅生活を知ることが必要」、「介護予防事業の支援」、「保健師が訪問やサロンに行って皆と一緒に活動」「地域で包括的に保健指導

  等の活動が求められる仕事」の5クラスターが抽出された。

 

 私の勤務している地域包括支援センターには、この4月から新卒の保健師さんが在職している。

本研究で抽出された専門性について、新卒で一人職場にいる彼女がどこまで遂行できるのか?というのが率直な感想である。

専門性として抽出された事柄は、他職種である立場から見るととても曖昧で、保健師さんじゃなくてもやっている/できるのでは?という思いを

抱いてしまう。

「地域で包括的に保健指導等の活動が求められる仕事」がもう少し具体的に表現され、職能教育に応用されれば、

新卒の保健師さんも自信をもって地域で活動できるのではないかと思う。

 

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