マロリーな日日(にちにち)

癒し系ソフト・ボトルメールの作者が、ガツガツ派では見えないゴロゴロ視点で、ビジネスの世界を観察していきます。

なかなか見えてこない、ソニーのがんばりと誠意

2006-11-11 21:46:28 | ソニーとリクルート
世間はPS3に注目していますが、今日はソニーのバッテリーの話です。
過日、ソニーの経営幹部と今回のバッテリー問題について雑談する機会がありました。
1000万個以上のバッテリー回収の結論からも自明なように、トップマネージメント層では、事態をたいへん憂慮しています。そしてそれ以上に、鬼気迫る動きがあります。それは、原因究明活動です。トップサイドでは、二度とこのような事故を絶対に起こさないという人道的な意味での究明だけでなく、エンジニアとしての意地としても優秀な人材を専任で動員しています。

一方で、ビジネスの見地からもこの究明は大変意味のあることで、おそらく今回の究明作業から、ソニーはリチウムイオンバッテリー分野での不動の知識とノウハウを固めるだけでなく、もし、抜本的な究明に成功すれば、これまでリチウムイオンバッテリーを不安視していた業界、例えば自動車業界での導入可能性など、PC以外のマーケットにも影響を及ぼすことが考えられます。

実際、この経営幹部の無念と執念が入り交じった熱い語り口には、聞いているこちらまでが、感銘を受けるほどでした。

ですが・・・、このトップの熱い思いが現場にどれくらい伝わっているかというと・・・残念ながら、全くといっていいほど、ラインの社員には伝わっていない。

リクルートからソニーに転職してすぐ気がついたのはこのことでした。
リクルートではトップの思いや現場の思いは双方に短期間で伝わります。
ですが、ソニーはやはり大企業だからでしょうか、タウンミーティングをCEOがどんなに各地で行っても、今回のようにトップがどれほど本気であっても、トップとラインの見えない壁が断熱し、熱はたまたま間近にいた人にしか伝わらないのです。
ストリンガーCEOは、部署間の壁をサイロと表現し、これを破壊せんとがんばっています。が、私から見ると、人事や組織構成である程度意図的にさわれる部署間の横のサイロと比べると、トップとラインの縦方向に存在するサイロのほうが、やっかいな存在に思います。


ま、ソニーの社内コミュニケーションのあり方には別の機会で改善案を提示したいとは思うのですが、今回はここまで。

で、VAIOのバッテリーに戻ります。
私が愛用しているType-Tのバッテリーは、もろリコール対象機種です。
iBookは対象外だった(残念(^ ^;)

なにかの情報で11/7に交換受付が開始されることを手帳に記載した私は、その日がくるのを待ちました。

当日、ソニースタイルからのDMが届き、その中で、バッテリ交換申し込み手順のURLが記載されていました。私はそのURLをクリックして申し込み方法をざっと読み、そのDMを削除しました。というのは、勤務中だったので、申し込みは夜ゆっくりやろうとおもったことと、URLはメモしなくても、ソニーのトップページに行けば案内があるだろうと思ったからでした。

夜になり、ソニーのトップページ(http://www.sony.co.jp/)へいったものの、そのURL表示はありません。
しかし、トップページにある10/24付けの交換予告案内を見れば、そこから新規に誘導リンクが張られているのかなぁと思いましたが、ここにもない。

ひょっとして、VAIOのユーザ登録した人にしか告知していない!?
・・・というのはいくらなんでも、あり得ないと思い、その日はそこであきらめ、DMの情報は速報版で、ひょっとすると明日には、正式な告知がソニーのトップページで公開されると勝手に期待し、翌日を待ちました。

しかーし、11/8の夕方になっても告知がない。

いや、待てよ、VAIOのトップページは見ていなかったよなと思い立ち、VAIOのトップページ(http://www.vaio.sony.co.jp/)へ。

しかして、交換情報はVAIOのトップページに、最初からあったのでした。

たしかに、アホなのは私だ。
さらによく読むと、10/17のVAIOサイトの予告には、「VAIOホームページにてご案内」とある。

でもね、こんな会社を揺るがすような一大事がなぜ、ソニーのトップページからリンクがされていないのかが不思議に思いませんか?

松下電器(http://panasonic.co.jp/)はいまだに、トップページは<石油暖房機を探しています>の掲示がなされているというのに。

おそらく、バッテリ交換についての掲示については、VAIO事業部と本社広報室で打ち合わせがもたれたけど、「バッテリ交換の掲示はVAIOの話だし、VAIOのサイトだけでいいね」という甘い結論が出たのだと推察されます。

トップは本気でも、現場がこの有様。
そして、この掲示の現場に気がついてないトップ・・・。

しっかりしてよソニー、まだ好きなんだから・・・。


PS
 バッテリを宅急便やさんが、持ち去ると同時に交換してくれるという配慮はすばらしいと思いました。バッテリ待ちの間、VAIOが使えないというのでは困りますからね。
 こんなにすばらしい運用ができたのに、このままでは交換の事実を隠しているとか、本当はユーザ全員に交換してほしくないんだろって、受けとられちゃいますよ。