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ふぅん

闇閃閑閊 ≡ アノニモス ≒ 楓嵐-風

心の浸透圧

2009-07-10 18:44:02 | 日々随想
4オクターブな時代
バロック初期の 鍵盤楽器は
今に比べれば とても狭い音域


でも 音域の大きさと 楽曲の質は
全く関係ないことを 音楽は教えてくれる


楽器が小さかった頃 
音量も それほど必要でなかった時代
そこから創られた音楽は とてもとても求心的


自分の 中へ中へ 対話しながら
それは 華道のようで 茶道のようで
その基点が 自分自身であることが 大切だった


今や 7オクターブ以上の 華やかなピアノ
大きなホールに 煌びやかに輝く88もの音
それはそれは エンターテイメント


いつからか 音楽は 
聴く人の為に演奏するようになった気がする
自分を濾過させることなく 外へ外へ


観る人の為に 活けられる花は もはや華道でなく
作法だけの為に 喫する茶は もはや茶道でなく
それはそれは エンターテイメント


数百頁の小説より 五七五の俳句の方が
はるかに 奥行きが深かったり
流暢な美辞麗句の羅列より ぎこちない「ありがと」の方が
はるかに 心の浸透圧に近かったり


だから 小さな楽器のメンテは 難しいんだ


「♂」