子供の頃 カルピスは
味も イメージも
凄く ワクワクさせてくれた
親の目を 盗んだ気分で
ちょっとだけ 濃いめの 甘いカルピスに成功すれば
なんだか 夏休みのときめきまで 濃いめになったものだ
日曜の夜 7時半になれば
カルピス劇場という漫画を見たくて
姉と二人で テレビの前で 良い子になっていた
僕は ロッキーチャックより
カケスのサミーの方が 好きだったし
ムーミンより スナフキンの方が
好きだったし
トム・ソーヤより
ハックル・ベリーの方が 好きだった
冬になると ホットカルピスのコマーシャルが
ちょっとだけ 大人っぽくて
ドギマギして 視線を彷徨わせた記憶がある
初恋の味… か
初恋って どれなのかな…
21歳の夏 僕は 実家を出て 浜松にいた
初めての寮生活 初めての社会人
初めての遠州弁 初めてのピアノ造り
もう パニックだった
専門学校時代の彼女にも あっさり ふられて
初めてばかりの日々に 夏には もう ギリギリだった
浜松の小さなピアノ工場には
お中元で カルピスが 何本も届いていたらしい
夏になると トイレの横の流しには カルピスの瓶が並んだ
冷房も無い 昭和中期のまんまの 手作りピアノ工場
肉体労働の夏には 汗がダクダク
喉が渇いて その度に 流しに行って カルピスを飲んだ
たぶん 生涯の中で あれだけ 毎日
カルピスを飲んだのは あの2年間だけだと思う
水に ほんのちょっとだけ 味がついてる程度
そうでなければ 飲めないくらい 暑い日々だった
そして 初恋どころか 失恋の味だった
今日 お客さんのとこで カルピスを 御馳走になった
あの頃 一緒にピアノを造っていた職人さん達も
ほとんど 亡くなってしまった
失恋の味にしてくれた彼女も 亡くなってしまった
でも あの頃 薄いカルピスを飲みながら造った
ピアノは 今でも 歌っている
僕は 今でも スナフキンとか サミーが好きだし
夏は汗をたくさんかくし
初恋より 失恋の味の方が たくさん知ってるし
今夜 カランと鳴る氷は
琥珀の液体の中に 浮いている
ちょっとだけ 濃いめにして
夏休みのときめきは 今でも 濃いめになるのだろうか
味も イメージも
凄く ワクワクさせてくれた
親の目を 盗んだ気分で
ちょっとだけ 濃いめの 甘いカルピスに成功すれば
なんだか 夏休みのときめきまで 濃いめになったものだ
日曜の夜 7時半になれば
カルピス劇場という漫画を見たくて
姉と二人で テレビの前で 良い子になっていた
僕は ロッキーチャックより
カケスのサミーの方が 好きだったし
ムーミンより スナフキンの方が
好きだったし
トム・ソーヤより
ハックル・ベリーの方が 好きだった
冬になると ホットカルピスのコマーシャルが
ちょっとだけ 大人っぽくて
ドギマギして 視線を彷徨わせた記憶がある
初恋の味… か
初恋って どれなのかな…
21歳の夏 僕は 実家を出て 浜松にいた
初めての寮生活 初めての社会人
初めての遠州弁 初めてのピアノ造り
もう パニックだった
専門学校時代の彼女にも あっさり ふられて
初めてばかりの日々に 夏には もう ギリギリだった
浜松の小さなピアノ工場には
お中元で カルピスが 何本も届いていたらしい
夏になると トイレの横の流しには カルピスの瓶が並んだ
冷房も無い 昭和中期のまんまの 手作りピアノ工場
肉体労働の夏には 汗がダクダク
喉が渇いて その度に 流しに行って カルピスを飲んだ
たぶん 生涯の中で あれだけ 毎日
カルピスを飲んだのは あの2年間だけだと思う
水に ほんのちょっとだけ 味がついてる程度
そうでなければ 飲めないくらい 暑い日々だった
そして 初恋どころか 失恋の味だった
今日 お客さんのとこで カルピスを 御馳走になった
あの頃 一緒にピアノを造っていた職人さん達も
ほとんど 亡くなってしまった
失恋の味にしてくれた彼女も 亡くなってしまった
でも あの頃 薄いカルピスを飲みながら造った
ピアノは 今でも 歌っている
僕は 今でも スナフキンとか サミーが好きだし
夏は汗をたくさんかくし
初恋より 失恋の味の方が たくさん知ってるし
今夜 カランと鳴る氷は
琥珀の液体の中に 浮いている
ちょっとだけ 濃いめにして
夏休みのときめきは 今でも 濃いめになるのだろうか