日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北縦断花見の旅 2017続編 - はすや

2017-04-30 22:29:28 | 居酒屋
その気になれば明日、明後日も鑑賞できる夜桜です。しかし、これからますます散っていくということになると、着いたその日はつい欲張りがちになります。少し早めに切り上げるつもりが、結局10時の消灯まで使い切ってしまいました。こうなるとやや不安になるのが呑み屋のことです。
書き入れ時ということもあり、今夜は「はすや」に加えて「弦や」も「しまや」も臨時営業していました。しかし、臨時営業ということは、早仕舞いする可能性を否定できないということでもあり、早めに切り上げようとしていたのもそのために他なりません。実際、夜桜が長引いて看板で振られたという経験を過去に何度もしており、今回も同じ失敗を繰り返すことが懸念されたわけです。しかるにその教訓は生かされず、やや急ぎ足で「はすや」に向かう結果となりました。そして最後の角を曲がると、見慣れた緑の行灯がまだついており一安心。しかし、店先に出ているはずの品書きがありません。しまった、やはり早仕舞いかと一瞬覚悟するも、扉にはOPENの札が下がっています。断られる可能性も覚悟しつつ、一か八かで階段を上っていくと、何事もなかったように入店を許されるという顛末です。
今回は通い始めて以来最大といってもよい変化がありました。棟続きになった隣の建物との仕切り壁を取り払い、その向こうに客席が増設されていたのです。拡張に合わせて手伝いのお姉さんも二人に増えていました。遅い時間になっても賑わう繁盛ぶりが続いていただけに、店主も勝負に出たのでしょうか。調理は相変わらず店主一人がこなしており、この客席が埋まったときはどうなるのかが気になるところではありますが、発展を遂げたことについては素直に祝いたいものです。

はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM
日曜定休

華一風・杜の蔵
お通し(温豆腐)
刺盛り七点
ワカサギ唐揚南蛮正油
なめこおろし
ささみタラコ焼
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 第一夜

2017-04-30 22:07:25 | 東北
二時間弱かけて園内を一周し、10時を過ぎたところで第一夜は終了です。もちろん、その程度の時間でくまなく回れる広さではなく、一周とはいっても投光器がある場所をあらかた回っただけに過ぎません。しかし、それでも意外に早く終わったものだというのが実感です。
あっさり回れてしまったのは、盛りが過ぎていたということでもあります。追手門から城内に入ろうとしたとき、まず思ったのは「散った」ということでした。早いものは今日の岩手公園よりも散っており、花より若葉の方が目立っています。遠目にはまだ見頃の木もあるものの、それらも高松の池には及びません。
しかし、不思議なことに敗北感はありません。これは、適温でほぼ無風、人出も適度という夜桜見物にはお誂え向きの条件に加えて、西の空に三日月が出ていたからです。その三日月に二の丸の大枝垂と最古のソメイヨシノが重なるという、今夜しか撮れない画を記録できたという点で、この時期に来た価値はたしかにありました。散り始めてから本領を発揮する、弘前の懐の広さを改めて実感した次第です。
上記の通り大分散ってはいるものの、まだ見頃の木は少ないながらあり、桜のトンネルもほぼ満開でした。場所を選べば明日も十分楽しめそうです。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 弘前到着

2017-04-30 19:33:08 | 東北
滝沢から碇ヶ関まで東北道を飛ばし、そこから7号線を経由して弘前市街に入りました。出発からの走行距離は約830kmに達しています。
まだ明かりが残る時間帯だっただけに、高速道を延々走りたくはなかったのです。並行する282号線が眺めのよい快走路だけになおさらでした。それにもかかわらず節を曲げた理由は二つあります。一つは「しまや」が開いていれば夜桜見物の前に一杯やりたかったからです。そしてもう一つの理由は風です。盛岡を出てから風がますます強まり、時折ハンドルを取られるほどの横風を受けました。この風が桜を散らすとすれば、今日と明日とで夜桜の眺めも一変するだろうと考え、今夜の持ち時間をできる限り増やしたかった次第です。
しかし、少なくとも前者については無駄遣いに終わりました。というのも「はすや」が臨時営業していたのです。他の店が開いているかどうかについても、公園へ向かうついでに確かめてみますが、「はすや」さえ開いていれば呑み屋の選択肢に不足はありません。これで先に一杯やる必要がなくなったため、風呂だけ入って夜桜見物に向かいます。懸念された風は今のところそれほどでもなく、気温も15.5度あります。念のため雨合羽を忍ばせますが、少なくとも盛岡ほどの寒さにはならないでしょう。

ちなみに本日またも入れ違いを経験しました。そうです件の活動仲間です。一日差で入れ違いになったのは前編の初日、つまり今から8日前でした。その後こちらが一旦帰京している間も北上を続け、弘前へ連休前に滑り込み、今朝芦野公園から折り返して南下していったようです。当人の記録に碇ヶ関を通ったとあるので、少なくとも一部の区間は完全に重なっていることになります。一日どころか数時間差の入れ違いでした。こちらが北海道を切ってそのまま南下していったとき、またもどこかで追いつくのでしょうか。引き続きよき旅を…
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 不穏な風

2017-04-30 17:17:33 | 東北
その後一時間半ほどかけて池の畔を一周し、にわか雨が落ちてきたのを潮時と見て神社に戻ってきました。近くで花見ができるというと、去年訪ねた岩山公園ですが、この天候ではそのときを超えるものは期待できません。盛岡での花見はこれにて打ち止めとします。
文字通り一周しただけであり、撮影した数はごくわずかでした。これは、途中から曇ってしまったのに加え、見物客と障害物が多く、見かけほどには絵にならないという理由によります。どこにカメラを向けても見物客が写り込んでしまい、さりとて木だけではここで撮る必然性がありません。よほどの早朝でもない限り、岩手山と桜を重ねるのがほぼ唯一の選択肢です。
とはいえ、池の畔の一言で形容できない変化に富んだ眺めは、さくら名所100選に挙げられるのも宜なるかなと納得させてくれるものでした。歩くだけで一時間半かかってしまったのもそのためです。撮影よりも散策に向く名所というのが、初めて時間をかけて歩いた上での印象です。観光客がほとんどいない、地元客御用達の雰囲気も好ましいものがありました。

終盤曇ってしまったとはいえ、一日を通じてみれば今日もよい天気でした。好天がここまで続くと天気予報に一喜一憂することもなくなり、開花状況を逐一気にする一方で、出発以来ここまで一度も天気予報を見ていないのに今更気付きました。
一つだけ気になるのは、一日を通じて風が強かったことです。高松の池の桜は枝をしならせつつ踏みとどまってはいたものの、市街に近い南側では少しずつ散ってきており、明日あたりには岩手公園並みになりそうです。弘前でも同じ風が吹いたとすれば、散りかけていた桜が一斉に散ってしまうことも十分考えられます。ただし、その場合は明日の花筏が一層絵になるということでもあり、それならむしろ歓迎すべきことともいえます。早咲きは5分散り、遅咲きは散り始めというのが最新の情報ですが、情報に一喜一憂する必要はもうありません。あとはこの目で確かめてきます。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 高松の池

2017-04-30 15:27:41 | 東北
通りすがりのおばちゃんには感謝しなければなりません。改めて境内の案内図を確かめたところ、高松の池へと続く遊歩道が書き入れられていました。その案内に従い石段を登って、南部家歴代当主の墓所なる大それた場所を通り抜けると、高松の池への案内板があり、そのまま下っていくと池が見えてきました。徒歩時間にすれば10分ほどだったでしょうか。高遠の町内から城址まで歩いていくより近いという印象です。その程度であの渋滞を回避できるなら、次からは毎回歩いていいとさえ思えてきます。

こうして訪ねた高松の池、明るいうちということになると二度目です。唯一の機会となった六年前は、この池の畔で車中泊した後、翌朝日の出と同時に駆け足で一周し、すぐさま弘前に急行したのでした。池の畔というありそうでなかなかない立地が独特で、快晴だったこともあって見事な眺めだったことだけは記憶しているものの、当時は兎にも角にも弘前へ急がなければという切迫感が大きすぎ、時間をかけて回る余裕がありませんでした。その後も見頃を逃したり時間がなかったり渋滞に巻き込まれたりで機会を逃し続け、今回ようやく再訪に至ったわけです。
このような事情もあり、改めて眺めると当時気付かなかった、あるいは忘れてしまったことが見えてきます。池はおおむね北東から南西の方に向かって細長く延びており、南の市街側が広く、北側へ行くにつれて狭くなっています。今回下りてきたのは南東の端の方で、そこから半時計回りに歩き、現在滞在しているのは北東の畔にあるベンチです。
池の畔に遊歩道があり、一段高い場所を周回する道との間に桜並木が続くというのが基本形です。さらに、市街に面した南の方以外は小高い丘に囲まれる形になっていて、その丘の斜面に桜、梅、コブシなどの花が咲いています。その結果、池の畔の遊歩道から桜並木を見上げても、周回路から池の畔を見下ろしてもよく、さらには丘の木立の中を歩いたり、斜面から池の方を見下ろしてもよいということになり、見かけ以上に様々な眺めが楽しめるという仕掛けです。通行人が多かったり、電柱、電線が邪魔になったりして、写真に撮って絵になる光景は必ずしも多くないものの、岩手山と桜が重なる光景は見事です。

散り始めている岩手公園の桜と違い、こちらはまだ満開を保っています。しらみつぶしに歩いていけば、日中の残り時間の大部分を消費する可能性も出てくるところではありますが、今から他へ行ったところで中途半端にならざるを得ないため、ともかく残りを歩いてみます。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 榊山稲荷神社

2017-04-30 14:10:42 | 東北
正午を数分回ったものの、幸いにしてお咎めなし。車を引き取り向かったのは高松の池です。岩手公園にも勝る盛岡の花見の名所といえばここですが、去年はあまりの渋滞ぶりに、近寄ることすらできずに退散するという経験をしました。それだけに、行くなら少しでも早い方がよかろうと思っていました。その一方で、早朝ならともかく、午後にもなれば多少前後しようが五十歩百歩だろうとも思っていました。その予想は的中し、駐車場へ至る道はかなり前から渋滞していて取り付く島がありません。やはり、駐車場が一ヶ所しかなく、なおかつそこへの道がかなり前から一本道になるため、構造的に渋滞しやすいということのようです。少なくとも正面突破は無理と見て、市街の反対側から近付くことを試みました。しかし、こちらも車載のカーナビが古すぎて使えません。カーナビにはない新道に入ってしまい、今来た道に戻るという迷走を経て、咄嗟に生活道路へ飛び込みました。しかしここで思わぬ名所との出会いがありました。枝垂桜に彩られた神社が現れたのです。
楼門には榊山稲荷神社とあります。朱塗りの鳥居から奥へ向かって参道がまっすぐ延び、突き当たりの小高い山を背にする形で本殿が鎮座し、その手前の池を中心に境内が庭園風に造られていて、所々に八重紅枝垂、ソメイヨシノと八重桜が植えられていました。本数にすればそれほどでもないものの、境内の配置が周到なのに加え、朱塗りの建物との色合いの取り合わせもよく、これがなかなか様になります。阿鼻叫喚の様相を呈する高松の池をよそに、時折参拝客が行き交うだけの静かな境内の雰囲気も秀逸です。
ちなみに、通りすがりのおばちゃんから耳寄りな話が。ここから高松の池へと続く遊歩道があるらしいのです。カーナビで見る限り目と鼻の先というわけでもなさそうですが、あの渋滞に飛び込むならば、歩いて行った方がはるかにましでしょう。目立った案内板もなく、真偽のほどについては未知数ながら、ともかく歩いていく方法を模索してみます。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 食道園

2017-04-30 11:38:20 | B級グルメ
正午まで粘るかというとさにあらず。11時半で切り上げ「食道園」に開店と同時に入り、腹ごしらえしてから車を引き取ろうという算段です。しかし今年は足をすくわれました。
開店の直前に乗り込んだ去年に対し、今回は開店時刻を五分ほど回りました。すると店先にはわずかながらも待ち客の姿が。しまった遅かったかと思いつつも記入台の用紙に名前を書き入れると、先客は順次中へと案内されていきました。どうやら全ての席が埋まったわけではなく、準備が出来次第案内しているだけのようです。しかし、ほどなくして自分の名前が呼ばれたとき、冷麺だけならすぐ案内できるとのことわりが。焼肉を目当てにしてきたにもかかわらず、よりによってその焼肉をいただけないという無情の通告です。しかし、12時までには戻らなければならない以上、四の五のいってはいられません。全て承知の上で二階席に通されました。
冷麺のみといわれた理由は、席に案内された時点で得心できました。二階のテーブル席だけコンロがなく、焼肉ができないようになっているのです。直前の先客までは普通に案内されていたわけで、まさに紙一重の差が明暗を分けたことになります。しかもやるせないのは、店を出る時点では一階席に早くも空席が出ていたことです。要は、開店時刻をめがけてお客が殺到し、一階席が埋まってしまった結果、このようなことになったわけであり、早く来たのがむしろ裏目に出るという結果でした。先日訪ねた松本の「メーヤウ」にしてもそうですが、人気店になればなるほど、単に早くくればよいというわけでもないようです。
もっとも、久々にいただく冷麺は健在でした。焼肉のタレと同様のやや甘い味付けのスープ、同じく甘辛く濃く味付けされたすじ肉、さわやかな辛さのカクテキなど、一つ一つの完成度が高く、盛岡の有名店の中でも冷麺に関してはここが一番と思います。

食道園
盛岡市大通1-8-2
019-651-4590
平日 1130AM-1530PM/1700PM-2400PM
日祝日 1130AM-1530PM/1700PM-2200PM
第一・第三火曜定休
冷麺900円
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 岩手公園

2017-04-30 11:06:29 | 東北
続いて訪ねるのは岩手公園です。こちらの桜も散りかけており、次第に若葉が目立ってきました。去年訪ねたときは今まさに散り始めたと思しき様子だったのに対して、今回はさらに一日、二日経っているように見えます。とはいえ、遠目にはまだ十分見頃であり、時折舞い上がる花吹雪も風流です。撮影の題材としては今一つでも、花見をするにはこの方がお誂え向きとも言えます。
日付でいえば今年の方が六日遅いもかかわらず、開花状況に大差がないことを考えると、盛岡でも去年より若干遅咲きだったことになります。結果としては、弘前の桜だけが去年並みだったわけです。あちらも少し遅れてくれれば、花盛りに駆け込めただろうと思うのが人情ではありますが、その代わり今年は連日快晴に恵まれています。この快晴と引き替えに、弘前の花盛りだけわずかに逃すものだと思えば、損失を補って余りある成果です。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 石割桜

2017-04-30 10:06:17 | 東北
「北ホテル」のよいところとして、駐車料が500円と格安で、なおかつ翌日正午までそのまま駐車できることが挙げられます。しかも石割桜はすぐ近くです。宿に車を止めたまま歩いてきました。
明るくなってから改めて眺めると、大分散ってきたのが分かります。とはいえ上の方だけ見ればまだ満開といってもよく、それなりの絵にはなっています。昨夜着いたときには5度しかなく、厚手の雨合羽を羽織っても肌寒く感じました。この寒さが散り際を食い止めたのかもしれません。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 北ホテル

2017-04-30 09:08:11 | 東北
昨晩世話になったのは定宿の「北ホテル」です。開花時期に多少の幅を見込んで、土曜と連休中の宿を早くから押さえておく手法が定着してきた中、連休初日は盛岡が順当と見てここを手配していました。しかし、関東甲信越でも南東北でも、当初の予想より遅咲きになる傾向が続き、連休初日は南東北でもまだ花見ができそうな情勢に至って、盛岡まで一気に駒を進めるのがためらわれるようになってきました。その結果、宿のキャンセル期限もあって、この宿を一旦手放さざるを得なくなってしまいました。それは当然すぐに埋まってしまい、手放したことを一時は後悔したものの、前日の朝に再度照会したところ、運よく空きが出ていたため、元の鞘に収まるという経過です。
実は、昨夜に関する限り宿泊事情がそれほど逼迫していたわけではなく、この宿にさえこだわらなければ、当日でも手配できる宿はいくつかありました。しかし、慣れたところに泊まれたのは、過酷な移動の疲れを癒す上で大きいものがありました。今回も心地よく休息できたことに感謝しています。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 二日目

2017-04-30 08:44:46 | 東北
おはようございます。日の出と同時に目覚めてきた花見の旅でしたが、前日の夜更かしがたたり、今朝はさすがに起きられませんでした。身支度を整え、これから朝食をいただいて出発しようとするところです。
ある程度覚悟していたことではありますが、弘前の桜が散り始めたとの情報が入ってきました。ならば直ちに乗り込むかというとさにあらず。昨夜眺めた限りでは、石割桜がまだ咲いていました。岩手公園もまだ見頃のようでした。盛岡にわざわざ宿を取った以上、深夜に着いて翌朝出るというのももったいない話です。まずはそれらを見物します。それからすぐさま東北道を飛ばせば、明るいうちに着くことも可能ながら、そうするつもりもありません。ほどほどの人出であれば高松の池にも立ち寄り、さらに岩手の桜を訪ねつつ進むつもりです。
悠長に構えているのは、盛りを多少過ぎても楽しめるのが弘前の桜だと分かっているからでもあります。去年弘前の満開、快晴という状況を経験したことで、その考えはますます強まりました。混雑必至の日曜より、多少なりとも落ち着く平日の方が、盛りを過ぎることを割り引いても楽しめるだろうと考えています。今日は夜桜だけ鑑賞できれば十分です。
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東北縦断花見の旅 2017続編 - Bar Cafe the S

2017-04-30 01:55:57 | 居酒屋
この時間でも入れる店の心当たりがもう一軒あります。職場のボスに紹介されたジャズバーです。音楽にも洋酒にも全く無頓着ではありますが、白木と白壁で統一された店内と、年代物の機材から流れてくるジャズの調べが心地よく、毎回とはいわないまでも、年に一度は戻ってきたくなる居心地がこの店にはあります。ただし、体力的にも時間的にも限界は近く、無理して立ち寄る余力まではありません。空いているなら入り、そうでなければ失礼するつもりで向かうと、二人組の先客が店を出てくるところでした。しかも驚いたことに、先客の姿は一切ありません。何度か訪ねてきた中でも、入店早々貸切となったのは初めてです。機材に正対するL字カウンターの短い辺の特等席に、迷うことなくつきました。
歳を追うにつれて、自発的に音楽を聴くことがほぼなくなったと以前申しました。それだけに、今時の音楽に好きも嫌いもないのが実情ではありますが、一つだけ思うのは、現代の音楽は加工されすぎているということです。演奏はもちろんのこと音声までが電気的に加工されてしまうため、それを実演したときに、原盤と演奏の落差に幻滅させられるということがしばしばあります。そのような時代だけに、正真正銘人の手による演奏を耳にすると、柄にもなくありがたみを感じるようになってきました。これでこそ旅の疲れが癒されるというものでしょう。小一時間耳を傾けてから席を立ちました。

★Bar Cafe the S
盛岡市菜園2-7-30 スガトウビル1F
019-625-2440
1900PM-300AM
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東北縦断花見の旅 2017続編 - 盛楼閣

2017-04-30 01:07:38 | 居酒屋
仙台を出た頃から急激に眠くなり、三本木、長者原、金成で休憩をとる各駅停車同然の状態に陥って、この先どうなることかと危ぶまれたものの、その後はどうにか復活して走り通しました。しかし出発時刻の遅さはいかんともしがたく、一時前という異例の遅い到着となりました。未明から走り続けて疲労感も限界、このまま倒れ込みたいのはやまやまながら、気力を振り絞って外に出ます。訪ねるのは毎度おなじみ「盛楼閣」です。
去年の花見でもそうでしたが、盛岡に泊まるというと深夜に着くことが多くなってしまいます。その遠因としてこの店の存在があるような気がしてきました。たとえば会津に泊まるなら、「籠太」が開いている時間までに着かなければ意味がなく、その結果八時台に着いて九時過ぎから入るという流れが確立して現在に至ります。その点こちらは年中無休で深夜二時まで開いているため、よほどのことがない限り間に合ってしまうわけです。その安心感が仇になり、毎回深夜着になってしまう面があることは否定できません。
もちろんこの店のせいにしているわけではなく、いつ着いても温かく迎えてくれ、疲れ切った身体を癒してくれることについては深く感謝しています。一杯の生ビールがこれほどありがたく感じられる場面もそう多くはありません。今日はラーメンにしても焼肉にしても、限界に近い状態でいただいたため、ありがたみには格別のものがありました。
牛丼をしみじみ味わった会津の夜にしてもそうでしたが、花見の旅では空腹感も疲労感も限界に達するまで走り続けることがと多くなります。それだけ体力、気力が要るということであり、時間と金も必要です。それらを全て備えられる時間が、残り生涯の中でどれだけあるのでしょうか。今がかけがえのない時間なのは間違いなさそうです。

盛楼閣
盛岡市盛岡駅前通15-5 ワールドインGENプラザ2F
019-654-8752
1100AM-200AM
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