坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

オディロン・ルドン 夢の起源

2013年03月24日 | 展覧会
19世紀後半から20世紀にかけて活躍したフランスの画家、オデシロン・ルドン(1840-1916)は、その幻想的世界で日本でもファンの多い画家です。
同時代的には、印象派が活躍した時代でしたが、色彩の革命を起こした印象派においても、描く対象は目に見える風景や社会生活の一部でした。ルドンは、世紀末芸術を予感させるような、目に見えない夢の世界や、ランボーら文学者との接近によって内面の世界へと目を向けていきます。
現代的視点をそこに見出すこともできます。ルドンの特異性に、個性的な題材もありますが、色彩も黒の時代とその後の豊麗な色彩の世界が対照的に浮き彫りにされます。
「蜘蛛」1887年、岐阜県美術館、は黒の時代の代表作ですが、内面や無意識の世界へと接近した眼玉の怪物たちのシリーズと連結する作品で、石版画集「夢のなかで」に収められている作品です。(蜘蛛はこの作品集には収載されていません、訂正してお詫び申し上げます)
本展は、ふるさとボルドーの自然からの発見を原点として、ボルドー美術館と、ならびに国内最大のルドン・コレクションを所蔵する岐阜県美術館の全面協力のもと、油彩、パステルを含む約150点の作品が一堂に展覧されます。

◆オディロン・ルドン 夢の起源/4月20日~6月23日/損保ジャパン東郷青児美術館(西新宿)
☆ルドン研究者である山本敦子さんを迎えて「ルドンにおける科学と自然」をテーマに講演会が開催されます。
 5月18日午後2時~ 場所・同美術館ビルの2F