日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 22:33:36 | 居酒屋
風呂に浸かって一息ついたところで再び外へ出てきました。二軒目にして真打ちの「はすや」で一献傾けます。
この店のお通しがうまいと前回申しましたが、本日は鱈の素揚げをおでん出汁に浸して温野菜を添えたもので、凍えるような寒い夜には骨身にしみる一品です。続いて刺盛りを注文し、あとは腹具合と酒の進み具合に応じて一品と酒肴を二品三品というのが、ここでの標準的な組み立てになります。普段は刺身など頼んでも一品限りのところが、この店に限って躊躇なく刺盛りを選ぶのは、津軽の魚介があまりに豊富で絞りようがないのもさることながら、ここの刺盛りが六点七点盛られて千円ぽっきりと非常にお得なのです。「さくら水産」の六点盛りが950円することを考えれば、この内容でこの価格はお値打ち品と言ってよいでしょう。
それにしても、寒さにやられたのか、それとも病み上がりだからなのか、一杯あおった途端に疲労が吹き出してきました。たとえていうなら、徹夜走行で朝一番に乗り込み、花見で日がな一日歩き回った後のようなものとでも申しましょうか。この調子だと宿に帰るやいなや倒れるように眠り込むことになるのでしょう。やはりまだ万全ではないようですorz

★はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400AM(日曜定休)

豊盃・華一風
お通し(たら素揚げ)
刺盛り七点
あじ味噌あぶり
ホタルイカ正油漬
カキの味噌汁
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汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 21:52:01 | 東北
九時の消灯とともに切り上げて宿に戻りました。それにしても今夜の寒さは格別でした。なにしろ、ものの数分立ち止まれば爪先が冷え切ってしまい、靴を脱いで揉んだりさすったりしなければ痛くて歩き出せないほどです。外気に触れた瞬間全身がこわばるような北海道の寒さとはあくまで別次元とはいえ、身体の芯まですっかり冷え切ってしまいました。今は身体が酒よりも熱い風呂を何より欲しています。今夜の二軒目は一風呂浴びて身体をほぐしてからということになりそうです。
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汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 20:42:11 | 東北
本丸から西濠沿いの通称「桜のトンネル」まで下りてきました。かまくらの明かりが灯る土手の向こう側に対して、冬の晩に西濠沿いを歩く人の姿はなく、それどころか街灯の明かりすらありません。ぼんぼりで照らされた夜桜の賑わいが嘘のような静けさです。華やかな光景を思い浮かべつつ、この静かな道を一人歩くのがまたよいのです。
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汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 20:10:37 | 東北
本丸から蓮池を見下ろします。日中は岩木山を真正面に望めることで知られる、弘前公園随一の眺望を誇るこの場所ですが、花見の時期と並んで四季の中でもとりわけ絵になるのが雪燈籠まつりのときです。岩木山の向こうに日が落ちる頃、小さなかまくらにロウソクの火が灯され、辺りが次第に暗くなる中、眼下にある池の畔に無数の小さな明かりが浮かび上がるのです。今回この夕景を眺めることはできなかったものの、暗闇に数百の明かりがまたたく様は実に風流で、ある意味雪燈籠以上の絵になります。
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汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 19:13:59 | 東北
一杯引っかけたところで、弘前公園の雪燈籠まつりを見物します。去年は建国記念の日が土曜に重なるという無粋な暦のあおりを食い、やむなく見送ったこの雪燈籠まつりですが、二年ぶりに訪ねて驚いたのは、主役である雪燈籠の数が随分減ってしまったことです。まず、追手門から奥へと延びる道沿いの燈籠が一切なくなってしまい、その他の場所でも大きく間引かれて、ざっと見たところ例年の半分程度といったところでしょうか。もっとも、雪燈籠自体はどれも似たり寄ったりなので、考えようによっては二本だろうが一本だろうが大差ないともいえます。それよりも印象的なのが今夜の雪です。空には星が出ており、これなら雪など降らないだろうと思わせておきながら、実は埃のように細かい雪がどこからともなくゆっくりと舞い降りてきており、しかもそれが街灯の明かりに透かして初めて分かるのです。青白い光に浮かび上がる城郭と夜空にまたたく星、そこからはらはらと舞い降りる粉雪、実に幻想的な光景です…
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汽車旅in東北 2013Part2

2013-02-09 17:06:08 | 居酒屋
結局ほどなくして雲が出てしまったため、予定通り「しまや」の暖簾をくぐりました。教祖が幾多の著作で紹介してきたこの店ですが、何度か前を通りがかって分かっていたのは、店構えはごく平凡だということで、教祖の著作にもそのことが最初に書かれているほどです。今までことごとく素通りを繰り返してきたのは、「はすや」という不動の存在が控えているのもさることながら、この平凡さに食指が動きづらかったからでもあります。今回津軽に二泊をあてがい、なおかつ初日の早い時間に弘前市街へ入ったのは、半分は雪燈籠のためであり、半分はこの店で呑むためでした。すなわち、この店へ開店後のなるべく早い時間に入り、しかる後に雪燈籠見物を挟めば、「はすや」と無理なく両立できるという算段です。
かくして暖簾をくぐると、店内の造りも店構えと同様ごく平凡で、入ってすぐの場所には七人ばかり掛けられる直線のカウンターと小上がりが一つ置かれ、建物の奥手に宴会用の座敷があるという造りのようです。品書きもごく素っ気ないもので、正面の壁に掛かった小黒板に三種の刺身と六種ばかりの郷土料理が並び、酒の品書きなどはありません。壁面に並んだボトルと冷蔵庫の中身から、酒は地元弘前の豊盃、ビールはキリンかサッポロの中瓶、それに焼酎がいいちこと白波だということは分かります。その豊盃は普通酒で、しかも都会の呑み屋で時折見かける「ん」ではなく、地元で古くから呑まれてきたであろう「上撰」です。要は、品書きを見ながら酒をあれこれ選ぶような店ではなく、「酒」「ビール」「焼酎」の一言で済むような簡素さだと思ってもらえばよいでしょう。肴についてもしかりで、カウンターの目の前には惣菜を盛った大皿とバットが並び、こちらについてはいちいち品書きなどはありません。これは、品書きなどなくとも一目で分かる品ばかりだからで、右から三つ並んだ大皿は煮豆腐とおひたしと肉じゃが、バットは身欠き鰊、大鰐もやし、茄子巻き、いか、なまこにもずくといった具合に並んでいます。
以上のことを総合すると、平凡な店構えとどこにでもある酒と肴の組み合わせということになり、この店のどこが「居酒屋百名山」の一つに列せられる名店なのかと不思議に思えてくるところです。しかし、この店の妙は、ごく平凡な家庭料理で酒が呑めるということ自体にありました。惣菜の一つ一つは丁寧に仕込まれていて、酒というよりご飯に合いそうな品々です。もしこの店が職場の近くにあるなら、まずお銚子を一本空け、あとは好きなおかずとご飯と味噌汁をいただいて帰りたいと思わせるような、ほっとする味わいとでも申しましょうか。東北人にしては珍しいほど陽気でおしゃべりな女主人と、女子高生のアルバイト三人組による家庭的な雰囲気も居心地をよくします。
出色だったのは貝焼味噌です。聞けば、津軽の呑み屋で郷土料理として出される帆立入りの貝焼は、もともと青森から広まったもので、弘前の家庭では昔から玉子と味噌だけだったのだそうです。ところがこの質素な貝焼が、いまだかつてなかったほどの美味で、最初の一口で思わず刮目させられました。これは玉子と味噌と出汁を吟味し、さらにはこれらの配合と火加減を完璧にこなさなければできない芸当で、他の惣菜にも同じような職人芸が詰め込まれているのでしょう。当たり前のことを当たり前にできるのが名店の証と常々申してきましたが、そのことを改めて実感する仕事ぶりでした。

しまや
弘前市元大工町31-1
0172-33-5066
1500PM-2200PM(LO)日曜定休

豊盃二合
身欠きにしん
茄子しそ巻き
大鰐もやし
貝焼味噌
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2013-02-09 15:38:21 | 東北
毎度おなじみ弘前のスーパーホテルに投宿しました。ここで思わぬ展開が。雪雲が晴れて日が差してきました。それも、津軽にしては珍しい、雲一つない真っ青な空です。何分道東ではなく津軽のことだけに、そう長続きするものとも思えませんが、これなら酒など呑んでいる場合ではないため、場合によっては市内見物から始めることになるかもしれません。
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2013-02-09 14:32:21 | 東北
三時間半の滞在を経て、弘南電車で弘前へ移動します。着いた頃には宿のチェックインが始まり、荷物を置いて街に出れば教祖おすすめの「しまや」に立ち寄れ、店を出る頃には雪燈籠の明かりが灯る黄昏時です。そのまま暗くなるのを見届け、九時の消灯まで見物してから宿に戻ると、今度は「はすや」で一献傾けることができます。今日の時間配分はまことに理想的です。

★大鰐1430/23レ/1458中央弘前
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2013-02-09 13:42:44 | 温泉
お待ちかねの温泉で冷えた身体を温めます。温泉に入るだけなら道の駅併設の温泉施設が駅前にあるとはいえ、温泉街まで歩いても10分かからないのですから、共同浴場を選ばない手はありません。大荷物を抱えての移動だけに、近さ重視で前回訪ねた「若松会館」を再訪しますが、明るいうちに眺めると、思った以上に立派な建物です。

★若松会館
南津軽郡大鰐町大鰐58
600AM-2100PM(毎月18日定休)
入浴料 200円
泉質 ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
泉温 68度
pH 7.2
湧出量 940l/min
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2013-02-09 13:01:45 | 東北
駅前通を温泉街へ向かって歩きます。弘前や黒石と比べてしまっては元も子もないとはいえ、入母屋の堂々たる木造家屋や古い商店が軒を連ねるよい町並みです。「林檎移出商」と大書された看板建築がよい味を出しています。
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2013-02-09 11:58:04 | B級グルメ
頃よく腹が空いてきたところでお昼をとります。駅前の食堂に「もやしラーメン」なる幟が立っていたためこちらを選択。ご当地名産の「大鰐温泉もやし」を使ったラーメンで、横浜名物の「サンマーメン」のようなものかというとそうではなく、ごく普通の中華そばに、油揚げと一緒に煮込んだもやしをこんもり盛ったものというのがその正体です。要はラーメンの付け合わせにもやしの煮物が出てきたようなもので、もやしを味わいたいならもう一つの看板と思しき「もやし炒め定食」の方が、ラーメンを味わいたいなら普通のラーメンの方が、それぞれ適しているような気がしないわけでもありません。煮干しが香るスープにチャーシュー、なると、メンマと葱を散らした中華そばに関しては津軽らしい一品ではあります。

山崎食堂
南津軽郡大鰐町大鰐前田34-21
0172-48-2134
1030AM-1900PM(第二・第四土曜定休)
おおわにラーメン650円
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2013-02-09 11:26:55 | 東北
大鰐に着きました。木造の古びた跨線橋と、案内板に書かれた「大館 秋田 山形 大阪方面」の文字が旅情を誘います。あえて「上野」ではなく「山形」を並べるのは、上野へ行くなら青森経由の方が早いからなのでしょう。しかし、ミニ新幹線によって奥羽本線がいくつもの区間に分断されてしまった今、青森から山形へ列車で行く物好きがどれだけいるのでしょうか。東北本線、常磐線に奥羽本線、さらには羽越本線と、青森との間をいくつもの経路で列車が結んだ古きよき時代が偲ばれます。
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2013-02-09 10:25:21 | 東北
「あけぼの」の遅れが波及し、先ほど8分遅れで新青森を出ました。発車に際しては一騒動がありました。そもそもの発端は、通常なら4連で運転されるこの列車が、本日は連休につき6両に増車されたということです。それ自体はよいことだとしても、まずかったのは案内放送です。曰く、自由席の乗車口が変更となり、代わりの乗車位置は「9番、12番、15番」であると。しかるに、ホームの掲示を探しても、該当する番号は普通列車の乗車位置で、本当にここでよいのかがよく分かりません。ホームに立つ警備員も要領を得ず、乗車位置が変わったことを拡声器で告げるのみで、挙げ句の果てには元の乗車位置を案内しだすような始末です。今更そう言われても、一旦列を離れて並び直してしまった以上どうすることもできず、仕方なくそのまま待っていたところ、程なくして列車が入線してきました。結局整列乗車も何もなく、ホームに散らばる乗客が近くの乗車口へなだれ込むという事態に。職員同士の業務連絡ならともかく、お客を案内するなら、本日に限り普通列車の乗車位置を使うことと、その乗車位置がホームの前、中、後のどこにあるかといった程度の案内はするのが当然というものでしょう。少なくとも自分の耳には、初見の乗客にも分かるように案内しようとする言葉は聞こえてきませんでした。
せめてもの救いだったのは、代走に入った6連が、新潟から応援に来た国鉄特急色の485系だったということです。増結により立ち客が出ることもなかったので、万事丸く収まったということにしておきましょう。しかし、気の短い客なら食ってかかってもおかしくないところです。久方ぶりのひどい対応でした。

★新青森1011/つがる4(2044M)/1053大鰐温泉
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2013-02-09 10:07:03 | 東北
新青森で列車を乗り継ぎ大鰐へ向かいます。先ほど下りの「あけぼの」が到着し、青森駅へと去って行きました。先月の活動では、この列車で4時間16分などというとんでもない遅れに見舞われました。ましてや昨晩は猛吹雪と聞いていただけに、そもそも運転されるかどうかさえ半信半疑に思っていたところです。ところが今日はわずか14分遅れという健闘ぶりだったのですから、見事と言ってよいでしょう。風雪と戦い抜いた老雄に敬礼…
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2013-02-09 08:44:08 | 東北
順調に北上して盛岡に着き、「こまち」と分かれて先ほど出発しました。先を急ぐ向きにはロスタイムにも思える6分間の停車でしたが、私自身この盛岡での停車時間が嫌いではありません。停車駅を絞って疾走してくるこれまでの区間に対し、盛岡以遠は各駅停車に近くなって速度が落ち、車窓もトンネルばかりに一変します。そんな区切りの駅でホームに降り、外の空気を吸い込めば、ともすれば単調にになりがちな新幹線での移動も、再び新鮮な感覚で楽しめるというもので、新青森から上ってきたときにも同じことがいえます。たとえていうなら、ブルトレ在りし頃に繰り返された下関と門司での機関車交換のようなものと申しましょうか。もちろん旅情の点ではブルトレに遠く及ばないとはいえ、鉄道華やかなりし頃を彷彿させる小休止が心地よいのです。
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