曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

『上州の道祖神』

2011年02月01日 | 呑む・飲む・読む
 
寝る前や、ちょっと息抜きの時間にぱらぱらとめくる本を、部屋のところどころに置いてある。
じっくり読むわけではないので、写真が多く、文章も軽いエッセイ調のものだ。何度もページを開いて内容はすっかり覚えていて、気分転換にはちょうどよい本となっている。
 
 
その中の1冊が、『上州の道祖神』。タイトルの通り、上州地方の道祖神を紹介したものだ。
本は新書サイズで、本を開いた形が一つの道祖神の紹介になっている。右側に道祖神の写真があり、左側に手書きの地図と、簡単な解説がある。この短い文章の量と白黒の石像写真が、寝る前のひと時にはいい具合なのだ。
 
この本は「北毛編」、「中東毛編」、「南西毛編」の全3巻で、私の持っているのは「北毛編」と「南西毛編」の2巻。ブックオフで見つけたときに2巻しかなかったのだ。定価1200円が600円で売られていたのだが、ここで買わないともう手に入れられないだろうと思い、買ってしまった。買った当時は高い買い物をしたと思っていたが、読み返す頻度を考えれば、充分元は取ったと思う。ブックオフが半値を付けていたのだから、本自体は新品同様だ。
 
その内容やレイアウトで、かなり前の発行かと思ったが、意外にも2002年の発行。著者は大正12年生まれの方で、昭和45年から道祖神の調査を始めたとある。私の人生ほどの年月、道祖神を巡り歩いているのだ。でもそれくらいの年月をかけないと、ここまで多くの資料を集めることはできないだろう。一冊に付き150以上の道祖神が紹介されているのだ。
 
道祖神の写真の下には、どういった形状の道祖神かが書かれている。たとえば、「肩を組み胸に手を当てる双神」とか、「幣と徳利を持つ双神」とか。「ロマンス道祖神」とか「天狗とおかめの道祖神」など、変わったものもある。
 
地図は簡素なもので、鉄道や国道が書かれているものはほとんどない。田畑の一角にあるものが多いから、これは当然だろう。
 
出版社はあかぎ出版。検索をしてみたが、ホームページは見つからなかった。紀伊國屋のBOOK WEBで商品一覧を見てみたが、『足尾線の詩』とか『群馬の鉄道―私鉄・廃線含む群馬鉄道全史』など、なかなか魅力的な本があった。しかしどれも絶版のようだ。最新の本が昨年7月発行。ということは現在も存在している出版社なのだろう。
 
 
私は七福神巡りが好きでときおり巡るのだが、首都圏の七福神は宅地の一角にぽつんとあったりして、正月以外はそこに立ち止まるのが気恥ずかしくなるときがある。おそらく道祖神もそうだと思う。現地に行くよりも、こうやって眠る前のひと時にぼんやり写真を見る方が、300年前の村里の風景にじっくり気持ちを浸すことができるのではないかな、と思う。