昨日泊まった奈良のように、ある街で気に入った呑み屋ができると、あえて新規開拓をする気が起こらなくなるということが往々にしてあります。松山もしかりで、
前々回初めて訪ねた「せくら」が非常によかったということもあり、
前回はこの店一軒限りでした。本日の宿泊地を松山にしたのも、この店が今日から開くと事前に確認していたからで、松山に着いたら真っ先に直行するつもりでいたわけです。ところが、宿の至近距離に同じく教祖おすすめの「たにた」が。これも何かの縁かと思い立ち、予定を変更してまずはこちらへ飛び込むことにしました。
暖簾をくぐると、そこにあるのは正面に据え付けられたカウンター席と申し訳程度のテーブル席で、二階にテーブルか座敷があるという造りのようです。一人客の自分は靴を脱いで座るカウンター席へ。立派な白木の一枚板、天井まで届く造り付けの食器棚、ふぐとオコゼが泳ぐ生け簀などが据え付けられたカウンター回りからして、教祖が好む居酒屋使いのできる割烹と形容するのが適切なのでしょう。品書きについてもしかりで、正面の黒板にはよりどりみどりの魚の名とともに、それらに合った調理法が記されており、たとえば鯛なら刺身、薄造り、あらだきに骨蒸し、鰆であれば刺身、たたき、炙りに塩焼きといった具合です。この魚をお好み次第で一品二品選び、ホワイトボードに書かれた一品料理と組み合わせれば、まことに理想的な居酒屋の献立になるという案配です。
注文は暖簾を掛けた小窓の向こうの厨房に通され、頃よい間合いで運ばれます。切子の小洒落た徳利とグラスも、鰆のたたきの美しい盛り付けも、居酒屋というよりたしかに割烹のそれです。少なくとも、いちいち勘定を気にしながら呑むような店ではなく、品書きに価格表示がないのもそのためなのでしょう。とはいえそこは先人も推す名店だけに、驚くような請求をされることはありません。事前に覚悟していた勘定よりも大分低めで、なおかつ端数をまけてくれるのもありがたい心遣いです。
カウンターには割烹着姿の女将が立ち、客あしらいの上手さはさすがです。聞けば元日以外は通年店を開けているとのことでした。そうと分かっていれば、一日早く松山に乗り込み、四国に二泊するのが正解だったのかもしれません。来年以降の参考とさせていただきますφ(. . )メモメモ
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たにた
松山市二番町3-7-4
0899-45-2300
1100AM-1400PM/1700PM-2300PM(元日休業)
雪雀・小富士
突き出し(まぐろ角煮)
じゃこ天
小だこ旨煮
鰆たたき
さより天ぷら