爺の処世術はといえば
グレーゾーン処世術
キーワードは
あいまいさ
さしさわりのない
そんなとこかな
何も好き好んでではない
元々は
白黒はっきりしてる性格
だが全ては平和のため
白黒決着のため
妻に
「満足してるかい?」
そう問う
「正直に言っていい?」
そう切り返されただけで
我が家の平和は
ぶっ飛ぶ
突然ネコ語がわかり
モこ助に
「お前うざいんだよ」
そう言われた日には
我が家の信頼関係が
ぶっ飛ぶ
ほのかに好きな女の子
「食事でもどう?」
そう誘って
「冗談がきつい」
そう言われた日には
爺に明日は来やしない
満足してるかも
ここで飼われてよかった
そう思ってるかも
ちょっと脈があるかも
そんなグレーゾーンに
身を漂わせてこそ
爺の立つ瀬があると言うもの
爺がよく言ってる
小さい、短い、弱い
これだって
人様から言われたことはない
なんとなくそう感じてるだけ
でも計測されて
極小、極短、虚弱
そう断定されたら
おかまになるしかない
だが
商売の世界ともなると
世の中そんなに甘くない
そんなグレーゾーン爺に
年に一回の鉄槌を下される時
それが決算
わが町の繁華街は
ご多分にもれず衰退の一途
当然我が商売も
なんとなくと言おうか
はっきりとでも言おうか
昨年を大幅に下回ってる
商売に携わってる爺としては
実感はもちろんある
でもそれは
あくまでかもの世界
しかし
決算で出た数字は冷酷だ
それをくっきりはっきり
浮き立たせる
これから数日間
税理士の先生とのやり取り
睡眠時間を充分に取り
適度な運動と食事を
医者がよく言うせりふ
それに似たようなことを
税理士さんに言われるのです
そんなのが出来たら
爺もはげはしなかっただろう