マロリーな日日(にちにち)

癒し系ソフト・ボトルメールの作者が、ガツガツ派では見えないゴロゴロ視点で、ビジネスの世界を観察していきます。

「合理化」ではなく、「信頼」でコストを下げるビジネス

2009-02-15 23:25:28 | 新規事業
・・・を手がけたいなぁと、考えています。

ちょっと前、ずいぶんとモノの値段が安くなりました。
最初の頃は、その理由はちゃんとありました。
流通をシンプルにし、製造直売のシステムにしたとか、在庫を過剰に持たないようPOSや需要予測システムを改善したとか。

でもだんだんと、コスト削減が至上命題になり、インチキをやりはじめる人々や企業がではじめたという事実は、食品偽装のみならず、昨今の非正規雇用問題まで脈々と連なっている負の連鎖であるような気がしてなりません。

でね、トヨタ式にいえば、まだまだ無駄や改善ポイントはあるとは思うのですが、合理化だけで、商品やサービスのコストや価格を下げるのは、そろそろ限界気味なので、頭を切り換えて、別な方法でコストを下げてみませんか、というご提案。

その1つが、「信頼」というキーワードだと思うのです。

地方をドライブしているとよくみかける無人の農作物販売所がその代表例。
大根やミカン、お米などが袋詰めされていて、どれでも一袋300円とか書いてある。
販売員もいなければ、レジもない。
もし、訪れた客(?)が強盗だったら、農作物は全部盗まれ、あまつさえ、1日の売上の現金すら強奪されてしまうリスクがある。
実際、そういう辛い目に遭った販売所もあるだろうし、店を閉じた例もあるかもしれない。

しかし、もし農家の人が、客に対する信頼をなくしたとき、この販売システムはどうなるだろうか?
おそらく、自動販売機のような機械に農作物が収納され、客はその機械に対価を投入するような仕組になるに違いない。
そして防犯カメラも動いているし、セコムにも加入しているかもしれない。
で、これらのコストはすべて商品に反映され、これまで300円で売られていたものが、1,000円で売られてしまう可能性が十分にあるわけです。

で、これを逆に考えたいのです。
今は、1,000円で売っているけれど、商品・サービスの提供者が、顧客・購入者とある信頼関係にあれば、300円でも提供が可能であり、十分モトがとれるという信頼経済システムが構築できれば素敵だなと。

もう1つ、参考になるがグリコの置き菓子事業。
オフィスによく置いてあるBOXで、中には100円均一でお菓子が入っている。
で、それを食べたい従業員は、隣の貯金箱のようなレジに100円を入れて、お菓子を持って行くという仕組み。
これは、まさに信頼が生み出すルーズオペレーションで、自販機を設置することに比べれば、無駄な機械も電気も不要という点で素晴らしい。しかも売上30億円也。

信頼の輪、信頼によるコスト削減ビジネス、こういう時代にこそ、ぜひ広げていきたいですね!

リクナビに頼らない就活

2009-02-11 22:18:23 | 閑話
昨年、南米旅行から帰ってきた学生さんと話していたら、「リクナビに頼らない就活」という言葉が出てきた。
この学生さんは建築系の院生で、ぼくもカリキュラムを担当している、新事業提案コンテストで優勝した経歴を持つ、なかなか骨のある学生さんなのです。

で、ところでなんで南米なの、という問いかけから、ぼくたちの会話は始まった。
プライベートな話なので、ちょっとはしょってこんなところ。

南米を数ヶ月間旅行したのは、日本に住む南米の友人のアドバイス。
その前は、ずっとシューカツで半分ウツ状態だった。
建築専攻なので、建築関係のデベロッパーや企業を対象にごくごくフツーにシューカツをしていた。
しかし、内定がなかなか得られなかった。で、ウツ状態になった。

南米ではホテルではなく、現地で知り合った友だちの家々を渡り歩いた。
みんな決してお金持ちではなかったけれど、自分のやりたい仕事をしていたり、スモールビジネスで雇われない生き方をしている人も多かった。
ふと、自分のシューカツを振り返るに、建築専攻なので、××社はまぁ当然エントリーするべきだろうと熟慮なく選択し、リクナビの情報をみて、企業のウェブサイトを見て、その企業のリアルを何も知らないくせに、情報だけで、選んでいた。
これでは落ちるのも当然だと納得できた。来年は留年し、再度、シューカツをしたい。
次は、自分の気持ちに正直に会社を選び、実際、そこで働く機会を自ら創ったり、営業にいったりして、自分の目で職場を確かめたい。それで納得したら、そこの会社で働きたいと自信を持って、人事の人に気持ちを伝えたい。
なので、来年は、リクナビに頼らない就活をしようと思う。

・・・というのがこの学生さんの来期のシューカツにおける所信表明だった。

この学生さんはいま、ぼくの友人の広告映像制作会社でバイトをし、そこを拠点に「働くということ」を体感し、取引先の会社に鋭い視線を投げかけ、運命の会社・仕事かどうか見極めている最中だ。

学生さんの自己分析は、建築という分野ではなく、広告の制作現場のほうが自分の趣向にあっているうえ、実は、これまで学んできたことも役立てそうという仮説だったので、今の仕事の周囲には相性がよさそうな企業がたくさん存在しているというわけなのである。

こういう小さな制作プロダクションは、採用数も若干名とか、経験者でいい人がいれば採るというところがほとんどなので、まずリクナビには出稿しない。
でも、伸びる企業は、どこの企業でもいえることなのですが、いい人だったら明確な採用予定がなくても一人ぐらいは採っちゃうモノです。

大田区の町工場でもこんな実話があります。
ある工業高校に、町工場の社長さんが講演に来た。
その社長さんの話というよりは、たぶんその社長が乗っていたフェラーリに感動して、ある高校生は、その町工場に入りたいと熱望した。
担当の先生が、その町工場に問い合わせると、残念ながら、新規採用はないと断られたそうです。
しかし、それを聞いた当の高校生はあきらめがつかない。
直接、町工場に出向き、自分を採用するよう、社長に直談判をしたそうです。
その行動力に感動した社長は、その高校生をその場で採用したそうです。めでたし、めでたし・・・。


リクルートはその昔、求人情報を世の中に解放して、自由に仕事を選べるという素晴らしい社会を実現したし、元社員としてもそれを今でも誇りに思っています。
でもね、現在の情報量爆発とITの時代に、いつの間にか、キモくなったシューカツに対して、このままで良かったんだっけ、と振り返ってみるのは、やはり業界最大手の役目だと思うのですよ。
だいたいこの時期ぐらいから、毎年、顔色の悪い、似合わないスーツを着た若者が目だち始めるけれど、100社にエントリーして、50社の企業説明会に実際に赴く時代では、そりゃぁ、勉強どころではなくなってしまうだろうし、ウツにもなるというもの。
不健康すぎ。


そして、一方のシューカツ中の学生さんもこのことだけは頭に入れておいたほうがいいですよ。
リクナビに載っているだけの会社だけが、良い会社ではないし、世の中すべての会社ではありません。
もっと、自分の目と足と頭を使ってまわりの素敵な会社や、なによりも仕事そのものを見つけてください。

ネットショッピングで何時間もあくせくと安い探していたけど、ふと覗いた近所の店のほうが激安だったなんていうことはありませんか?

世界はもっと広くて、豊かなところだと思うのです。

余談ですが、シューカツは結婚と似ているんですよ。
現在のシューカツがキモいのは・・・
 ・相手を主にスペック(従業員数や売上高)で選り分ける
 ・相手とせいぜい1時間ぐらいしか話したことがない
 ・年に1回、全国一斉に結論を出さなければいけない

これが、もし結婚だったら、カルト集団そのものだよね・・・。

結婚の場合、世界中の異性とつきあったわけでもないのに、ほとんどの人は運命の相手をそこそこ見つけているわけです。
もし、人類のほとんどが、ネットのお見合いサービスに登録するような時代が来たりすると、データベースの前で首っ引きになって検索ばかりして、寿命がつきちゃう人もでてくるんじゃないですかね。

就職も、結婚も、最後は「覚悟」です。

この相手なら幸せになれる、じゃなくて、幸せになってみせる。
そういう覚悟が世の中では必要なんです。

シューカツ学生さま、ゆめゆめ空虚な情報に溺れることがなきように・・・。