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ふぅん

闇閃閑閊 ≡ アノニモス ≒ 楓嵐-風

青い匂い

2009-07-31 22:20:57 | 日々随想
野菜を いただいた


いびつで 不恰好で
気まぐれに 鮮やかで
そして とても 青い匂いがして


少年時代 かじっていた野菜
どれもこれも 青い匂いがしてた


地球を 大地を かけずり回って
太陽を 雨を たくさん浴びて
子供は そんなふうに 青臭く生きていた


野菜は 交配を重ねて 
原種から 遠ざかっていくけれど
人間は 一代の中で
原種から 遠ざかってしまうみたい


いただきます

小さな懐古趣味

2009-07-30 21:13:50 | 日々随想
パソコンな時代になって
それまで 憧れていただけの
様々な 小さな希望が 現実のものになった気がする


その中の ひとつが フォント


その昔 ワープロで
自分の文章が 簡単に活字なっただけでも
なんだか ちょっと 嬉しかったものだ


初めて買った 中古のワープロは
セミナーで使うテキストを 幾つも印字してくれた
あの頃の原稿は 感熱紙だったので 今では もう 色あせた文章


僕にとって 文字というのは
文章を伝える道具 としてだけでなく
ひとつのデザインとして 重要なアイテムだと思ってる


だから 街とか 本とかで
自分の好きな 字体に出会った時には
ああ こんなフォントが 自在に使えたらいいな って思ってた


ワープロから もっと いろいろ賢いパソコンの時代になって
僕は 少しずつ 文字や行の間隔などを調整することが 出来るようになって
それから ちょっとずつ 好きなフォントを 手に入れることが出来ている


日本語と 英数字と 違うフォントを使っても
その両者に 一体感が無いと かっちょ良くならない
だから どちらかが主になって 従になる


日本語で 好きな字体は いくつか あるんだけれど
映画の字幕で使われている あの文字
僕は今 しねきゃぷしょん というフォントを多様している



冬に 韓国の電子街で
ハングルのフォントのソフトも 購入することができた
この時も すごく 嬉しかった


映画の中で 様々なハングルの 字体があって
ああ あれいいなー と思えるフォントが
幾つか パソコンの中に 取り入れることが できたから


ハングルの字体で 一番 憧れているのは
昔のタイプライターが 打ち出す韓国語
機械ならではの 無理のある あの形が 凄く かっこいい!


でも メールとか ブログでは
字体までは 思い通りには 送れない
それが ちょっと残念


だから 今年は 
何枚か 暑中見舞いを 印刷してみた


出来上がった 葉書を見ながら 思った
平成の文明を 駆使しながら
結局 僕が表現したい2次元は 昭和なんだなって 


静なる感動 

2009-07-29 22:00:50 | 日々随想
部屋の中には
木目が いっぱい


壁も 床も ブラインドも テーブルも
立てかけてある ギターだって
様々な樹木の 内なる断面


出来る限り ラベルをはがして
安っぽい 人工的なカラフルから
逃れている


洗剤とか コーヒーとか 調味料は
別の容器に 移し替えて
具体的な文字や ケバい色から 逃れている


木調には 電球が よく似合う
嘘っぽい明るさの 蛍光灯では
木目の奥行きが 妨げられてしまう


樹木は 眼にも 耳にも 手にも
とても 静なる感動を ひっそりと与えてくれる
それは きっと 本当の癒しなのかも知れない

カルピスの夏

2009-07-28 20:49:51 | 夜々懐想
子供の頃 カルピスは 
味も イメージも
凄く ワクワクさせてくれた


親の目を 盗んだ気分で
ちょっとだけ 濃いめの 甘いカルピスに成功すれば
なんだか 夏休みのときめきまで 濃いめになったものだ


日曜の夜 7時半になれば
カルピス劇場という漫画を見たくて
姉と二人で テレビの前で 良い子になっていた


僕は ロッキーチャックより 
カケスのサミーの方が 好きだったし

ムーミンより スナフキンの方が 
好きだったし

トム・ソーヤより
ハックル・ベリーの方が 好きだった


冬になると ホットカルピスのコマーシャルが
ちょっとだけ 大人っぽくて
ドギマギして 視線を彷徨わせた記憶がある


初恋の味… か


初恋って どれなのかな…


21歳の夏 僕は 実家を出て 浜松にいた
初めての寮生活 初めての社会人
初めての遠州弁 初めてのピアノ造り


もう パニックだった
専門学校時代の彼女にも あっさり ふられて
初めてばかりの日々に 夏には もう ギリギリだった


浜松の小さなピアノ工場には
お中元で カルピスが 何本も届いていたらしい
夏になると トイレの横の流しには カルピスの瓶が並んだ


冷房も無い 昭和中期のまんまの 手作りピアノ工場
肉体労働の夏には 汗がダクダク
喉が渇いて その度に 流しに行って カルピスを飲んだ


たぶん 生涯の中で あれだけ 毎日
カルピスを飲んだのは あの2年間だけだと思う


水に ほんのちょっとだけ 味がついてる程度
そうでなければ 飲めないくらい 暑い日々だった
そして 初恋どころか 失恋の味だった


今日 お客さんのとこで カルピスを 御馳走になった


あの頃 一緒にピアノを造っていた職人さん達も 
ほとんど 亡くなってしまった
失恋の味にしてくれた彼女も 亡くなってしまった


でも あの頃 薄いカルピスを飲みながら造った
ピアノは 今でも 歌っている


僕は 今でも スナフキンとか サミーが好きだし
夏は汗をたくさんかくし
初恋より 失恋の味の方が たくさん知ってるし


今夜 カランと鳴る氷は
琥珀の液体の中に 浮いている
ちょっとだけ 濃いめにして
夏休みのときめきは 今でも 濃いめになるのだろうか


  

銀シャリが 輝く朝には

2009-07-27 18:51:05 | 日々随想
台所にある 電化製品は 
電子レンジと ジューサーくらい
ポットも炊飯器も無い


ゴハンを おいしく炊くには
メッサ・ディ・ヴォーチェな火加減
ゆっくりクレッシェンドして ゆっくりデクレッシェンドして


鉄鍋でも おいしいんだけれど
沸騰したら すぐに火を小さくするから
なんとなく限界がある


でも 土鍋なら 熱の伝導がゆっくりだから
ちょっぴり時間は かかるけど
ふっくらした ホクホクのゴハンが炊き上がる


朝が早かったり 出張したり
不規則だった先週は 朝食も おざなりだった
だから なんとなく 元気もなくなってきていた


今週は 毎朝 一合ずつ炊いて
切干大根 ひじき 椎茸 乾物のおかずで
豊かな朝餉を 楽しめる


夏の運命は 朝食にかかってる
うまく ゴハンが炊けたら
その日は きっと おいしい一日だ!