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もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「ナビィの恋」

2005-05-26 20:56:04 | 映画・旧作
2001年1月14日

都会の生活に疲れ、沖縄の小さな島に里帰りした奈々子は、祖父母・恵達と
ナビィおばぁの迎えをうける。
3人の乗ったトラックは、同じ船で島についた男たちを追い越して坂道を上がってゆく。
いわくありげな老紳士、そして本土から来た風来坊。助手席から乗り出すように振り返ったナビィおばぁ。

おじぃが、例の風来坊の福之助を家に連れてきた。「フクノスケくんは奈々子がスキだって言うから連れてきた」。唐突な問題発言をするおじぃにとまどいながらも従う福之助。そして彼が少しだけ気になる奈々子。
ところが、心が騒いでいるのは奈々子だけではなかった。このごろナビィおばぁがソワソワしてなんだかおちつかない。
そう、大事件は音もなく忍び寄っていた。
実は老紳士は、60年前にユタの宣託によって引き裂かれた大恋愛の相手
サンラーで、秘かに島に帰っていたのだ。


沖縄の風が吹いてくるような映画。心がほわっと温かくなる。
西田尚美がとても自然でいいし、ムラジュンも珍しく好印象。
なにより、おばぁ役の平良とみ、おじぃ役の登川誠仁がすばらしい。

壮大な恋の物語であり、
ユタの存在や、カチャーシーなど沖縄の生活を描いていて
観る価値のある作品だと思う。

これを観たときに
「うーん、やっぱり北国とはメンタリティが違うはずだわ」と思ったのを覚えている。
北国を舞台にするともっと重い話になること確実。

「独立少年合唱団」

2005-04-09 22:24:55 | 映画・旧作
2000年12月21日

70年代が舞台。
父親を亡くし孤独になった少年、道夫は、
山の中の全寮制中学校“独立学院"に転校する。
その学校には、
いろいろな理由を背負った少年達が暮らしていた。
その中でも吃音のためいじめに合う道夫は、
美しいソプラノを持つ少年・康夫と出会うことにより、合唱を始める。
歌うときはどもらないのだ。

学院の合唱団の顧問教師・清野は、
山の中で静かに暮らしているが、かつては学生運動をしていて、
それに挫折していた。
そのことが後に康夫を巻き込み、
変声期を迎えたことと重なり、彼は歌えなくなってしまう。

康夫の声になるという道夫。
清野は現実を見るように二人に言うが、
康夫ひとりが破滅に向かっていく。


少年から青年に向かう不安定な美しさを描くために、
隔離された世界で合唱という設定なのだろうが、
それがみごとにはまっている。
少年達は、ほんの少しのきっかけで死へ転がりそうなほど孤独だ。

道夫と康夫の関係は、
本人達の思いとは違う部分で、美しく危うい。
首に巻かれる赤いスカーフの艶やかさ。
道夫役の伊藤淳史は「鉄塔武蔵野線」で注目していたが、
康夫役の藤間宇宙は中性的ではまり役。
清野役の香川照之にはこの作品で注目するようになったほど、好演。
(その後伊藤淳史は順調に活躍してるが、
藤間宇宙はなんだか普通の男の子になってしまった。残念)

ストーリーだけ書くと少女マンガのようだが、
美しい映像と合唱と、現実を一人で体現している清野の存在で、
すばらしい作品になっている。

「金髪の草原」

2005-03-19 19:59:23 | 映画・旧作
2000年11月24日

犬童一心監督作品、大島弓子原作。

心臓病を患って、
心臓が止まらないようにとずうっと生きてきた80歳の日暮里は、
ある朝、
まだ元気だった頃の20歳の青年として目を覚ます。
20歳なのに身体は思うように動かず、
周りの様子もすっかり変わっている現実を、
彼は夢だと思い込む。

そこに現れたホームヘルパーは、
彼がひそかに思いを抱いていたマドンナにそっくりの、
なりすだった。
日暮里は彼女に想いをよせていく。
もちろん、なりすには日暮里の姿は80歳の老人として見えているだが。

こうして一軒の古い屋敷の中で、
現実を夢だと思い込む老人と、
現実を生きている少女の奇妙な生活が始まった。

伊勢谷友介が日暮里を演じているのだが、
現実感がない役によくあっていた。
そして、現実をバリバリに生きているなりすを
池脇千鶴が上手に演じている。
この作品から、私は
池脇千鶴が好きになったのだ。
(「大阪物語」未見なので)

ラストもだが、
日暮里の日記をなりすが読んでしまう場面が
切なく、印象深い。

原作も大好きだが、
映画はファンタジーとリアルの混じり具合が
私の好みだった。

大島弓子原作としては
「毎日が夏休み」もいい作品だったなぁ。

「ざわざわ下北沢」

2005-03-09 20:24:23 | 映画・旧作
2000年11月23日

下北沢は大好きな街。
歩いていると楽しくなって、
どんどん歩けてしまう。
アンティーク屋、古着屋、カフェ
古本屋、雑貨屋、映画館、劇場、市場。
なんでもありだ。

主人公はいちおういるし、
ストーリーもあるけれど、
下北の空気感や街のざわつきを思い出せたり、
好きな俳優さんがてんこ盛りで出てくるのが
ワンシーンなので、
『あっ、あっ』
と思いっぱなしが楽しかった。

あ、ビデオかDVDで観れば
好きな人の場面を繰り返せるか。
って、それじゃ先に進まないじゃん。

実際に下北で有名人を目撃したことはないなぁ。

市川準監督ファンと
日本映画ファン限定かなー。

「風花」

2005-03-07 18:57:09 | 映画・旧作
2000年11月17日

満開の桜の下で目覚めた男と女。
男は酔って起こした事件で謹慎中のエリート官僚。
女は、疲れた風俗嬢レモン。
彼女が故郷の北海道に預けている娘に会うための旅に、
男が同行することになるロードムービー。

嫌みなエリートそのものにしか見えない浅野君。
生きることにくたびれている三十路のキョンキョン。
キャスティングが絶妙。

ピンク?!のレンタカーで二人の旅する北海道は
うらぶれていて、ただっぴろくて、何もない大地だ。
開拓記念碑のようなものを見て男がつぶやく
『百年かかってこれかよ』
胸にずしんと来た台詞。
そう、美しい風景だけに人が生きているわけではないのだ。
相米監督は美しい北海道を映さないことで、
何を言いたかったんだろう。

とにかくキョンキョンがいい。
浅野君も酔っ払い演技が最高。
本当は飲めない人なのに。

希望へと続くラストがとてもステキだ
相米監督の映画、もっと沢山観たかった。

「顔」

2005-03-03 21:26:02 | 映画・旧作
2000年10月4日

幼い頃から家に引きこもっている正子は、
母親が営むクリーニング店の二階でひっそりと
ミシンを踏んで暮らしていた。
好きなものはTV。
地味でもっさりとした女。

ところが、母親が急死したことでそんな日常が一変する。
通夜の晩、正子は仲の悪かった妹をはずみで殺害。
香典袋を手に、35年間閉じこもっていた家を飛び出した。

逃亡生活を始めた正子は、
縁あって見知らぬ土地でホステスとして働き始める。
そこから彼女の性格が変わり始めるのだが、
さらに、
淡い恋心を抱いたり、
初めての男性経験や、
自転車に乗る練習をしたり、泳ぐ練習をしたり、
ひとつづつ経験していくたびに
彼女の性格、そして顔つきがどんどん変わっていく。

逃亡生活は続くのだが、
逃げながらどんどん魅力的になっていく正子・・・。

殺人を犯して逃げている女の話なのに、
ちっとも暗くない。
なんだか正子を応援したくなったりした。

主人公の映画初主演、藤山直美がとにかくすごい。
存在感でスクリーンに釘付けになった。

殺される妹役の牧瀬理穂も、嫌なカンジが良く出ていた。
彼女は映画で光る女優だ。
スナックのママに大楠道代、その弟のヤクザに豊川悦司。
強姦やろーに、なんと中村勘九郎。
脇も曲者ぞろいだ。

阪本順治監督は男しか描いていなかったが
これは女を描くことに成功している。

「五条霊戦記」

2005-03-02 17:36:55 | 映画・旧作
2000年9月13日

石井聰亙監督の時代劇。

平安末期、京都の五條橋に現れる人きりの"鬼“
その正体は源氏の生き残りである遮那王こと源義経。
源氏再興を誓っての殺戮のはずだった・・・。

この役に浅野忠信。
遮那王の影者・芥子丸に細山田隆人。
(これが美少年なの、むふ)

夢の中で「鬼を退治せよ」とのお告げを受けた武蔵坊弁慶が
比叡山から大太刀"鬼切丸“を盗み出し、五條橋に向かう。
隆大介が大男、弁慶にぴったり。

そして、二人の戦いを見届ける
刀鍛冶の無宿人・鉄吉に永瀬正敏。

これは美しい浅野遮那王と、弁慶の戦いを
どれくらい楽しめるかですね。
時代劇という枠からは大きくはみ出た殺陣、
画面のダイナミックさ。

何せ石井監督、
解り易さを求めるほうが無理だろう。

といっても、私はこの作品の前には
「爆裂都市~バースト・シティ」
(大好き!町田町蔵がかわいい顔したキ○ガイなの)
「エンジェル・ダスト」
(豊川悦司出演。うむ・・・)
「ユメノ銀河」
(浅野忠信出演。夢野久作原作の謎めいた話)
の3本しか観てないんですけどね。

「NAGISA~なぎさ」

2005-02-26 20:23:34 | 映画・旧作
2000年6月29日

ピンク映画を沢山撮っている監督の作品。

1960年代の江ノ島で12歳のなぎさのひと夏のお話。

父を亡くし母とふたりで暮らしている元気な女の子なぎさ。
叔母が経営する海の家でバイトを始めたなぎさは
不良の従姉の影響を受けてパーマをかけたり、ダンパに出かけたり。
東京からやってきた病弱な少年・洋との出会い
彼と初めての恋、初めてのキスを体験した。
ところが、そんな洋がひとりで泳いでいて溺死してしまう。
夏が終わり、切ない想いもしたけれど、
いろんな経験もたくさんした。
ちょっぴり大人になったなぎさは、
貯めたバイト料で念願のレコード・プレイヤーをゲットする。

こう書くとバリバリの60年代ムービーですな。
でも、見ているときは
なぎさとおんなじ気持ちになって
『そうそう、わかるー』
だったんだよね。
女子の気持ちというのは、永遠なんだよ、きっと。

淡々とした映画の観られない人には薦めない。

「オール・アバウト・マイ・マザー」

2005-02-26 20:09:10 | 映画・旧作
2000年6月16日

シングルマザーとして息子を育てていた母は、
長い間隠していた夫の秘密を遂に話さなければと覚悟を決めた矢先、
最愛の息子を事故で失ってしまう。
息子が残した父への想いを伝えるため、
かつて青春時代を過ごしたバルセロナへと旅立つ。
父親は実は・・・。

ストーリーだけだと
なにがなんだかだろうけれど、
かなり魅力的に女性を、人間を描いた作品。
主役のセシリア・ロスがとてもいい。
ペネロペ・クルスも出ている。

ラテン系とは決め付けられない深さで
映画好きの友人と
かなり語りをいれた覚えがある。
アルモドバル監督は、これだけ好きかな。

「ロッタちゃんはじめてのおつかい」

2005-02-23 21:42:44 | 映画・旧作
2000年4月12日

スウェーデン映画。
インテリアやファッションがとてもかわいい。

5歳のロッタちゃんはかなり頑固な女の子だ。
ママにいつも怒っていたり、
お兄ちゃんやお姉ちゃんとおなじことができなくて
ふくれっつらをしている。
時には家出しちゃったり、と過激な5歳児。

でも、そのかわいくなさが魅力的な映画。

確かポスターを奈良美智さんが書いていたはず。
彼の絵がきになるなぁ、と思いつつ
大好きになる前だった気がする。

・・・日本が舞台なら、すっげー嫌なガキなんだろうなぁ。