静岡に河岸を変えての二軒目は、これもなじみの店として定着した感のある「昇菊」を再訪します。「新生丸」のよさがよりどりみどりの魚介と漁師のぶっきらぼうな客あしらいにあるとすれば、この店のよさとはまず古い呑み屋小路の情緒であり、さらには修行を重ねた料理人の仕事ぶりということになるでしょう。
碁盤状に街路が走り、派手なネオンがきらめいて、清水と違い風情も何もなさそうな静岡の街ですが、表通りをそれると所々に古い小路が残っており、「青葉小路」もその一つです。人がどうにかすれ違える幅の小路を進むと、長屋の中ほどで暖簾を掲げているのがこの店で、古い小料理屋の佇まいがよい風情を醸し出しています。店内も見た目に違わずこぢんまりとしており、1回には7席分のカウンターと厨房、二階にはこれもささやかな座敷が置かれ、両方合わせて20人も入ればすし詰めになるでしょうか。しかし磨き抜かれた白木のカウンターは立派なもので、食器棚の扉に貼られた半紙の品書きからも、素性のよさは自ずとうかがい知れます。
その素性のよさは、まずお通しに表れます。本日差し出されたのはなめろうで、それ自体は比較的容易に発想できるとしても、ポン酢ともみじおろしで和えるところが只者ではありません。今がはしりの菜の花は、辛子和えではなく昆布〆にするというこれまた意表を突く一品でした。だからといっていたずらに奇をてらっているわけではなく、天ぷらなどは注文を受けると小さな俎板にネタを乗せ、銅の天ぷら鍋で揚げるという正統派です。そんな職人芸を間近に眺めつつ、白木のカウンターで酒を酌むという小粋さがよいのです。
★昇菊
静岡市葵区両替町2-3
054-272-0701
1730PM-030AM(日祝日定休)
志太泉×2・臥龍梅・花の舞
お通し(なめろう)
菜の花昆布〆
太刀魚天
湯とうふ
碁盤状に街路が走り、派手なネオンがきらめいて、清水と違い風情も何もなさそうな静岡の街ですが、表通りをそれると所々に古い小路が残っており、「青葉小路」もその一つです。人がどうにかすれ違える幅の小路を進むと、長屋の中ほどで暖簾を掲げているのがこの店で、古い小料理屋の佇まいがよい風情を醸し出しています。店内も見た目に違わずこぢんまりとしており、1回には7席分のカウンターと厨房、二階にはこれもささやかな座敷が置かれ、両方合わせて20人も入ればすし詰めになるでしょうか。しかし磨き抜かれた白木のカウンターは立派なもので、食器棚の扉に貼られた半紙の品書きからも、素性のよさは自ずとうかがい知れます。
その素性のよさは、まずお通しに表れます。本日差し出されたのはなめろうで、それ自体は比較的容易に発想できるとしても、ポン酢ともみじおろしで和えるところが只者ではありません。今がはしりの菜の花は、辛子和えではなく昆布〆にするというこれまた意表を突く一品でした。だからといっていたずらに奇をてらっているわけではなく、天ぷらなどは注文を受けると小さな俎板にネタを乗せ、銅の天ぷら鍋で揚げるという正統派です。そんな職人芸を間近に眺めつつ、白木のカウンターで酒を酌むという小粋さがよいのです。
★昇菊
静岡市葵区両替町2-3
054-272-0701
1730PM-030AM(日祝日定休)
志太泉×2・臥龍梅・花の舞
お通し(なめろう)
菜の花昆布〆
太刀魚天
湯とうふ