日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

国鉄特急色の終焉

2016-06-18 21:20:35 | 旅日記
新潟のT18編成が引退してから一年余、仙台に最後まで残っていた国鉄特急色の485系が、今週末のお別れ列車を花道に引退することになりました。
既に定期運用こそないものの、国鉄特急色の編成は少数ながら残っています。昨今流行の「リバイバル塗装」なるものにより、同様に塗り分けられる車両は出てくるかもしれません。しかし、国鉄特急型電車の決定版というべき485系の、本来の姿を保った編成が消滅するという現実には、九州ブルトレの終焉を彷彿させる時代の節目を感じずにはいられません。かつて全国津々浦々の幹線を駆けめぐった花形が、これからは蒸気機関車と同様博物館の住人になるのかと思うと、感無量というのが偽らざる心境です。

現場に駆けつけるという選択肢も取りうるところ、迷いはありながらも結局見送りました。その結果、やはり行くべきだったかという後悔の念が今更頭をもたげています。つまりT18編成の引退時と同じ轍を踏んだわけです。
列車の運用からして、未明に出発すれば東北本線で一回、磐越西線で二回は撮影可能であり、撮影地の心当たりもありました。夕方に通過する上り列車を撮った後は、猪苗代湖でキャンプをするか、花見の際に泊まれなかった米沢に一泊し、翌日一日かけて帰るという構想まで立てていました。「迷ったら出ろ」の鉄則からすれば、当然出るべきところではあったのでしょう。それにもかかわらず踏み切れなかったのは、見世物同然となった引退間際の姿を記録することに、さほどの執着がなかったからに他なりません。上記の行程自体、直前に天気予報が上向いたことで唐突に浮上してきたものでした。一年前、全く同じ編成を、磐梯山を背にしたこの上ない絵柄で記録していたこともあり、あと一歩のところで決断できなかった次第です。このような事情があってのことだけに、後悔こそあるものの、悔やまれてならないというほどでもありません。過ぎたことをどうこう言うより、去り行く名車を労いたいというのが第一です。

今は初日の行路を終え郡山に滞泊しているところでしょうか。明日福島から仙台経由で山形まで走り、そこから仙台に戻れば正真正銘の打ち止めです。最後の運用につく老雄に、遠い空の下から敬礼を送りたいと思います。
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