漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

死んだ詩人の残したものは

2016年03月16日 | はやり歌 文芸 漫画
カラオケで、気持ちよく、
「死んだ男の残したものは」と歌ってたら、
聞いてた若い人が、「いい歌ですね」と言ってくれた。

「うまいですね」と言ったのではなく、歌を誉めてくれたのだが、
自分が誉められたような気になり気分が良かった。

お世辞ではなさそうだったから。

調子に乗って「この歌は作詞がね・・・」と言いかけてやめた。

この歌がヒットしたころは必ず、
「この歌はベトナム反戦の歌で・・・」と紹介され、その肩書が歌に箔をつけた。

処が、時移り、
ベトナム戦争が記憶のかなたに去り、

いまや、「これは反戦歌で」などと言えば、
むしろ、「なんだか時代遅れなことを言ってる」と、思われそうな世となった。

高名な作詞者や作曲家の作である、と言っても、
今の若い人にとっては「へ~そうなんですか」程度のことだろう。

それでも「いい歌」だと思ってくれたのだから、
肩書を知らずに「立派な人ですね」と言われたようなものであろう。

この歌にとって、
これ以上の名誉は無かろう、と思って要らぬ講釈はやめ黙ったのである。

男は別に、戦争でなくったって死ぬのだから。

♪♪
 死んだ男の残したものは 一人の妻と一人の子供
     他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった







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