わいるどぴっぐの猪突猛進

いつも疑問に思うことを書いていきます。

自閉症スペクトラムの専門医との会談その2

2020-03-19 15:23:01 | 発達障害
こんにちは、ピッグです。

医師との対談(診察)を10回ほどしてわかってきたのですが、私の問題は他人を巻き込むことにあるようです。多くの成人の発達障害者は成長過程において周囲から面倒くさいとして否定されるため、他人とかかわることに躊躇するようになってきます。その結果として、自尊心も低くなり引きこもりへとつながって行きます。

しかし私の場合どういうわけかそのようにはならず、周囲と積極的にかかわりを持とうとします。それゆえ周囲としては「面倒くさい人がこりもせずにかかわってくる」ということになり、問題が増えるということのようです。

私の主治医は元民間会社の方であり、現在も民間会社と兼業しながら医師をしています。それゆえ医学面以外も交え、話をしてくれます。そんな医師の言葉をまとめると、こうなります。
・人々は、バリュー選択の自由がある。
・人々は、バリューのあるもの(に限り)を選択する。(A)
・バリューとは、金銭、名誉、社会的地位であることもあるが、可愛さなどのこともある。(インセンティブ(誘因)=メリット=バリュー、と理解しています。僕は「インセンティブ(誘因)=メリット=バリュー=心地よさ」と定義しています。)
・仕事だけでなく日常生活でも、バリュー理論に基づいて人々は行動する。(B)

その結果、
(バリューの基準は仕事、日常生活で異なるが)バリューのないものは選択されない。つまり事実上、他人の基準を満たさないものは排除される。(C)と「論理的に出される」ことになります。

アスペルガーの人は①価値の見出しポイントが独特で②さらにそこへのこだわりがあるため、他人が持つ基準と一致しないことが多くあります。
例えばよくある例ですが、以下のものがあります。
「発達障害でつまずく人、うまくいく人 (ワニブックスPLUS新書)」(備瀬哲弘)
問題は経験を一般化できないことにあります。
次に同じ状況にあった時に、登場人物や場面が違っていたりすると応用が利かないのです。
O君は周りの同僚とのコミュニケーションがうまくいかなくて、職場を異動することになりました。

「今度の職場では、みんなで足並みを揃えるんだよ。それが君の良くないところなんだから」と新しい上司に告げられました。

「足並みを揃える」の意味がO君に理解できません。戸惑っている様子を見て、上司は「例えば、出勤時間もあまり人より早すぎにせず、みんなと同じような時間に来るとかだよ」とつけ加えました。

そこでO君は納得してしまうのです。「あーそうか。僕はけっこう朝早く会社に来るからな」と直線的に解釈してしまいます。発達障害の人の理解のズレはこういうところに見られます。「例えば」で言われたことが全てとなってしまうからです。

N君は注意を受けたにも関わらず、職場での行動に改善がみられないと評価されてしまったのです。なぜなら、みんなと「足並みをそろえるように」と指摘されたのに、同僚と協調して仕事をやっていこうとする積極的な姿勢がみられないからです。

発達障害の人達に対する職場での評価として、「何度同じことを注意しても同じミスを繰り返す」ということがあります。

しかし、本人にとっては、毎回違うシチュエーションなのに、なぜ「同じ」ミスと言われるのかがわからないということが、知的に高い人でも多くみられます。

これもよくわかります。
「同じ」の構成要素が示されてないんですよね。
この「同じ」の構成要素を示すことに意味があると周囲の人が思わない場合、周囲の人から放置されるか排除されることになります。

このバリュー理論は、「経済学の10原則」(People Respond to Incentives)に基づいているように思います。ビジネスパーソンならば当たり前のことなんでしょう。ここでいうインセンティブは経済的価値に限られませんので、宗教、趣味等も「本人が重きを置いている」という点においてバリューがあるという説明になるはずです。
会社でのバリューは「経営者の意に沿う(生産性が高い、都合がいい等)」と思います。会社でバリューを提供できなかった人が、別フィールドでバリューを提供できればそれは問題ありません。しかし他人が欲するバリューを日常生活でも持っていない場合、他人から選択されませんので、会社だけでなくコミュニティから排除されることになります。
バリューに対する好みが十人十色なら良いのですが、現実は似たり寄ったりと私は思っています(もし似たり寄ったりでないなら、アスペルガーの人を否定する人がいないのでは)。そうすると結局、個性的な人は社会に関わりながら生きていく場が、現状ではないとも思うわけです。
それはつまり、「(社会つまり他人である)俺には関わらず、ひきこもっていろ」ということと同義に思えます。

次回、医師からの回答を待ちます。

自閉症スペクトラムの専門医との会談その1

2020-03-19 15:20:44 | 発達障害
こんにちは。ぴっぐです。
久々の更新です。

今日はいつも通院している成人の発達障害外来でのことを書きます。
発達障害は知名度が広がっていますが、成人の発達障害専門医はまだそれほどありません。そこで最初予約をとる時は月末の指定された日に予約の電話をしますが、まずなかなかつながりません。つながるまで半年ほどかかりました。

発達障害で問題が生じる時は2段階となっています。
1つは、発達障害そのものによる問題(1次障害)
もう1つは、発達障害によって精神的にストレスを抱えてうつ病等になる問題(2次障害)です。

専門医とそうでない人の差はどこにでるかというと、1次障害の対応部分にでます。
1次障害と2次障害の違いは、火事に例えるとわかりやすいです。1次障害は火事が起きやすい状況で、2次障害は火事そのものです。火事そのものを消すことはできます(うつ病に対する投薬)が、火事がおきやすい状況は続いているのですぐに火事が起きてしまいます。つまり薬を飲んだところで、根本的な解決にはならないということになります。

成人の発達障害科の大きな特徴は、デイケアにあります。
デイケアは集団で行われることが多く、ソーシャルスキルの開発を目標とします。具体的には、ケーススタディによって典型例を学ぶことにあります。週1回や隔週ということが多いと思われます。

例えば、「アサーション(自分の意見を相手の立場を尊重しながらもしっかり伝えるコミュニケーションスキル)」があります。
「どうして○○してくれなかったのか。ひどいんじゃないか」と指摘される状況にて、常に叱られ慣れているアスペルガーの人達は「(とりあえず)すいません」となることが多い。そこで自分の意見を言えるように、①相手の基準の割り出し②あてはめ、と練習をしていくわけです。

具体的には、
<基準の割り出し>
どうして○○してくれなかったのか。→理由・謝罪を求めている
ひどいんじゃないか→謝罪を求めている

<あてはめ>
すいません。→謝罪
忙しかったので、しませんでした。→理由 という具合ですね。

これがデイケアです。
デイケアの効果報告は以下にあります。
平成 26 年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業
「成人期発達障害者のためのデイケア・プログラム」に関する調査について



成人の発達障害専門科があり先進的なところです。