副題:介護療養病床をなぜ潰すのか
吉岡氏:医師、村上氏:元財務省(厚生労働省への出向歴あり)職員による、その問題提起と廃止案可決に至るまでの動きをまとめている。
吉岡氏の章は、話し言葉でつづられているため読みにくい面もあるが、現場の医師が持つ「苦悩」を感じることができる。
・介護療養病床の廃止の結果、約11万人の高齢者が行き場をなくすと予想。
・受け皿の整備として設けた在宅療養支援診療所は約1万か所が登録を申請しているが、実際に24時間体制で稼働しているのは、200クリニックしかない。
・そもそも違う目的で設けられた「医療区分」(3段階)が、介護療養病床をなくすための目安として用いられることになった。この発想そのものが、実情を無視した政策の発端である。
引用
「高齢者医療では、医療とケアを分けることができないということです。生命を支える医療と生活を支えるケアが切り離せない。そうしたケアを毎日ていねいに続けていくことで、状態の増悪や急変を防ぐ、それが介護療養病床が行っていることです」(P.27)
「今の状態をキープするために、ケアをする/受ける」という考え方が、根本から崩されてしまいそうな危機感を抱いた。
「医療区分1」に該当する人が、今後入院対象とならないのであれば、自宅で介護体制をとれない人は、何らかの医療処置(IVHや胃ろう、人工呼吸器など)をあえて行い、そして入院するほかないのだろうか。
「家で看取る/看取られる」というのは選択肢の一つとして保障すべきことであり、国が強制するものではない。
このままだと病院でも在宅でも、その体制が十分に整備されないまま、「延命治療」の技術が悪い方向で活用されかねない。
「受けたいケアを受けたい場所で保障される」…こういった考え方は、通用しなくなっていくのだろうか。
吉岡氏:医師、村上氏:元財務省(厚生労働省への出向歴あり)職員による、その問題提起と廃止案可決に至るまでの動きをまとめている。
吉岡氏の章は、話し言葉でつづられているため読みにくい面もあるが、現場の医師が持つ「苦悩」を感じることができる。
・介護療養病床の廃止の結果、約11万人の高齢者が行き場をなくすと予想。
・受け皿の整備として設けた在宅療養支援診療所は約1万か所が登録を申請しているが、実際に24時間体制で稼働しているのは、200クリニックしかない。
・そもそも違う目的で設けられた「医療区分」(3段階)が、介護療養病床をなくすための目安として用いられることになった。この発想そのものが、実情を無視した政策の発端である。
引用
「高齢者医療では、医療とケアを分けることができないということです。生命を支える医療と生活を支えるケアが切り離せない。そうしたケアを毎日ていねいに続けていくことで、状態の増悪や急変を防ぐ、それが介護療養病床が行っていることです」(P.27)
「今の状態をキープするために、ケアをする/受ける」という考え方が、根本から崩されてしまいそうな危機感を抱いた。
「医療区分1」に該当する人が、今後入院対象とならないのであれば、自宅で介護体制をとれない人は、何らかの医療処置(IVHや胃ろう、人工呼吸器など)をあえて行い、そして入院するほかないのだろうか。
「家で看取る/看取られる」というのは選択肢の一つとして保障すべきことであり、国が強制するものではない。
このままだと病院でも在宅でも、その体制が十分に整備されないまま、「延命治療」の技術が悪い方向で活用されかねない。
「受けたいケアを受けたい場所で保障される」…こういった考え方は、通用しなくなっていくのだろうか。
考えていることはいままでの社会制度が機能しなくなっているということではないかと思います。
高齢者がこれだけ人口に占めそれにつれて経済活動など機能しなくなっている。
そのなかで医療の在り方、介護の制度も検討する時期だと思っています。その視点はいままでの経験をそのままではなく本質を見極めることではないかと考えています。
おそらく政府も、押し寄せてくる高齢化の波に対応すべく、色々な政策の転換を試みているのだとは思うのですが…。
著者も指摘しているように、「結果ありきで議論なし」の政策決定が横行しているように思います。
年末から不況の実情があらわになってきています。
その穴埋めとして、福祉に関わる財源が適材適所に使われることを、願うばかりです。