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ふぅん

闇閃閑閊 ≡ アノニモス ≒ 楓嵐-風

長方形のメロンパン

2009-07-16 23:42:31 | 日々随想
それは 昨夜 突然 やってきた
両足のふくらはぎが 泣きたいくらい
痒くて 痒くて 掻くと 痛くて でも 痒くて


朝 光の中で 観察してみたら
5ミリくらい 真っ赤にただれて 膨らんでいて
それは 葉書大の きれいな長方形だった


これは 1週間半くらい前の サッカーの後
湿布を貼った場所で
どうやら 湿布痕が 皮膚を炎症させてるらしい


今日も 一日 痒さと闘って
負けて 掻いて でも我慢して 
でも やっぱり負けて でも もっと痛くなって


よく 乾燥肌や アトピーの人が
血が出るまで 掻いてるのを
「我慢しろよ」 などと 平気で言ってきた


こんなに あるいは これ以上に
辛かったんだね
僕は とても ひどいことを言ってきたことに
初めて 気付いた


メロンパンの皮のように
デコボコに 腫れ上がったまま 皮膚が硬くなってきた
薬は ぜんぜん 効果ないし


治るのかな・・・



「♂」

それぞれのインターバル

2009-07-15 23:36:32 | 日々随想
今夜も さいたまスタジアムで
喉を潰してきた
余裕があるのか 無いのか 冷や冷やしながらの勝利


サッカーは 前半45分
15分の休憩をはさんで
後半45分 プレイが続く


これは ちょうど
コンサートの時間配分に そっくり
前半と 後半の間の インターバルの時間まで そっくり


チェンバロの時は この休憩時間に
調律をして 狂いを治して
後半の演奏に支障がないようにする


サッカーは 選手が休んでいる間
デコボコになったり 剥げてしまった芝を
丁寧に治す人が グランドを歩き回る


調律師としては
こうした 裏方の活躍に
密かに エールを贈る


いつだって 輝く舞台には
たくさんの裏方が 黙々と頑張っている
たくさんの影が ますます輝きを強くしてくれる


僕は 大声と拍手を
輝く プレイヤーと
見えない全てのスタッフに 捧げていたい



「♂」


生きている抵抗

2009-07-14 20:53:49 | 日々随想
引っ越してきた頃には 気付かなかったんだけれど
家と駐車場の わずか30センチくらいの隙間に
木が生えていて いつのまにか 樹木っぽく成長していた


なんとなく あれ?と気付いたのは この春
居間の窓の すぐ傍に 新緑がワンサカしていて
なんだか 嬉しくなったものだ


でも駐車場に出入りする車には ちょっと迷惑らしくて
だから 樹木の低い位置の 枝と葉を 落とした


今まで 様々な種類の木材と 付き合ってきた
堅い木もあれば 脆い木もあって
ノコギリを伝って 樹木の繊維を感じてきた


でも 生きてる木を切るのは
もしかしたら 初めてかもしれない
ノコギリからは 湿った振動が伝わってきた


樹木に 赤い血が流れてなくて 本当によかった
あの感触で 切断面から 赤い液体が流れたら
僕は 卒倒して そのまま熱中症になってしまっただろう


営林局の人と話をした時 面白いことがあった
彼らは 葉や幹から 木材の種類を判断できるけれど
製材された板からは 見分けがつかないという


僕等は その逆で
板の模様や 匂いで 木材の種類が分かるけど
林の中で 生きてる樹木の種類は ほとんど分からない


生きてる樹木を切るのは
なんだか いやだな って思った
あの湿った振動が 生の抵抗に感じた


すっかり水分が抜けきった木材で
楽器にして 新しい命をプレゼントするほうが
僕には 合っているみたいだ


「♂」




紫のシンフォニー

2009-07-13 19:34:06 | 日々随想
遅すぎる 夜の終わりなのか
早すぎる 朝の始まりなのか
そんな 東雲 午前4時


開けっ放しの窓から
ヒグラシのカノンが 
飛び込んできた


もう そんな季節なんだ


一番 好きな音
一番 好きな声
一番 好きな歌


石の建築 西洋の室内は
残響が長いから 
ハーモニーが生まれたらしい


木と紙の建築 この日本では
残響が無いから
点と点の線な音楽 そして斉唱


でも 不思議なんだ


人間の音がしない 紫の時間
天井も壁もない 近くの小さな森の ヒグラシ達の歌は
たっぷりの残響に満ちている


まるで 奥行きのある空間のよう
メッサ・ディ・ヴォーチェ リタルダンド 
クレッシェンド  ディミヌエンド


ヒグラシ達の シンフォニー
指揮者は きっと 紫の神様
僕は もう一度 目を閉じた


雨とか 朝露とか 
濡れた林は 淋しいのかも知れないけど
僕は 午前4時だけ S席の聴衆になれる



「♂」

小さな凱旋

2009-07-12 19:39:22 | 日々随想
仙川は 懐かしい街
もう20年近く昔
2年ほど通勤していた街


時々 仕事で来るんだけれど
今日みたいに 早朝に来たのは
久しぶり


駅前は すっかり変わってしまってるけど
音大へ向う ギッシリした商店街は
なんとなく 面影が残っていて 懐かしさが漂っている


日曜の早朝は 人影もなく
閉じられたシャッターが 寝顔に見えて
静かな通りから 寝息が聞こえそう


あの時 描いていた軌道の上に
僕は いるのかな
あの頃 走り出した放物線
まだ 上昇しているのかな


早目に到着したから 散策して 
変わりゆく街を 歩いて 肯定してみる
変わらない町を 立ち止まって 懐疑してみる


予定より 10分も早く 
ホールは門を開けてくれた
さ 自分の楽器で 小さな凱旋をしよう




「♂」