開幕から二度目の週末を迎えた高校野球の地方大会、北海道でも試合が始まり、以降はよほどのことがない限り毎日どこかで試合があります。とはいえ、次の週末までは列島の北と南で細々と戦われるに過ぎません。しばらくは数日分をまとめて振り返る予定です。
・第3日(6/23)
原則週末だけを使って戦われる沖縄大会で、唯一土日祝日以外の開催となるのが、沖縄戦終結を記念した「慰霊の日」にあたる23日です。離島勢が一堂に会した初日、沖縄らしい地名が散らばる二日目に比べ、6試合ともやや地味な顔ぶれではありましたが、珍しいカタカナ校名の「コザ」がこの日の白眉でした。古豪豊見城とともに初戦を突破し、少なくともあと一回はこの校名を目にすることができます。
・第4日(6/25)
二週目に突入し南北海道大会が開幕するかと思いきや、雨で全試合中止となって、沖縄大会7試合のみの開催でした。前日に引き続き組み合わせは総じて地味に感じられ、北谷、知念といった地名に沖縄らしさが感じられる程度でした。沖縄だけでは面白くなく、北海道が開幕してようやく成り立つのが六月の高校野球といえそうです。
・第5日(6/26)
北海道が南北同時に開幕し、沖縄と合わせて3大会14試合が戦われました。
北北海道は十勝、北見の両地区で計5試合の開催です。先月北海道を旅したとき、道東・道北の小さな町ではセイコーマートだけが頼みの綱だと申しましたが、それらを寄せ集めたかのような留辺蘂、湧別、訓子府の三校連合が白眉でした。高校が置かれる時点で、道内ではそこそこの規模の町とはいえ、オホーツク沿岸の要衝だった湧別からは鉄道が消えて久しく、訓子府からも鉄道が消えて十年が経ちました。特急停車駅の留辺蘂は今春ついに無人化され、さらにはその特急までが短縮・減便を噂されるなど予断を許しません。特急が停まる町でさえ単独では野球のチームを組めないほど、北海道の過疎化は深刻化しています。四年前の選抜に出場した女満別、32年前に奇跡の選手権出場を果たした広尾の両校も、この日の初戦で姿を消しました。このまま過疎化が進めば、郡部からは単独で出場できるだけでも上出来、甲子園など夢のまた夢という時代になっていくのでしょうか。
例年道内の緒戦を飾る函館地区ではまたも雨天のため試合がなく、札幌地区の2試合のみでした。道内屈指の伝統校にして20世紀最後の代表校、札幌南が延長戦の末に散っています。
沖縄大会の注目は参戦二年目の未来沖縄です。名将栽監督の腹心だったコーチを監督に招聘し、スポーツコースなるものを設けているのが特徴で、そのスポーツとは早い話が野球を指します。「目指すは甲子園」との宣言も高らかなWebサイトの学科紹介には、講義は実質午前のみ、午後はひたすら野球の練習という時間割が堂々と掲げられており、その潔さにはむしろ好感さえ覚えます。創部二年目で選手権出場を果たした遊学館の例もあるだけに、素質のある選手を集めて徹底的に鍛えれば、いずれ上位を脅かす存在になるのかもしれません。この日は辛勝ながらも初戦を突破し、選手権初勝利を飾りました。
栽監督が豊見城の次に率いたのが沖縄水産です。平成初期に全盛を極め、全国制覇まであと一歩に迫った強豪も、名将の引退後は名もなき一県立校に戻り、近年の選手権では一勝か二勝できれば御の字という戦績が続いています。春季の県大会で8強入りし、古豪復活かと思わせたのも束の間、夏は初戦で散るという結末です。しかし、あと1点取られればコールドで即終了の8回裏をどうにか切り抜け、9回まで戦い抜いたところにせめてもの意地が感じられました。
なお、沖縄高専が高専勢の先陣を切って登場するも敗退しています。戦後に発足した教育機関という経緯から、県都ではなく県下の二番手、三番手あたりの町に置かれることの多い高専ですが、同校もご多分に漏れず名護市、それも基地問題が喧しい辺野古に位置しています。
★北北海道大会1回戦(6/26)
・北見地区
紋別12-2留辺蘂湧別訓子府
女満別0-10北見工
・十勝地区
広尾0-11池田
★南北海道大会1回戦(6/26)
・札幌地区
恵庭北2-1札幌南(延長13回)
★沖縄大会1回戦
・6/23
北部農3-6コザ
首里東4-6豊見城
・6/25
知念2-4名護商工
北谷4-3真和志(延長10回)
・6/26
沖縄高専1-6美里
沖縄水産3-9昭和薬大付
西原5-6未来沖縄
・第3日(6/23)
原則週末だけを使って戦われる沖縄大会で、唯一土日祝日以外の開催となるのが、沖縄戦終結を記念した「慰霊の日」にあたる23日です。離島勢が一堂に会した初日、沖縄らしい地名が散らばる二日目に比べ、6試合ともやや地味な顔ぶれではありましたが、珍しいカタカナ校名の「コザ」がこの日の白眉でした。古豪豊見城とともに初戦を突破し、少なくともあと一回はこの校名を目にすることができます。
・第4日(6/25)
二週目に突入し南北海道大会が開幕するかと思いきや、雨で全試合中止となって、沖縄大会7試合のみの開催でした。前日に引き続き組み合わせは総じて地味に感じられ、北谷、知念といった地名に沖縄らしさが感じられる程度でした。沖縄だけでは面白くなく、北海道が開幕してようやく成り立つのが六月の高校野球といえそうです。
・第5日(6/26)
北海道が南北同時に開幕し、沖縄と合わせて3大会14試合が戦われました。
北北海道は十勝、北見の両地区で計5試合の開催です。先月北海道を旅したとき、道東・道北の小さな町ではセイコーマートだけが頼みの綱だと申しましたが、それらを寄せ集めたかのような留辺蘂、湧別、訓子府の三校連合が白眉でした。高校が置かれる時点で、道内ではそこそこの規模の町とはいえ、オホーツク沿岸の要衝だった湧別からは鉄道が消えて久しく、訓子府からも鉄道が消えて十年が経ちました。特急停車駅の留辺蘂は今春ついに無人化され、さらにはその特急までが短縮・減便を噂されるなど予断を許しません。特急が停まる町でさえ単独では野球のチームを組めないほど、北海道の過疎化は深刻化しています。四年前の選抜に出場した女満別、32年前に奇跡の選手権出場を果たした広尾の両校も、この日の初戦で姿を消しました。このまま過疎化が進めば、郡部からは単独で出場できるだけでも上出来、甲子園など夢のまた夢という時代になっていくのでしょうか。
例年道内の緒戦を飾る函館地区ではまたも雨天のため試合がなく、札幌地区の2試合のみでした。道内屈指の伝統校にして20世紀最後の代表校、札幌南が延長戦の末に散っています。
沖縄大会の注目は参戦二年目の未来沖縄です。名将栽監督の腹心だったコーチを監督に招聘し、スポーツコースなるものを設けているのが特徴で、そのスポーツとは早い話が野球を指します。「目指すは甲子園」との宣言も高らかなWebサイトの学科紹介には、講義は実質午前のみ、午後はひたすら野球の練習という時間割が堂々と掲げられており、その潔さにはむしろ好感さえ覚えます。創部二年目で選手権出場を果たした遊学館の例もあるだけに、素質のある選手を集めて徹底的に鍛えれば、いずれ上位を脅かす存在になるのかもしれません。この日は辛勝ながらも初戦を突破し、選手権初勝利を飾りました。
栽監督が豊見城の次に率いたのが沖縄水産です。平成初期に全盛を極め、全国制覇まであと一歩に迫った強豪も、名将の引退後は名もなき一県立校に戻り、近年の選手権では一勝か二勝できれば御の字という戦績が続いています。春季の県大会で8強入りし、古豪復活かと思わせたのも束の間、夏は初戦で散るという結末です。しかし、あと1点取られればコールドで即終了の8回裏をどうにか切り抜け、9回まで戦い抜いたところにせめてもの意地が感じられました。
なお、沖縄高専が高専勢の先陣を切って登場するも敗退しています。戦後に発足した教育機関という経緯から、県都ではなく県下の二番手、三番手あたりの町に置かれることの多い高専ですが、同校もご多分に漏れず名護市、それも基地問題が喧しい辺野古に位置しています。
★北北海道大会1回戦(6/26)
・北見地区
紋別12-2留辺蘂湧別訓子府
女満別0-10北見工
・十勝地区
広尾0-11池田
★南北海道大会1回戦(6/26)
・札幌地区
恵庭北2-1札幌南(延長13回)
★沖縄大会1回戦
・6/23
北部農3-6コザ
首里東4-6豊見城
・6/25
知念2-4名護商工
北谷4-3真和志(延長10回)
・6/26
沖縄高専1-6美里
沖縄水産3-9昭和薬大付
西原5-6未来沖縄