都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

昨年読んだ本

2022-01-02 02:30:36 | 趣味

 昨年は480冊、コロナ禍でこもっていたため多め。御宿かわせみを全部読むなど、時代ものが多くなったのは加齢のためか

 

・マクロ経済では

バブルの経済理論 櫻川昌哉        

低金利 g>rはバブルの要因、地価と国債(政府債務)の合計がバブルの原因の余剰資金とした代替仮説から、経済の贈与化(政府債務の肩代わり)と金融の劣化が今後の長期停滞を招く

 

実力も運のうち 能力主義は正義か?              マイケル・サンデル     

教育格差の観点は面白いが、マクロ経済の変化をとらえていない、労働の尊厳が結論だが具体的でない、コミュニタリアンはどうするのか

 

・色街・風俗関係は出物が多く良かった

長崎丸山遊郭      赤瀬浩  

長崎出島が産業となり、唐人、オランダ人の寂しさ相手と日本人相手の娼家丸山遊郭、一般遊郭の仕組みも著述しマクロ的な観点と経済、犯罪、遊女の位置付けと嫁入りまで

 

売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ        高木瑞穂             

産業としての売春、R(リベート)で島中が利益授与、漁業組合の利権と橋がなく渡船、秘境が災いしバブル後は競合風俗に負ける、ホテルの収益性は低く料理の目玉もない

 

夢幻の街              石井光太             

歌舞伎町のホストクラブの歴史、芯となる「愛グループ」と、スター・ホストの経歴、時代背景と経営の変化、風俗嬢から援交への客層変化、ヤクザとの係り、歌舞伎町浄化

 

ルポ新大久保      室橋祐和             

新大久保の人種、融合の手段、コミュニティ、教育、宗教を土台に、時代変遷、韓国ブームなど実体験から生々しく描く、吉阪隆正への言及がないのが惜しい

 

新ジャポニズム産業史1945-2020 PURE INVENTION How Japan Made the Modern World     マット・アルト  

ブリキの玩具、アニメ、カラオケ、ハローキティ、ウォークマン、女子高生、オタク、ファミコン&ゲームボーイ、2ちゃんねる サラリーマンは日本独自、ゲームセンター規制がファミコンブームを呼ぶ、ポケモンは旅と友達、キャラクターは田舎の生き物体験から、禅の鈴木大拙を嚆矢に日本文化は発信される、ガンダムなどは暗さが人気と分かった

 

・産業・宗教・文化の分析は役にたつ

サラ金の歴史      小島傭平             

歴史、社会との整合、金主としての銀行、与信のチェックと拡大、データベースと店舗拡大、上限金利の低下とグレー金利の撤廃と払戻、闇金やクレジット・カードとの関係など39歳でよく調査した、グラフを全期間にまとめておくと更に良い

 

新宗教を問う      島薗進  

新宗教の区分、現世主義の救済宗教、神道系と法華系の区分、江戸、明治、40年、70年が区切り、カルトは新新宗教と碩学の分析は明解、文章も流石

 

出版と権力 講談社と野間家の110年 魚住昭      

清治の教育関係と少年活用の家族経営の講談から中学に行かなくても偉くなれる「修養主義」に、大正期は「面白くてためになる」「世のため人のため」から、陸軍鈴木庫三中佐との関わりでの事業拡大、敗戦後の省一の社長復帰と総合出版社への成長、読みごたえがある、どりこの も敗戦に配給と載っている

 

絶景、パリ万国博覧会 サン・シモンの鉄の夢        鹿島茂  

サン=シモン一派とパリ博覧会、ナポレオン三世のパリ改造(オースマン)など独裁との関係、ロンドン博への嫉妬と銀行・鉄道・教育の必要性、アミューズメントへの転換とパリの観光都市化

 

・最近、時代ものが面白い

魂手形 三島屋変調百物語七之続  宮部みゆき         

シリーズものだが内容が上手くなった、ほのぼのとして薄暗い雰囲気と人情、これからが楽しみ

 

妹背山婦女庭訓 波模様    大島真寿美         

浄瑠璃の持つ性と残された人々の変化する人生とお互いの助け、実を結ぶには長い育成期間、旦那芸からの発展など人間と芸能の関わり描写と哀しさが見事

 

・社会派ミステリに新境地が多い

白医       下村敦史             

安楽死について本人、家族、医者、社会の観点から3件の裁判と、医者の気づき、主人公の提案と自身の問題について展開、重いが考えさせられるヒント、生、健康、死を考える

 

トリカゴ              辻堂ゆめ             

無戸籍集団生活のユートピア事件を追う蒲田署の森脇女刑事と25年前の鳥籠時間事件を追う本庁の羽山刑事、保険金殺人が絡む身代わり殺人を解明、都議の支援で行政対応も、安堵する結末

 

・名手のミステリは楽しめる

少年と犬              馳星周  

小編の連作、最後に仙台で震災にあいトラウマの少年と犬が再開、熊本で再度の震災での犬の献身が見事、旅の経過の悲惨さと対比

 

検事の信義          柚月裕子            

人情に溢れる事件解決の佐川検事、しんみりとさせる連作

 

機龍警察 白骨街道          月村了衛             

ミャンマーの国軍内紛とロヒンギャ、日本にいる<敵>は京都にある会社で情報戦に負ける、これからの機龍警察の取り組みが楽しみ

 

・翻訳のミステリは少な目、最近は北欧ものやサイコに食傷気味

たとえ天が落ちようとも  アレン・エスケンス         

法学教授が知人弁護士の殺人容疑を弁護するリーガル・ミステリに、友人刑事の妻のひき逃げ事件がからむ、二転三転の真相と悲しみ

 

自由研究には向かない殺人             ホリー・ジャクソン         

イギリス、グラマースクール最上級生のビッパは自由研究の題材に5年前の自殺と行方不明を取り上げる、失踪者の花形と麻薬の両面や、二股年上男が浮上し、地図や相関図で考えて、二人の犯人を解明、冤罪を晴らす

 

ブラックサマーの殺人      M・W・グレイヴン         

亡くなった娘が出現、同じDNAを持ち、冤罪となったサイコパス・シェフが保釈になる、ポー部長刑事がコンピューターの天才とバディで仕掛けを解明、楽しい

 

 エクセルにまとめだしてから24年となり累計8千冊、ぼちぼち進める


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