伸ちゃんのブログ

ひたちなか市にある、お寺の住職のブログ
毎朝の境内の一コマと坊主の一言を毎日更新中

“離す力”

2008年05月30日 | Weblog
くもりで風のある朝です。四月みたいな感じがします。
今日は一日こんな感じみたいですね。

いっとき、百花繚乱という感じの境内でしたが今はそれも過ぎ葉ばかりが多くなっています。
きれいな花びらもしおれて、ついに地に落とされます。
以前聞いた事がありますが、ブナの木は冬を迎える前に枯れた葉を落としきらないと冬の強風にさらされた時、
風の抵抗を受けてしまい枝を折ることになります。
てっきり、枯れた葉は自然と枝から離れるのかと思っていましたが、じつは枝から枯葉を落とすにも、
“離す力”がないといつまでも着いたままで強風で枝を折ることになるそうです。
木自身に力がないと強風で枝を折ってしまい無事春を迎えられないとのことです。
自身の“離す力”で冬の厳しさを越えているなんて、自然の奥深さを感じてしまいます。

修行僧たちよ、ジャスミンのツルが萎(しお)れた花びらを捨て落とすように、
貪(むさぼ)りと怒りを捨て落とそう。             『法句経』

私達は怒る時、正当な理由があって怒っているのだと自身の怒りを正当化してしまいます。
しかし、正当な怒りというものは佛教には存在しません。怒りと欲を持ってもすぐ捨て去りなさいと佛教では言います。
怒りと欲は自身を破壊してしまいます。怒りと欲を持つと、わけもなく悩んだり、困ったりします。
胃酸も多くでるでしょう。心と身体のバランスも崩れてしまいます。ついには大変な病気にもなります。
自身の“離す力”で怒りと欲を捨て落とすこと。自然界の習いに従い、私達も心と身体を護(まも)るために“離す力”を身につけなければいけませんね。