日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

訪ね訪ねて麻布まで

2013-02-18 21:25:49 | 居酒屋
「居酒屋の品書きは季節を先取りして動く」と申したのは、去年の初冬のことでした。それから三ヶ月が過ぎ、季節は冬と春とが交差する二月の半ばになりました。春の気配を居酒屋の品書きに探し求めて、本日は職場帰りの一人酒に繰り出します。訪ねるのはそのとき以来のご無沙汰となる麻布十番の「こま」です。
この店で通されるのは、十中八九が間口から一番近いカウンターの隅です。その指定席に腰掛け、経木と黒板の品書きを眺めれば、まず目に飛び込むのはかき鍋、水炊き、鱈ちり、寄せ鍋と揃った鍋物で、刺身も鰤、カワハギ、白子と冬のものが目立ちます。これに対して春を感じる品といえば、若竹煮、菜の花辛子和え、アサリと春キャベツの酒蒸し、それに「うるい」なる山菜の炒め物といったところでしょうか。春の気配は魚介よりも野菜にいち早く現れるようです。
それでは、早速季節を先取りしてこれらの品を食するかといえばさにあらず。注文するのはおきまりのつくねと焼鳥、必ずしも今が旬とはいえない鰹の土佐造り、それに前回も頼んだ鱈豆腐と、全く節操がありません。しかしこれでよいのです。鱈豆腐には白菜とともに菜の花が使われ、去り行く冬と近づく春を感じるには十分だからです。屋号に冠した「季節料理」の看板に偽りはありませんでした。

こま
東京都港区麻布十番1-5-10 第二石原ビル1F
03-3405-4849
1800PM-130AM(LO)日曜・月曜日の祝日定休

寶劔
お通し三品(きのこ昆布・魚肉豆腐・蒸し鶏)
つくね・やきとり
カツオ土佐造り
ピリ辛たら豆腐
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