必ずしも 好きになった人が
好みの顔だとは 限らないんだけど
好みの顔の人には 無条件で 好意を抱く
音大で仕事をしている時
とても 憧れた学生がいた
たぶん 顔が 好みだったのだろう
今 振り返れば
どうして その人の名前を記憶しているのか
よく 分からないんだけれど 何故か覚えている
あれから 20年近く 時間が過ぎて
リハーサルで その人に会った
不思議なくらい その人は 昔のままの笑顔だった
その人の弾く ヴァイオリンは
あの頃より 自由と力が
しなやかな翼のように 宿っていた
こんなふうに 同じ現場で
一緒に仕事をする日が来るなんて
あの頃は 考えもしなかった
不思議な気分
僕だけ 浦島太郎
ちょっとだけ ふぅ って気分で
それ以外は 微妙に ザワザワして
視線を逸らしたまま 耳だけダンボ
いろいろ 舞台を手伝っていたら その人は ペコリと言った
「すいません 調律の方に ここまで やっていただいて」
僕は 泳いだ視線のまま 軽く会釈するのが精一杯
ふうん
そういう声だったんだ
ふうん そうなんだ
明日は ちゃんと 挨拶をしよう
たぶん 無理だけど
好みの顔だとは 限らないんだけど
好みの顔の人には 無条件で 好意を抱く
音大で仕事をしている時
とても 憧れた学生がいた
たぶん 顔が 好みだったのだろう
今 振り返れば
どうして その人の名前を記憶しているのか
よく 分からないんだけれど 何故か覚えている
あれから 20年近く 時間が過ぎて
リハーサルで その人に会った
不思議なくらい その人は 昔のままの笑顔だった
その人の弾く ヴァイオリンは
あの頃より 自由と力が
しなやかな翼のように 宿っていた
こんなふうに 同じ現場で
一緒に仕事をする日が来るなんて
あの頃は 考えもしなかった
不思議な気分
僕だけ 浦島太郎
ちょっとだけ ふぅ って気分で
それ以外は 微妙に ザワザワして
視線を逸らしたまま 耳だけダンボ
いろいろ 舞台を手伝っていたら その人は ペコリと言った
「すいません 調律の方に ここまで やっていただいて」
僕は 泳いだ視線のまま 軽く会釈するのが精一杯
ふうん
そういう声だったんだ
ふうん そうなんだ
明日は ちゃんと 挨拶をしよう
たぶん 無理だけど