11月10日、中瀬地区人権啓発草の根運動推進会議主催による人権地区懇談会を寺田市民館にて開催しました。
反差別・人権研究所みえの原田朋記さんに
「わたしたちにできること~伊賀市市民意識調査の結果から~」を演題に、ご講演頂きました。
伊賀市が「同和問題をはじめとする人権問題に関する市民意識の実態」を把握するために実施したアンケート調査結果(2014年と2020年)を比較し、差別の実態と意識の変化をわかり易く説明いただきました。
・ 部落差別の現状
~子どもの結婚相手が同和地区出身者とわかれば・・・の問いに対し~
「まったく問題にしない」と「迷いながらも、結局は問題にしない」を合わせると6割を超えていますが、一方では、まだ3割以上の方は「迷いながらも考え直すように」「考えなおすように」との回答があり、2014年度の調査とほとんど変化が見られないという現状です。子どもの結婚相手について、どこで生まれ育ったのかを基準に結婚に反対してしまう意識はどこから来るものでしょうか、同和地区に生まれたということで反対していることに意味を見出せるものは何もありません。
~土地差別について~
住宅を探していて間取りや値段等で気に入った物件を見つけた後、そこが同和地区内にある事が分かった場合、3分の1の人が「いくら条件が良くても買い(借り)たくない」と答えており、2回の調査結果を比較しても改善はありません。また、物件のある小学校内に同和地区があるというだけでも「住めば世間から同和地区の人とみなされてしまうのではないか」とその土地を避けようとする意識は依然と残っています。
・ 障がい者差別の現状
~家主が障がい者であることを理由に入居拒否について~
障がい者であるということを理由に、家主が入居を拒絶することは入居に係る差別です。調査結果では「誰に貸すのかは家主の自由だから断っても人権侵害とはいえない」と考える人が4割もいます。誰もが住み易い、安心した街づくりを実現するためには、入居拒否が起きないように理解を深めていく必要があります。
~子どもの結婚相手が障がい者である場合の態度について~
まったく問題にしないと言う人は1割以下で、9割以上の人が意識の差はあれ「問題有」との回答をしています。
障がい者に対する差別の厳しさが交際や結婚という場面では忌避意識として根強く残っています。
今回の講演は市民アンケート結果に基づき差別問題を取り上げ差別に対する意識、同和問題の現実を改めて知る機会になりました。
こうした講演会やフィールドワークなどを通して差別の根深さを知り、「気づき」「学び」「行動」していかなければなりません。
今回のアンケート結果では「差別は人間として最も恥ずべき行為の一つである」と9割以上の方が回答しており、「差別はいけない」という認識が非常に高くなってきています。
こうした懇談会に、多くの方に参加いただけるようなテーマや環境づくりを進めていきたいと考えています。