明源寺ブログ

浄土真宗本願寺派

地域で守る・・・③

2013-05-11 22:47:13 | Weblog
この小堂の薬師如来像も、1年に一度のご開帳。ご開帳の日は、「山寺薬師」と同じく5月8日。
地域の方が守る小堂にご安置の「薬師如来様」。地方の仏師の製作と思われますが、素朴ななかにも品のある如来様です。勿論、撮影の許可はいただいての撮影。

地元の方のお話を聞かせていただきました。「昭和40年代までは、麓に出店もでる程の賑わいでした。小学校も当時は、340名程の全校生徒。5月8日は、三薬師巡りといって2限目で放下。子供達は、歩いて山寺薬師を始めとして三薬師にお参りしたものです。でも、今は集落も40戸余り。小学校も廃校となり、バスで子供達も通学。限界集落に近づいています。今後、どのように薬師さんをお守りしていくか先の見えない大きな課題です」との話。棚田が、次々と放棄されていく現実も理解できるのです。

冬は、厳しい豪雪地帯。そんな中で、地域の人々の篤い信仰により守られてきた仏様。でも、その努力も限界に達しようとしている厳しい過疎地域の現実があります。登ってきた参道も、この日に合わせて整備されたとの事。こういう地域の文化に、行政も積極的に目を向けて応援していくのでなければ・・・・でも、その現実は藤原町でも同じ事です。遠くない将来、同じ事が起こる可能性が大なのです。
鎌倉時代に、突然滅亡したとされる山寺三千坊。薬師信仰ですから、天台系の仏教が栄えていた筈です。しかし、詳しい事は学問的にも皆目不明。でも、山寺薬師と5月8日の同じ日にご開帳をする「三薬師」の存在を今回確認しました。おそらくは、この小堂の薬師様も、幻の山寺三千坊と関係する可能性が大きいと推考します。
それにしても、地元の方の信仰の強さに頭が下がる思いでした。色々と話を聞かせていただきました。

そして、是非にとすすめられたのがこの黒い物体。

タニシです。ここまで仕上げるのに1ヶ月はかかるとの事。まさに、田の宝石のごとくの貴重品です。有難く頂戴。地元の方の心遣い感謝です。有難うございました。今後とも、調査等を続けて行きたいと思います。それが恩返し。強行日程でしたが、午後10時には自坊に帰宅。