家族全員が(別々に)観た映画で、後からいろんな感想が聞けて面白かった。
「枠組みはいわゆるハリウッドのミュージカルかもしれないけど、オマージュだのレスペクトだのは僕にはわからないから・・・要するに、あれってぼくらの同類(オタク人種)?が自分の好きなもの詰め込んで作ってるんだってのは、観ながらず~っと思ってたよ。(もちろん僕が勝手にそう思うだけだけど)」
「夢は叶うと夢じゃなくなる。叶ったときには違う何か(現実)になるんだってのはわかってる。それでも最後、二人がちょっと微笑むでしょ。あれが嬉しかった~ほんとに。ラストの辺りは、見ながらずっと、とにかく笑って別れてほしい・・・ってだけ思ってた。別に泣くようなことじゃないけど、後から思い出すとやっぱり僕の方が泣けてくる。とにかく、あんたたちは笑って別れてくれって」
「終わりの方の彼女の歌だって、あれは誰にでも通じる、解る、歌だと思うよ。歌が上手とか下手とか、そういう種類のことじゃない」
或いは・・・
「みんなそんなに昔のミュージカルに思い入れがあるんなら、もっと早くに(もうちょっと歳のいった人たちで)作りゃいいじゃん。なにも今になって32歳に作らせてアカデミー賞なんかやらなくても」
「ゴールデン・グローブ賞だっけ、あれって作品賞が2種類あって、この映画は”ミュージカル/コメディ”部門なんだよね。”歴史的”に、ミュージカルってそういう括られ方してきたんだろうけど。(どこがコメディだよ、まったく。ほんとにそんなんでいいのか?)」
というわけで・・・
「監督賞、撮影賞、あと音楽とかの賞はまあ解るけど、作品賞は?だし、大体11部門ノミネートってのは前評判書き立てて売り上げ伸ばそうっていう戦術にしか見えない。まあ、アカデミー賞も本屋大賞もそんな感じだから仕方ないけど」・・・などなどなど。
私自身は、ハリウッドのPVのような場面がちょっと多すぎると感じたけれど、それでもこれはこれで「新しい」ハリウッド・ミュージカルだと思った。ライアン・ゴズリングのピアノは(上手なんだけどそれでも)あのたどたどしさ?が、私はちょっと気になったけれど。(『レ・ミゼラブル』で「演じている本人がパフォーマンスをする」ことの良さが強調されすぎたのかな~とも)
かなり前のこと。TVで『ウェストサイド物語』の冒頭を見て、若い友人たちは異口同音に「シュールや!(笑)」と叫んだ。「大通りで突然踊りだす。それも大真面目な顔して」というのが、吹き出すほど可笑しかったらしい(^^;。
今回の『ラ・ラ・ランド』は、そういう「ミュージカル」臭のようなモノは、あまり感じさせないと(少なくとも私は)思った。「冒頭から大勢が踊りだす」のは同じでも、ダンスや歌や演奏のシーンと物語(会話とか)部分との繋ぎ方がとても自然で、「歌い上げる」ような歌曲がほとんどないのもプラスに作用していると感じた。そういう「パフォーマンス」シーンに時間を取られる分、物語の語り方が難しくなる(どうしても浅くなる)のを、映像的な工夫(影絵まで出てくる)その他で補っている演出、テンポのいい脚本もよく出来ていると。
「夢を見る」「夢を追いかける」というロマンは、誰もが心のどこかで共有する「美しいもの」なのだろう。追いかけたことのある人も(私のように)ない人も、叶った人も叶わなかった人も。この映画の映像の美しさは、それを表現するためにも必須のものだったと思う。
それを「ハリウッド」に焦点を絞って、「打てる手は全部打って」?描いて見せたこの監督さん(脚本も担当)の頭の良さ(としか言いようがない)に、もしかしたら私は一番感心したのかもしれない。(もちろん、エマ・ワトソンの最後の歌は別格として)
最後に、友人のひとりに「ラ・ラ・ランド」という言葉の意味を尋ねられたので、自分の備忘も兼ねてチラシから引用すると・・・・・①ロサンゼルス、主にハリウッド地域の愛称。②陶酔しハイになる状態を指す。③夢の国 なのだそうです(^^)。
みなさんの感想も面白かったです(^_^)。
でも、(時間が経つほど)淡い色合いのシャーベットみたいな映画だった・・・と思うようになりました。(もう一度観にいくかも)