坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ドガの「14歳の小さな踊り子」

2010年07月26日 | 展覧会
つんとすましたような表情で頭を少し上にあげ手を後ろに組んだ踊り子像。ルノワールのような少女像の可愛さとは違いますが、見ていて飽きない魅力があります。彫像に実際にバレリーナのチュチュを着せたドガ作品として有名ですが、やはり画家らしい視点が生きた珍しい作品です。
9月18日から開催される「ドガ展」の目玉の作品の1点です。高さは100センチ足らず、ブロンズ仕上げで、1881年第5回「印象派」展に出品されました。ドガが生前に発表した唯一の彫刻作品です。
しかし没後のアトリエからは150点ほどの粘土や蝋による彫刻の小品が発見され、そのうちの約半数が鋳造されました。それらは絶妙なバランスをとる一瞬の踊り子の動きをとらえたもので彫刻家としてのドガの卓越した技量を示すものでした。

●ドガ展
 横浜美術館/9月18日~12月31日

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