日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 23:54:27 | 九州
宿に戻って本日の全行程終了です。島間で轟々と吹き付けていた風はいつしか止んで、今はやや肌寒い早春の夜といった気配です。
夜空には引き続き星が出ているものの、それは都会でも目にするごく普通の星空で、大河を見るようだった先ほどの星空とは比べようがありません。やはり、あれほどの星空を眺めるには、離島の中でもとりわけ人里離れた場所まで足を運ぶしかないのでしょう。そんな光景に出会えただけでも、種子島に渡った甲斐はありました。今夜はいい夢が見られそうです。おやすみなさいzzz
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 23:32:13 | 九州
本日の全行程終了、かというとさにあらず。もう一ヶ所寄らなければならない場所があります。昼間訪ねた山桜が咲く神社です。
境内の山桜は、街灯に照らされ鈍く光っています。この光景を眺めて思い出すのが、厚岸の国泰寺に咲くエゾヤマザクラです。ぼんぼりも何もなく、ただ街灯に照らされただけの桜も、これが今年最後かと思うと無性に愛おしく感じられるものなのです。そんな光景を彷彿させる今日の夜桜です。
明るいうちに島内を北から南へ縦断して、所々に山桜が咲いてはいたものの、内地ではよく目にする川沿いの桜並木や、桜の木々が校庭を囲むといった光景は一切ありませんでした。桜というものをあれほど尊ぶのは、必ずしも全国共通の風習ではないということに、花見の旅をする中で気付いてきました。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 22:13:00 | 居酒屋
宿から10分弱歩いて、港の近くの呑み屋街にやってきました。呑み屋街といっても、所詮は離島のそれですから、店の数はたかが知れています。当然ながら、こちらの感性に強く訴えてくるほどの店はなく、しいていうならここかという程度の店が二軒ほどあるにすぎません。二つに一つという状況で飛び込んだのは「しろう」です。
何が決め手になったかといえば、呑み屋街を物色していたとき、折しもこの店から大人数の地元客が出てくるところで、開いた扉の奥の様子が見えたのです。小上がりと半個室を中心にした大店ながらカウンターもあり、一人客でも気兼ねなく入れそうだという印象でした。もう一軒は店構え以外に何一つ手がかりがなかったため、結果としてこちらの暖簾をくぐったというのがここまでの顛末です。

こうして飛び込んだ店ですが、結論からいえば、わざわざ旅先で訪ねるほどの店ではなく、基本的にはある程度の人数で行くべきというのが率直な印象です。
扉越しに覗き込んだカウンターは四席のささやかなもので、普段は使われることもほとんどないのか、半ば物置のようになっていました。そこを何とか頼んで座らせてはもらったものの、やはりこの店では板の間の小上がりか半個室の座敷、さもなければ二階の宴会場が基本と見え、カウンターでしみじみ酒を酌むのに適した店ではなさそうです。
このような業態を反映してか、品書きはあらかじめ両面印刷されており、片面が串焼きとご飯もの、片面が典型的な居酒屋の品書きになっています。ざっと眺めてみても郷土色と季節感は希薄で、見るだに心躍るようだった「菜菜かまど」の黒板とは比べようがありません。所在なげなカウンターで湯割りをあおりつつ、やはりもう一軒の店にするべきだったか、あるいはスーパーの惣菜で宿飲みにすべきだったかと一瞬後悔させられました。
しかし、局面が変わったのはその後のことです。おばちゃんと若者が二人で差配していた厨房に、どこかで休憩していたと思しき別のおばちゃん二人が加わりました。そして、自分一人だった一階の席に、後からお客が二組入ってきました。遅い時間だというのに、二階の宴会場にもまだお客が残っているようで、三々五々注文が入って、おばちゃんたちはなかなか忙しそうです。こうなると俄然活気が出てくるというもので、カウンター越しに眺める厨房も様になってきます。ある程度の大店には適度な賑わいが大切という事実に改めて気付かされました。
おばちゃんたちのきびきびした動きと、清潔に保たれた広い厨房からして、おそらくここがテーブルを整然と並べた大衆食堂だったとすれば、一人で呑むにも申し分ない店だったのだろうと想像します。一時は敗北感にとらわれる場面もあったとはいえ、この店の美点を発見して終われたのは幸いでした。

★しろう
西之表市東町24-6
0997-23-2117
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 21:46:28 | 九州
58号線をひたすら進んで西之表の宿に戻りました。やや遅くなりましたが、この後は酒場で一献傾けます。
一献傾けるといっても、鹿児島市内と違って心当たりは一切ありません。しかし、五島、対馬に屋久島と、近年旅した離島では、同様の状況で自らの嗅覚を駆使し、少なくとも並以上の店を探り当てており、特に屋久島で訪ねた店は秀逸でした。
宿に戻る途中に西之表の市街を一通り物色した限りでは、ささやかながらも呑み屋街があって、奄美の名瀬、五島の福江などには及ばないとしても、対馬の厳原とはおおむね互角という印象です。過度な期待は抜きにして、島の地焼酎で一杯やれればそれでよしと割り切り、目星をつけた店を訪ねてみます。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 19:42:11 | 九州
南国の空もさすがに暗闇となり、あとはまっすぐ西之表に引き返すだけと思ったところ、目の前、いや頭上には驚くべき光景が。車外へ出ると、文字通り満天の星空が広がっていたのです。それもただ空一面に星が出ているというのではなく、無数の小さな星が、文字通り銀河のように散らばっています。これほどの星空は北海道でもお目にかかったことがありません。
これは偏に、周囲がそれだけ暗いということでもあります。何しろ視界に入る人工の明かりといえば、彼方の屋久島にいくつか点在するだけで、こちら側にあるのは彼方で光る小さな灯台だけです。星空もさることながら、これほどの暗闇もほとんど経験がありません。
この星空を写し止めるのは、手持ちの機材をもってしても不可能です。打ち寄せる波の音と、轟々吹き付ける風とともに、五感を研ぎ澄ませて自ら感じ取るしかないでしょう。しかし、自身にとって末長く印象に残る光景であることだけは間違いなさそうです。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 19:06:08 | 九州
日が沈んだとはいえここは鹿児島、西の空にはまだ明かりが残っています。手元の地図を頼りに、夕景がおすすめという島間の町外れの海岸にやってきました。評判通り屋久島が正面に鎮座し、彼方の空が紫色から漆黒へ移り変わろうとしています。これ以上欲張るのはさすがに無理なので、しばらくここで暗くなるのを見届けることにしましょう。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 18:21:48 | 九州
さらに南下し、国道58号線の終点となる島間港にやってきました。西之表から南下してきた国道が終わるのは、広々した岸壁の片隅に、屋久島へ渡るフェリーの小さな待合室がぽつんとあるだけの港でした。奄美大島の終点である古仁屋港が、加計呂麻島へのフェリーが発着するそこそこ賑やかな港だっただけに、似たような光景を想像したところが、こちらは起点の西之表港以上にあっさりしたものというのが実感です。行き交う車もほとんどない閑散とした港の片隅に、JRのコンテナが一つ置かれており、どこを旅してこの港にたどり着いたのかと想像をかき立てられます。
ここでとうとう日が沈み、否応なしに時間切れです。しかし、多少の積み残しはありながらも、きりのいいところで終われたのは幸いでした。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 18:09:51 | 九州
結局時間が押してきたため、南端まで走破するのは難しいとみて、再び島を横切り西側の海岸に出ました。とにかく何もなかった東岸に対し、こちらは所々に集落が散らばり、交通量もわずかながら増えたような気がします。海岸段丘も長い砂浜に変わりました。
渺茫たる太平洋が広がっていた東側に対し、こちらでは夕日が次第に沈みつつあり、左手には屋久島の影が浮かんでいます。惜しむらくは、帯のように流れた雲が夕日を覆い、さらには屋久島をも半分以上隠してしまっていることです。しかし、一ヶ月に三十五日雨が降るといわれる屋久島に、快晴を期待するのがそもそも無理な話というものでしょう。屋久島に渡った昨秋、天候に関して空振り続きだったことを思えば、これだけ晴れてくれれば上出来です。これ以上多くを望むのはやめにしておきましょう。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 17:11:27 | 九州
島の東岸に沿って淡々と南下中です。今まで旅した離島と同様、最初は捉えどころがなかった種子島の車窓ですが、ここまで走った第一印象として思うのは、「何もない」ということです。西之表の市街を出て少し走れば早くも人家がほとんどなくなり、先行車はもちろん対向車もほとんどないというのどかさです。西之表の市街でさえ、スーパーもコンビニもほとんど見当たらなかったことからすると、ある程度予想できたことではありました。
意外だったのは、海沿いの眺めが屋久島にどことなく似ているということです。海面から独立峰のように屹立する屋久島に対し、見るからに平坦な種子島だけに、地形も全く違うだろうと想像していたところが、海沿いに平地がほとんどなく、海岸段丘が延々続くという光景は、屋久島を宮之浦から安房方面に走ったときの光景によく似ています。
そんな中、種子島ならではの光景を挙げるとすれば、内陸のなだらかな丘陵にさとうきび畑が広がっていることでしょうか。とはいえ、教会の多い五島、リアス式の複雑な海岸線が続く対馬ほど際立った特徴はなく、それが遠目にも平板な種子島らしいところといえそうです。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 15:03:57 | 九州
なんだかんだで手間取りましたが、ようやく本格的な移動を開始します。既に関東でも六時過ぎまで明るい時期です。九州の果てまで下れば、日没まではそれなりの時間があるでしょう。明るいうちにどうにか南端までたどり着ければよいのですが。
なお、今夜の宿に立ち寄り、花見のできる場所についてたずねたものの、少なくとも見物客が集まるような名所はないとのことでした。まあ、沖縄と北海道の例からしても、ひとたび内地を外れると、花見というのはそんなものなのかもしれません。過剰な期待は抜きにして、桜の咲いている場所をいくつか見つけられればそれでよしということになりそうです。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 14:51:09 | B級グルメ
朝食から適度に間が空いたところでお昼をとります。港の近くの食堂も悪くはなかったものの、本日は「ほっともっと」のから揚げ弁当を選びました。先ほど通りがかった神社の境内に桜が咲いており、おあつらえ向きのベンチまであったため、ここでささやかながらも花見ができるという寸法です。

★ほっともっと 西之表店
西之表市西町7068-2
0997-22-0488
700AM-2100PM
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 13:58:21 | 九州
鹿児島市内の状況からある程度予想できたことではありますが、種子島でも桜が咲いています。山桜が満開から散り際にさしかかり、代わってソメイヨシノが咲いているという状況で、これなら花見も十分成立しそうです。ただし、出発の時点では、この時期に花見ができるという事態は想定していなかったため、一切の事前情報はありません。一旦港に戻り、観光案内所で花見のできる場所をたずねてみるのがよさそうです。
ちなみに、この時期に離島を旅するというと、自身思い出すのは二年前に訪ねた対馬と壱岐です。寒風が吹きすさんでいた対馬と、汗ばむほどの陽気だった壱岐とで全く好対照だったのが印象に残っています。今日の気候はその中間といったところで、日差しの強さに南国らしさを感じる一方、吹く風は暑からず寒からず実に適度。白い雲が浮かんだ空も清々しく、まさにこの上ない天候になっています。
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離島の旅in九州 番外編

2014-03-21 13:33:40 | 九州
業務連絡です。その後種子島の西之表港に上陸し、レンタカーを引き取って移動を開始しようとするところです。期待通りの好天に恵まれ、三時間半の航海を通じて終始デッキに立ち通しだったため、記事にすれば相当数に上る様々なことがありました。しかしこれだけため込んでしまうと、移動の合間にまとめるのは事実上不可能です。少なくとも日中は動けるだけ動き、ある程度まとまった時間ができたときに掲載していくという方針で進めます。快晴かつ桜も見頃という状況からして、今回は最後まで更新が追いつかないという可能性も出てきましたが、ご了承のほどお願いします。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 13:25:29 | 九州
まずは旅の初めにふさわしく、港の近くにある58号線の起点から出発します。
起点といっても、鹿児島の西郷銅像前のような光景を思い浮かべてはいけません。鹿児島港の岸壁に突き当たった58号線が、100kmあまりの海上区間を経て再び上陸するのは、漁協の倉庫が並ぶ殺風景な港の一角で、目の前には農協と寂れたAcoopがあるだけです。しかも、そこから始まる道はごく平凡な生活道路然としており、事前に知らなければこれが那覇まで続く国道とは思わないでしょう。しかし、沖縄本島の58号線が、共同売店以外に何もない小さな集落の、何の変哲もない橋のたもとで始まることを考えると、こちらの方がはるかに起点らしいといえなくもありません。
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離島の旅in九州 二日目

2014-03-21 12:48:21 | 九州
レンタカーを引き取って出発します。離島といえば地場のレンタカーを利用したいところではありましたが、今回は格安の業者が見つからなかったため、去る冬に津軽で二度世話になったオリックスレンタカーを選びました。相棒はダイハツムーヴです。
大まかな経路としては、まず島を横切り東海岸へ出て、あとは海沿いをひたすら南下しようと考えています。そうすると、南端まで走る頃には日が傾いてくると予想されるため、近くにある夕日の名所で日没を見届けられるという算段です。あとは西之表に戻って一泊し、翌日は時間の許す範囲で北部を回ります。
もっとも、これはあくまで理想に過ぎません。離島を何度か旅した経験上、さほど大きくない島であっても、島内の外周を一回りすることさえ難しいものです。実際のところは、半周以上できれば上出来ではないでしょうか。
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