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Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ

2020-09-04 18:10:36 | 書評
こんにちは、ぴっぐです。
Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ(足立 昌聰 (著, 編集))(技術評論社)

労務、法務、情報セキュリティ大きく3つにわけて、テレワークで注意すべきことが書いています。気になるところ記載していきます。

1、労務
 労務で気になるのは導入の方法、賃金、設備投資と思います。
 導入手順としては大きく4つのステップに分かれます。導入目的の明確化、対象者の選定、実施環境の整備、従業員説明と周知という具合です。
対象者の選定において非正規職員(≒有期雇用者)を退職外にできるか問題になりますが、2020年4月より同一労働同一賃金の原則が導入されたので雇用形態のみを理由として区別することができないとしています。
 次に実施環境の整備つまり通信費、光熱費などが会社負担になるか問題となります。そもそもなぜ問題になるかというと、労働基準法89条に以下の規定があるからです。
第89条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項


もし労働者負担とする時は、就業規則に記載することになります。
この本は「テレワークが週に1、2回とその頻度が少なければ、大した問題にならないかもしれませんが、これが週5日フルで在宅勤務をしてもらうといった場合、一定金額を在宅勤務手当の名称で支給する企業も少なくありません」(p.41)としています。巻末にサンプルをつけていますが、以下のようになっています。
(費用の負担)
第16条 会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
(2)在宅勤務に伴って発生する通信費、水道光熱費等は自己負担とする。
(3)業務に必要な郵送費、事務用品費、消耗品費その他会社が認めた費用は会社負担とする。
(4)会社が必要と認める場合、テレワークに伴う環境を整えるための一時金や臨時の手当を支給することがある。

原則として、光熱費等は従業員負担。もっとも、在宅勤務手当等を出すことができますと(4)に定めているんですね。必ず在宅勤務手当を出すわけでないのがポイントです。
 最後に賃金です。これは勤務場所が変わっても大きな変更はないので、従来のままとしています。
 
 ここでせっかくなので、就業規則について書きます。
 日本の労働法は、①就業規則に記載して②周知していることは③合理的内容である限り、契約の内容になるという法律があります。
第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

したがって就業規則に書かれていることは労働者の同意の有無にかかわらず、原則として契約の内容になる。そして就業規則変更にも労働者の同意は不要で、労働者代表に意見を聞けばできる。もっとも一応の歯止めとして、①労働者の受ける不利益の程度②労働条件の変更の必要性③変更後の就業規則の内容の相当性④労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情から判断して相当という4要件があります。
第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

じゃあ、どんな時に不利益変更が認められたの?という具体例が、需要があったら書きます。


2、法務
押印、取締役会や株主総会のオンラインなど触れています。
 まず押印。そもそも契約は押印がなくても成立するものです。
民法 第522条
1 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

したがって押印がなくても、締結権限がある人が承認したとわかるようにしておけば記録としては十分です。

 次に、取締役会や株主総会。
 取締役会は完全リモートでもできますが、株主総会はできない可能性があると書いています(p.84)。 
経済産業省 ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)に対するご意見の概要及びそれに対する回答

そこでハイブリッド型バーチャル株主総会をあげています。
経済産業省 ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイドについて
具体例


第3、情報セキュリティ
セキュリティルールの作り方など書いています。こちらは以下のものを基準にすればいいと思います。
「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成30年度版)」について

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