日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春は別れの季節

2012-02-18 23:03:04 | 北陸
列車は北陸路を駆け抜け新潟との県境に近づいてきました。夏場のキャンプでおなじみの「北陸本線キャンプ場」を通り過ぎれば富山平野は尽きて、行く手には親不知の天険が立ちはだかり、北陸路は名実ともに終わりを迎えます。
仲間内で十年来続いてきた恒例行事である北陸キャンプには、明確な流れというものがあります。まだ日の高い5時過ぎに、「トワイライトエクスプレス」の通過とともに乾杯し、辺りが次第に暗くなる中、行き交う列車を横目に見つつ延々酒盛りに興じるというのがいつもの展開です。そして「日本海」「能登」「きたぐに」と深夜に三本続く夜行列車の通過を見届けた後、片付けもそこそこに三々五々眠りにつき、明け方の貨物列車の通過音で目覚めて、機材の撤収と簡単な朝食を済ませて散会するのです。しかし時は流れて、三本あった夜行列車は全て臨時列車に格下げとなってしまいます。北陸本線の末端区間に辛うじて残った急行型電車が姿を消せば、めぼしい列車は貨物列車と新潟からの「北越」がせいぜいとなるのでしょう。長編成を連ねた百花繚乱の列車が行き交い大幹線の風格に充ち満ちていた北陸本線も、これで随分と淋しくなってしまいそうです。
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春は別れの季節

2012-02-18 21:46:29 | 北陸
金沢を発車したところで始発駅と同じ「ハイケンスのセレナーデ」が流れてきました。深夜帯の減光と放送省略、それに途中の停車駅と到着時刻を伝える本日最後の車内放送です。我々と同じくお別れ乗車を目当てにした客が大半だろうというのに、車内は意外なほどに静まりかえって、旅情も否応なしに高まってきました。しかし、かつては全国の津々浦々で当たり前のように繰り返されたこんな場面も、この列車が姿を消せばますます貴重な存在となってしまいます。この先そう何度も聞けないであろうメロディに耳を傾ければ、胸中を複雑な思いが去来します。
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春は別れの季節

2012-02-18 19:39:22 | 近畿
列車は山科から湖西線を走破し近江塩津に到着しました。まだ滋賀県内だというのに、ホームに積もった雪の深さが半端ではありません。これから北陸、東北と進むにつれてどこまで雪深くなるのでしょうか。
北陸本線へ入る前に、この駅で運転停車し後続の特急列車に道を譲ります。通過線を駆け抜ける「サンダーバード」は大阪を18時12分に出て終点の金沢には21時03分着と3時間を切るのに対して、こちらは大阪発が17時47分、金沢着が21時29分ですから、同じ区間を走るのに1時間近く余計にかかっています。この先加賀温泉ではさらに30分遅く大阪を出た特急にも抜き去られ、かつて日本海縦貫線の花形として君臨した看板列車も落ちぶれたものだと少し切ない気分にさせられます。しかし、仮に大阪から青森までを昼行列車で走破しようとするなら、大阪を昼過ぎに出てその日のうちに新潟へ着くのがせいぜいで、翌朝の始発の特急を乗り継いでも、その日の夕方までに青森へ着くのがやっとです。そう思うと、夕方に出て翌朝には青森へ着くこの列車も、実は驚くほどの健脚であることが分かります。「ウサギとカメ」の寓話のごとく、たとえ歩みは遅くとも、夜通し走れば最新鋭の特急電車をもってしても到達できない遠くまで走れるのですから、夜行列車も捨てたものではありません。そんな列車が合理化の名の下に次から次へ切り捨てられて行くとは、何とも世知辛い時代になったものです。
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春は別れの季節

2012-02-18 18:25:01 | 近畿
列車が京都に近づいたところでようやく一息つく余裕が出てきました。これまでの労苦をねぎらい瓶ビールで乾杯します。遅まきながら紹介すると、今回は一人旅ではなく、今年でとうとう二十年来の付き合いに突入した活動仲間二人と行動を共にします。といっても出発から帰着までが同一行動なのではなく、この列車の前後はそれぞれ別行動というのがいかにも旅人らしいところで、皆それぞれに変わった経路の乗車券を仕立てています。一人は食料を、もう一人はビールを、そして自分は酒を買って列車に乗り込み、開放式B寝台の一区画を占拠して酒盛りする、これが何より楽しいのです。開放B寝台に関する限りは、一人旅より気心知れた仲間同士で乗る方が合っています。私自身、仲間から誘われなければ、地元とは縁もゆかりもない大阪から青森への夜行列車へ乗ろうなどとは考えなかったことでしょう。最後の最後に思わぬ形で乗車の機会がめぐってきたのは幸運でした。
ちなみに、缶ビールではなく瓶ビールを選ぶのは、寝台のテーブルに「栓抜き」が備え付けられているからです。列車のテーブルに栓抜きと聞いてどんなものかを想像できる人々が、今の時代に果たしてどれだけいるのでしょうか。しかし、一昔前でさえ貴重な存在だった栓抜きが、生きた化石というべきこの列車には当然のように残っています。過去の遺物と化した栓抜きに本来の役割を果たしてもらい、昔懐かしさを味わうというのがこれまたよいのです。
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春は別れの季節

2012-02-18 17:58:10 | 近畿
定刻より10分遅れて只今大阪駅を発車しました。 専用の編成で仕立てられた一日一本限りの列車ですから、一度出てしまえば途中駅で引き返すなどという選択は事実上考えられません。行く手には風雪吹きすさぶ日本海が待ち構えており、難航する場面も多々予想はされるものの、少なくともこの列車に乗るという目的だけは達成されたわけで、散々気をもんだだけに安堵感もひとしおのものがあります。しかし、安堵感に先立つのはむしろ疲労感です。どう転ぶか分からない状況の中、直前までぎりぎりの決断を迫られ続けた挙げ句の慌ただしい出発で、今は放心状態というのが率直なところです。汽車旅の楽しみを実感できるまでには、しばらく時間が要りそうです。

★大阪1747/日本海(4001レ)/845青森
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春は別れの季節

2012-02-18 17:51:06 | 近畿
駅前で買い物などをしているうちに発車時刻が迫ってきました。発車の小一時間も前からホームに据え付けられて悠然と発車を待つのが寝台列車の常ながら、この「日本海」は入線からわずか6分の間合いで慌ただしく発車して行きます。しかも今日はダイヤの乱れで入線が遅れており、乗客を収容次第即発車ということになりそうで、旅立ちの風情を感じる間もないのが少々残念です。
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春は別れの季節

2012-02-18 17:28:28 | 近畿
新幹線の遅れが思ったほどには拡大せず、終わってみれば7分の遅れで新大阪に着きました。これで予定通り始発の大阪駅から乗車できます。元の予定に戻っただけのこととはいえ、ここまで来るには紆余曲折がありました。いわば前座の段階でこれほどまでに消耗した活動もそう多くはないでしょう。
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春は別れの季節

2012-02-18 16:36:23 | 近畿
米原を通過したところで車窓が一面の銀世界に変わり、順調に走ってきた列車も減速運転に入りました。東海道筋で雪といえば関ヶ原という印象に反して、よくよく考えると本当に雪が多いのは米原から先の琵琶湖東岸ではないでしょうか。とはいえこれほど見事に積もった光景は初めてです。雪国には遠く及ばないとしても、先月訪ねた盛岡福島並みの雪はあるでしょう。もう散々使い古した言葉とはいえ、この冬の厳しさを改めて実感せずにはいられません。
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春は別れの季節

2012-02-18 16:11:32 | 東海
名古屋に着きました。ただそれだけなら何でもないこととはいえ、今回は特筆すべきことが一つあります。二本ある下りホームのうち内側の16番線に入ったのです。それがどうしたと思われるかもしれません。しかし、過去何十回とこの駅を通り過ぎた中で、16番線に入ったのは記憶する限りこれが初めてなのです。京都、新大阪、岡山、広島、小倉、博多と、主要駅の着発線はある程度散らばっており、名古屋でも上り線なら二本とも当然通過しています。しかし、下り列車で名古屋へ着くと、一度の例外もなく外側の17番線に着いてしまうのです。大宮駅の15番線16番線など、ほとんど発着がないホームならともかく、少なからぬ列車が発着するはずの名古屋駅のホームで、どういうわけか外側のホームにだけ発着するということが、心の片隅に少しだけ引っかかっていたのは事実でした。今回「宿願」を果たして、ようやく積年の胸のつかえが下りたような気分です。こんなことで一喜一憂できるのですから、鉄道好きというのはある意味幸福な生き物ですね…
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春は別れの季節

2012-02-18 15:13:22 | 東海
只今定刻通りに静岡を発ちました。今回ひかり号を選択した理由は、「のぞみ」ではレール&レンタカーの割引を受けられないという制約があるからです。しかし、一時間に一本の再速達列車だった当時はともかく、「のぞみ」が「ひかり」に取って代わり、この列車でなければ岡山以遠に直通できなくなった今、レール&レンタカーの割引対象から外すというのはサービス低下も甚だしいものがあります。これでは「鉄道で旅行をしないで下さい」と言っているようなものです。「のぞみ」の利用制限が鉄道旅行の衰退に拍車をかける現実には歯止めがききません。
東海道区間では久方ぶりの乗車となるひかり号ですが、静岡まではそこそこの乗客があったものの、そこで後続の「のぞみ」に道を譲ってからは自由席さえ閑散として、かつて夢の超特急とうたわれた名列車の面影はなく、さしずめ東北新幹線の「やまびこ」にでも乗っているような気分になります。時代の流れを感じる光景です。
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春は別れの季節

2012-02-18 13:56:40 | 関東
運行情報に変化がないことを確かめてから新幹線に乗り込みます。大阪駅を列車が出るまで何が起こるか分からないとはいえ、新幹線に乗ってしまえば途中で引き返すことも事実上できません。この先細々したことを気にするのはやめにします。結果としては、予定通り7時の新幹線で出ていれば京都か大阪で半日活動できたところが、昨晩から散々慌てふためいた挙げ句に半日を棒に振ったのですから、全くもって馬鹿げています。キャンセルに制約の出るレール&レンタカーを選択したのが今回は足枷になってしまいましたorz
列車が運転される方向に傾きつつあるのはよいものの、例によって関ヶ原の降雪の影響で京都以遠の到着に15分前後の遅れが見込まれています。15分遅れなら必要十分な余裕を持って大阪駅から乗り込める状況ではあるものの、万一ぎりぎりになるようなら、新大阪または京都での乗り継ぎという安全策をとりたいと思います。

★東京1403/ひかり475(475A)/1703新大阪
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春は別れの季節

2012-02-18 13:36:14 | 酒屋
東京駅に着きました。新幹線のホームへ上がる前に、大阪からの宴に備えて酒を買います。京都で下りて市内に立ち寄り、大津の酒屋で滋賀の地酒を買い込んでから大阪へ向かうという当初のプランが水泡に帰した今、東京駅にこの酒屋があるのは渡りに船でした。行く先々の地酒で揃えたいのはやまやまながら、沿線の地酒は酒田の上喜元と楯野川しか見当たらず中途半端です。結局縛りを捨てて西日本の地酒を四本購入。当初の目論見は狂ったものの、ほぼベストに近い布陣が完成しました。酒の備えはこれで万全です(ニヤリ)

はせがわ酒店 GranSta店
東京駅GranStaB1F
03-6420-3409
700AM-2200PM(日祝日 -2100PM)
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春は別れの季節

2012-02-18 13:01:14 | 旅日記
ぎりぎりの時刻まで様子をうかがったものの運休の情報はとうとう入らなかったため、意を決して出発します。同行する活動仲間によると、Web上はともかく現場では運休の情報が流れているとかいないとかで、真偽のほどはいまだにもって不明ながら、新幹線の時刻も迫っており、もはや猶予はありません。百戦錬磨の旅人を自任するこの私でも、これほどぎりぎりの決断を迫られるのは、新潟から小樽行きのフェリーに飛び乗った二年前の冬以来のことです。大阪駅を列車が出るまで、一瞬たりとも気の抜けない緊迫した活動になりそうです。
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春は別れの季節

2012-02-18 12:01:25 | 旅日記
氷雨そぼ降る早春の寒い夜から一転、都内では明け方から透明な青空が広がり、時刻は正午を過ぎました。絶好の活動日和を我が家で悶々と過ごさなければならないのは、大雪での運休という事態に備えて様子をうかがわなければならないからで、この青空を眺めれば眺めるほど、見切りで出ればよかったと後悔はするものの、こちらが晴れるということはそれだけ日本海側が荒れているということでもあり、動けないのは致し方ないところではあります。昨日は午前中に「あけぼの」の運休が早々と発表され、「日本海」と「きたぐに」の運休も正午過ぎには決まったところが、今日のところはいずれについても運休の情報が入っておらず、何本かの昼行列車に遅れが出ている程度です。午後からは風雪も若干弱まることからすると、八割方運休とあきらめていた今夜の列車が運転される可能性は徐々に復活してきました。本当に走るかどうかはいまだに半信半疑とはいえ、とりあえず出発する前提で身支度したいと思います。出発してから運休の情報が入ればまさに最悪の結末ということにはなるものの、あとはもう前に進むしかありません。1時になっても運休の情報が入らなければ東京駅へ向かいます。吉と出るか凶と出るか(ガクガク)
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