マロリーな日日(にちにち)

癒し系ソフト・ボトルメールの作者が、ガツガツ派では見えないゴロゴロ視点で、ビジネスの世界を観察していきます。

深呼吸する言葉

2008-08-27 19:32:39 | ヒト
先日、大先輩である橘川幸夫さんと10年ぶりにお会いする。
相変わらず、情熱と企画とネットワークで前へ前へと進まれておられ、大いに刺激を受けました。

橘川さんの取り組まれているプロジェクトの1つに、「深呼吸する言葉」がある。
108人のブロガーで、100文字以内のメッセージを毎日投稿しようよ、というもの。

以前、高校生がケータイカメラで撮った写真に、俳句を添えてメールで投稿する、というイベントをTVで見かけたことがある。わー、素敵じゃんと思う反面、俳句という制限はまだまだ敷居が高いなぁと感じたことを思い出した。

でも、「深呼吸する言葉」には、100文字という制限のみ。
ほんとうにメッセージだけをシャウトするにはもってこいのサイズと自由さである。

なんでも、日本語のブログは、世界で一番多いそうだが、kizasiを見ても分かるとおり、ほとんどが、TV番組や新聞のニュースの<エコー>に過ぎないんですよね。
でもかといって、ジャーナリスティックな投稿や、論文のようなクオリティを持つ記事をしょっちゅう、アップできるような人はほんとうに少ないわけで、ぼくたちもそういうエスタブリッシュなブログだけを見たいわけでもない。

「深呼吸する言葉」の活動は、とくに読む側に優しく、濃い短文は一撃で脳みその溝にたたき込まれるし、10人分でも、10日分でも一気に読める、何度でも読める。これがいい。
ようやく日本的感性が、輸入物のブログというシステムを本質的に飲み込む瞬間が来そうな気配だ。


・・・で終わらない。


帰り道、自分もなにか言葉にしようと考える。
よし、最近また経験している<通勤>をテーマに・・・。

・車内で化粧をしている女性に美人はいない
・エレベータが閉じる瞬間に駆け込んできたヤツが、一番最初に降りる

・・・つーか、これじゃ、マーフィーの法則じゃん!!
われながら才能ナシ。
しかも、念のためググったところ、化粧の方は同じような内容がすでにあるし・・・。


実は、橘川さんからは、もう1つのプロジェクトの企画概要を伺う。
これがすごい。目からウロコ。間違いなく世界を素敵な方向に変える。
アイデアにこんなに感動したのはほんとうに久しぶりでした。

「深呼吸する言葉」の一部が本になっていますので、最後に紹介。


ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。
きつかわゆきお
バジリコ

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トホホな事業プラン #02・あまりにもちっこい事業案

2008-08-25 21:21:01 | 新規事業
さきのエントリー、「トホホな事業プラン #01・自分が楽しんでいない事業案」で、企画立案者の意思・意欲が大事なことを話した。
すると、「わかりました、永井さん! ボクがやりたい企画はズバリ、これです!!」と見せてくれるのだが、どーも、イマイチ・・・。
カフェをやりたいとか、アナログレコードのプレスをやりたいとか、妙にこぢんまりしている。
収支を見ると、(営業利益ではなくて)年商が400万円とか(^ ^;
毎月の売上が30万円ぐらいで、どーやって生きていくの!?

そのことを指摘すると、彼らはこう憤慨する。
「小さいビジネスのどこがいけないんですか! 売上が大きい事業のほうが価値があるとでもいうんですか? 小さくても世の中のためになる事業だってあるはずです!!」

いえいえ、私がいいたいのは、もっと野心をもって、企画をでっかくしようよ、ということなのです。
そのために、このレベルで落ち着かないで、もっと考えようよ、と。
もっと考えると、もっといいアイデアが出て、そのサービスをもっと喜ぶ人や仲間が自然と増えて、ビジネス自体ももっと大きくなるはずなのです。

学生の起業論での授業なら、単なるカフェ経営のA to Zを教えるつもりもないし、
企業の新規事業なら、もっと組織力や資本を生かして、リスクもあるけどチャレンジャブルな企画推進をお手伝いするのが私の仕事だ。

脱サラをしたい、週末起業をしたい、リタイア後の生き甲斐に、ということであれば、それはまた話は別だ。
そういう場合には、「企画書にダラダラ時間をかけていないで、さっさと実現しちゃいなさい!」とエールを送ることにしている。

このトホホ講演を行ったとき、ある女性から嬉しいお言葉をいただいた。
「目からウロコが落ちました。今まで企画書を眺め眺めしていましたが、明日から早速××屋を始めます!」

成功を祈念しております!

トホホな事業プラン #01・自分が楽しんでいない事業案

2008-08-22 23:31:34 | 新規事業
学生の事業案審査の時、ある審査員がプレゼンを終えた学生くんに尋ねた。
「で、君ならこのサービスをお金を出して使いますか?」

学生くんは答えた。
「う~ん、たぶん使いません・・・」

ま、大学の「授業」の一環で、きわめて限られた時間内に一定要件を満たす事業立案+プレゼンなので、仕方のない面もあるだろう。
でも、もし、メンバー全員が心からワクワクするようなアイデアをブラッシュアップするような時間を過ごせたら、学ぶモノはもっと何百倍にも濃密になったろうにと思うと残念でならない。

一方で、社会人の場合、SWOT分析など王道なアプローチをしっかりととり、自社のアセット(得意な技術領域とか、全国の法人営業網など)を利用することにより、新規事業の成功確率向上や、立ち上げのリアリティを感じさせる一見良い企画がでてくる場合が多い。

しかし、こう尋ねてみよう。
「この事業案、あなたがこれから10年かけて本気で立ち上げていくつもりはある?」

残念ながらほとんど人はこう答える。
「事業案に自信はありますが、考えるコトと立ち上げるコトはまた別問題です。そもそも、会社が成功することを第一に考えた新規事業案なので、私がやりたいかやりたくないかという話は、とくに関係はないと思うのですが・・・」

たしかに一理ある考え方かもしれませんが、このように推進力、責任の所在があいまいなまま進むと、自治体の不良プロジェクトと同様の不幸な結果しか待っていません。

会社の新規事業の場合、一般的に、その企業の理念、事業ドメインに制限を受けたりするわけですが、それでも進むべき選択肢は無限にあるといっても過言ではないでしょう。

であれば、<会社の進むべきベクトル、勝てるベクトル>だけに企画が引きずられるのではなく、自分が心の底から<やりたいと思うベクトル>をなるべく近づけてみるということは、企画立案者にとってはとても自然なことだと思うのです。

企画立案者の<情熱・魂がこもる>という表現では、ただの根性論になってしまうかもしれませんが、そういう企画は立案者が誰よりも、エンドユーザの感覚に近く、白書を読んだりアンケートをしなくてもマーケットを肌感覚で知っている場合が多いです。<自分マーケティング>であれば、ブレは少ないというわけです。

リクルート社ではこういった状況をフィルタリングする端的な行動規範が存在します。
「言い出しっぺが、やる。」


これでいいのだ。(バカボンパパ)

トホホな事業プラン #00

2008-08-21 22:59:05 | 新規事業
仕事柄、新規事業立案を専門としていない学生くんや、企業の一般社員の方々の事業プランの改善や評価を頼まれることが多いのですが、「ああ、また同じ勘違いをしてるなぁ」といったデジャヴをしばしば体験します。

一方で、新規事業の企画はこうしろだの、企画書やプレゼンはああしろといったレクチャー本も多いのですが、初心者にとっては、どうすべきといったアドバイスよりも、こういう失敗をしがちだから気をつけたほうがイイよ、といった事例を示してあげる方が、学習効果が高いような気がするのです。

実際、そんな事例をキリの良いところで10個にまとめ、「トホホな事業プラン10連発レビュー」という講演を5ヶ所ほどで行ったところ、意外なほど評判が良かった。

また、この講義を受けた大学生のビジネスプランは、少なくともボクという審査員から見ると明らかに好印象に仕上がっていたりもした。

ということで、まったく体系だってはいないのだが、つらつらと書きつづってみたいと思う。
内容は先の講演と重なっていたり、いなかったりとアバウトです。

それでは、はじまり、はじまりー。(トホホな事業プラン #01に続く)

hantalk、ついにソフトバンク対応と、意外なケータイマーケティング

2008-08-11 23:35:52 | 新規事業
auケータイで韓国語のメールができるhantalk(ハントーク)をリリースして10ヶ月、ついにソフトバンクケータイ44機種にも対応の運びとなりました。

ケータイ韓国語メーラーはこれまでも存在はしていたのですが、入力の仕方がビミョーに独自方式だったり、ウェブメールのため受信簿・送信簿の閲覧にパケ代が発生したり、ネットのつながらないところでは閲覧もできないという状況だったのでした。

また、hantalkは韓国語メール唯一のケータイキャリアさんのオフィシャルコンテンツでして、これでユーザさんも安心して利用できるというわけです。(知らない会社にクレジットカード番号を教えるのは嫌ですものね)

ネットのおしゃべりを検索してみると、結構、ハングルケータイメールにみなさんお困りのようで、少なくともau・ソフトバンクユーザさんであれば、hantalkのご利用で無問題となります。

これで年末に予定しているドコモ対応が完了すれば、大々的にキャンペーンもはれるようになれるかなぁと。

hantalkの具体的な利用方法、サービス価格は、公式サイトに譲るとして、本日は、意外なマーケティングの話を。

hantalkはさきほどお話ししたように、au→ソフトバンク→ドコモの順に対応することになりました。
問題です。なぜ、一番メジャーなドコモ対応が最後なのでしょうか?

実は、hantalkを企画中の2005年当時、一番訴求するユーザは韓国人留学生になるだろということで、彼らの利用しているケータイの調査を行ったのです。結果、89%もの韓国人留学生がauを利用していたのです!
数字、間違っていません、89%。
えっ、と思いますよね。
さて、なんで韓国人留学生はこんなにauばっかりだったのでしょう?
答えは、「学割」サービスがあったからです。

いまでこそ、基本料いきなり半額なんていうのは、どのキャリアでも当たり前のこととなってしまったのですが、当時は、基本料に加え、通話料も半額という「学割」は、学生にとって圧倒的に価格的アドバンテージがあったのでした。MNPすらなかった当時ですから、とくに新規契約となる留学生にとっては、auでの契約は当たり前で、ケータイ端末によほどこだわりたい、あるいは海外ローミングを気にする留学生はわずか15%だったわけです。

で、われわれはauの開発に着手するのですが、これが難航。
そうこうしているうちに、ボーダフォンがソフトバンクになり(2006年5月)、価格競争が激化。
すっかり「学割」のメリットがなくなったところに、ホワイトプラン(2007年1月)が登場し、ソフトバンク通話間無料(1-21時)のインパクトもあって、価格に敏感な留学生の新規契約が一気にソフトバンクに流れ込んだのですよ。通話先も留学生仲間がほとんどですし。

印象値ですが、現在の韓国人留学生シェアは、au:SoftBank=5:5。
これはあくまでも契約ベースで、古参の元留学生(現在は日本で働いている)ような人は、いまだに慣れ親しんだauのままですが、新規契約のほとんどはソフトバンクという状況。このままだといずれ、ソフトバンクがauのシェアを圧倒的に抜きさるのも近い、という状況なのです。

ベンチャーはフットワーク自体は元来良い方なのですが、いかんせん、金がないものですから、このようなパワーシフトが起きているのを横目で見ながら、auとソフトバンクの2ラインで開発体制を持つこともかなわず、遅ればせながら、ソフトバンク対応にこぎ着けたわけです。

やれやれ(^ ^;

ところが、どっこい。安心するのはまだ早い。
韓国人留学生を対象にしたキャリアシェアは前述の通り、ドコモさんは蚊帳の外。
実は、当初、留学生にフォーカスしていたhantalkなのですが、登録状況を見ると、なんと8割が日本人。
ってことは、やっぱりドコモ対応は必須じゃん、ということになったのでした。

再起動

2008-08-08 07:24:35 | 儲かる製造業
おお、14ヶ月ぶりのblog再開。(我ながらズボらぶりに感動)
みなさま、ご無沙汰しておりました。
早速ですが、まずは言い訳から・・・。

実は、昨年より本を執筆中でして、その原稿がやっと納品直前段階まで来たのです。それまでは、blogを書いたりするとですね、なんだかK編集者から「blogを書く暇があったら、肝心の本の方をよろしくお願いします」なんてお叱りをいただきそうな妄想がわいてきて、なんだか、ずるずると書く機会を失っていたという状況なのでした。

それにしても書くという作業は苦痛以外のなにものでもないですね。自分は文書を書くのが好きだと思っていましたが、完全に間違っていました。反省。原稿はいまだに仕上がっていないというのに、その間、同内容の講演は3回もしているという現実・・・。プレゼンの方が性格にあっていることがよくわかりました。

で、その本ですが、タイトルや発売日はまだ決まっていません。内容は直前の記事とも関連がありまして、町工場、とくに、製造ベンチャーについてのビジネスモデルや成功要因を取材・分析したものです。対象読者としては、IT素養があり、成長意欲の高い若者。ま、製造ベンチャーやろうぜ、的な内容です。
えっ、製造業ってベンチャーできるの??と思うでしょ。そりゃぁ、一足飛びに、いまのソニーやトヨタというわけにはいきませんが、日本にはたくさん町工場があるわけです。で、実はとてつもないビジネスパラダイムの地殻変動が起きていまして、若くて情熱溢れる人たちがばっちり利益を出しているんですよねー。
と、まぁ、詳しくは出版後にまたご報告。

最後に、個人的にはすごく気に入っているのですが、K編集者からボツ出しをくらったタイトル案を1つ紹介。

「セカンドインパクト ~ネット黎明期のベンチャーはほんとラッキーだったよなぁと、地団駄踏んでいる、10年前は小・中学生だった若者へ贈る、製造ベンチャーというまたとないチャンス」

このクドいところがいいと思いません?

てなわけで、再開の挨拶に代えさせていただきたいと思います。