moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

いいオトナが、

2005-08-22 23:16:51 | コラム、というか
橋区の実家から「荻窪」へと引っ越してきたとき、さいしょに感じたのはこういうことだった。

なんだ、このユルさはぁぁぁ

これをべつの表現に置き換えると、こうなる。

いいオトナが、平日の昼間っからアイスクリームをなめながらぶらぶらしていても「通報」されない街

それまで暮らしていた街は、都心から地下鉄で15分ほどのところに位置する大きな「団地」だった。住民のほとんどはサラリーマン家庭のうえ、当時はまだ老人も少なかったので平日の昼間にはその街から「男」の姿が消えた。そのため、平日の昼間にぶらぶらしている「いいオトナ」は、なんとなく居心地の悪い空気を感じてしまうようなところがあったし、あたらしい団地は清潔で必要十分な設備は整っていたけれど、残念ながらそんな「いいオトナ」を収容する「受け皿」までは用意されていなかった。

ところが、である。中央線沿線のこの街ときたら、平日の昼間っから正体不明の「いいオトナ」がたくさん、平然と街中を徘徊しているではないか!しかも、そんな「いいオトナ」たちをみかけても、だれもべつだん気に留めている様子もない。いいのか、そんなことで!いや、全然いいんじゃないっすかね~。というわけで、ぼくもどんどん加速度的にこの底なし沼的ユルさの中へとずぶずぶと引きずりこまれてゆくのだった。まずは商店街の、いまはなくなってしまった「ぼぼり」というアイスクリーム屋でペロペロとアイスをなめ、それから古本屋や中古レコード屋を何軒かハシゴする。それからふたたび、なにかあたらしい店でもできていないものかと散策をはじめるといった具合に。唯一の「欠点」は、そんな散歩の折に一服つけるような気のきいた喫茶店がないことだったのだが、いまはだいじょうぶ。moiがある。

ご多分にもれず、平日のmoiにはそんな「いいオトナ」たちがあつまってくる。店内に、他愛のない会話とユル~い空気が充満する。京都や大阪、神戸の古い喫茶店しかり、「オトナの街」にはそんな「いいオトナのための受け皿」がさりげなくあってほしいものである。そういえば、ヘルシンキでもよく「いいオトナ」がアイスクリームをペロペロなめている光景とでくわす。喫茶店も多い。いいオトナがユルユルと過ごせる街という意味では、案外「ヘルシンキ」も「荻窪」も似ているのかもしれない?!