指導者たる教師の力量と、児童全体の力量バランスで色々な変化が起こる「公教育の指導の限界」

2015年08月20日 17時36分27秒 | 割合指導物語・・・分かりやすくなけりゃ

 もう少し教え方が上手であったらいいのにな! と言う思いを持たれた方は、この世には数多くいらしゃると思います。

 これは、公立小学校でのお話です。

 

 岡山県では、全国対象学力テストで下位に低迷していて、脱出に四苦八苦しています。

 色々と手段を講じて対応しているようですが、なかなか結果がついて来ていません。

 

 話は、算数科目限定にはなりますが、岡山県岡山市立江西小学校(中規模校)と岡山県赤磐市立笹岡小学校(小規模校)に通う6年生計3名の、「比に関する文章問題を解く」公民館算数講座の出来事です。話は偶然が重なっただけかも分かりませんが、ご説明致します。

 

 まず問題設定をしておきます。

   問題A・・・・・ たまごAとたまごBの重さの比は33:29です。たまごBの重さが52.2gの時

           たまごAの重さは何gですか。

 

   問題B・・・・・ 鉄パイプとアルミパイプの長さの比は 9:16です。鉄パイプの長さが18mの時

           アルミパイプの長さは何mですか。

 

          失礼ですが、読者の皆様方はどのような解き方になりますか?

   児童達の解き方

         問題Aの場合     (式)  52.2g÷29=   1.8

                            33 × 1.8=  59.4    (答え)59.4g

         問題Bの場合     (式)  18m ÷ 9=  2

                            16 × 2=  32        (答え)32m

        偶然に3名とも同じ解き方になりました。校区が大分離れているにもかかわらず、同じ解き方をする。

       児童に聞きました!あなた達<比の値>習ったでしょう?この式では<比の値>が使われていませんね!

       どうしてですか?

       3名とも又偶然に、「先生からは、比の値を使った一つの式で書く方法と二つに分けた書く方法は、自分で

      判断して好きな方法を選んで書いて下さい。それでいいですよ!」と言われました。と、返答がありました。

 

       ちょっと待ってくださいよ・・・・・   ・・・・・ 4:5= 比の値 4 /  5(5分の4)とする

                               何の為に「比の値」を習ったの?

                               比の値とはどういう事でしょうか

         習ったほうは分からず、教えるほうも教えるほう

         偶然とはいえ、2つの校区にまたがり同じような指導形態・・・おかしいのでは!

 

 

       この学習の時に参加していた保護者の解き方は、

         問題Aの場合      (式)   33:29=X : 52.2

                              29× X  = 52.2× 33

                              X =  52.2× 33÷ 29

                              X =  59.4          (答え) 59.4g 

         問題Bの場合      (式)    9 : 16= 18: X

                               9× X =18×16

                               X = 18×16÷9

                               X = 32            (答え) 32m

 

       私が指導した教え方     比の値は割合を示しているので

              問題Aの場合   (式)  52.2g ×  33/29 = 59.4g   (答え)   59.4g

              問題Bの場合   (式)  18m ÷  9/16 =   32m    (答え)   32m

            問題Aは掛け算式・問題Bは割り算式です。

              どうやらこの部分が、児童の理解と教師の指導力が合わないのかも知れません。

 

 

     しかし、話をここでストップしては何にもなりません。

 

     問題点

           1.  ここに出てきた2校は、何故児童の判断に委ねて、「比の値」の利用を避けたのか?

           2.  児童達には、この時点で「比の値を使って1つの式を組み立てる方法を教える絶好の機会」 

              であるにもかかわらず、指導力を出さなかった。

               この児童達は、ひょっとすると「一生」分からずじまいで、過ごすかも知れない。

               こんな事でいいのだろうか。

           3.  全体指導の中での難しさがあっても、公立小学校は、指導力を発揮して「比の値」は何の

              為に勉強をしたのか、「解き方のランク」がいくつかあって児童全体の力量とバランスが少々

              合わなくても、ここは踏ん張って「一つの式を組み立てられるように指導」して欲しい。

 

       他の小学校でも同じような事はないでしょうか。

 

         この、「比の値」一つをとってみても

       実は、この指導例こそが、岡山県全体のレベルダウンに繋がっている事に早く気づかねばなりません。

 

        今からでも遅くはありません。

        教師の指導力量が、まさに問われているのです。

 

 

      分数 = 倍数と約数 =通分 = 割合 = 比 = 九九 = 換算 = 種々なる文章問題 エトセトラ

     みんな繋がっていくのです。どこか一つでもプッツンあると理解遅れが生じます。それを防ぐのはあなたです。

 

      保護者の方々、指導力量の不足している教師は現実に沢山おられます。

      そうした方々には叱咤激励も必要です。理解が伸びない我が子がいればしっかりと見つめてあげて下さい。

 

      教師といえどもいろいろです。 

      油断すると、レベルアップは果たせず断念する事につながります。

 

      終わりにあたり、児童たちの理解の「差」はどこで、どのように開いていくのでしょうか。

 

      フォローさえしっかりと出来れば、皆んな同じです。

      まず、教師の力量 そして家庭のフォロー  そして相性の合う人とのめぐりあわせ。

 

 

     教え方一つで、人は変わります。

 

 

                   

         


公立校における指導上の問題点が<比の文章題>で新発見

2015年08月02日 09時11分06秒 | 割合指導物語・・・分かりやすくなけりゃ

  今回の投稿は前回の続きですので、文章の連絡は前回を参考に願います。

  13

      どうでしたか! 単位のつく決まりが分かっていないとまごつきますね!

      単位のお陰で各種のほとんどの問題が解けるのです。

       ここまでくると皆さん勘付く事と思います。

  14

      たった1問で、「単位の決まり」を理解すると・・・・・やる気が出てきます。

      出来ると言われる児童たちは、このやる気があるのです。

    気の問題なのです。

    皆さんも分かり出すと、きっと、この「やる気」が湧いてくるはずです。

  15

      割合の表示は、5種類(整数・小数・分数・百分率・歩合)と倍数です。

      最低限、割合だけは分からないと言って放ったらかしにしては、ダメです。

     算数は殆どに「割合」が絡んでいるからです。

         算数は計算力と思考力    頑張りましょう。

 

     それではどうして「単位のつく決まり」を理解すると便利なのかを

    例題を使って「速さの問題」「縮尺・縮図の問題」「換算の問題」で

    感じ取って下さい。

 

      速さの問題に限らず、皆さんが難しく感じるのは、文章題に

      分数が混じるケースだと思うのと、単位を重きに置かず「数値」

      を優先して処理をしようとしている所に、落とし穴が待ち受けて

      いると言って過言ではありません。

      例題で進めますので

         速さの公式など覚える必要はなく、覚える間があるならば「単位のつく決まり」を

        教えてあげてください。自然に公式は作れますから!

           <例題>   時速180kmで走る電車があります。この電車は、450kmを

                   何時間で走りますか。

                    (式)                         (答え)

         「時速」という言葉に注目して、その意味を捉えて「基になる1あたり量」を作るだけ

              km/1時間で(kmは分子・1時間は分母)・・・文章は読まずこれだけ

          これにより、2ぶんの1は1÷2のごとく km/時間は、km÷時間と出来るのですよ

          と、教えておいて

           式を作ってから説明を加える方が分かり易いので

             180 km/1時間で ×    時間 =      km 

        この形を作ったあと単位のつく決まりと合わせ文章から数値を拾って埋めていく。

        このような形何回も出てくる形です。 ここで大事なことは、割合関係は時間で数量関係はkmと

          教えておかねばなりません。

           割合の基にした1時間がどうなったの?数量関係の基にした180が増えたの減ったのと言った事を

          分かりやすく丁寧に理解が十分に届くまで教えなければなりません。

             1時間が何時間かと聞かれている。   180kmが450kmと答えが増えている。

            すると、割合の表示は増やしているはずだと考えるように導く。 そして式に必要な数値を埋めたあと

           抜けている所を見つけて「掛け算」か「割り算」か判断できるように導く。

          この学習により、掛け算式を前提に抜けている箇所で掛け算式か割り算式か的確に

        判断できるようになって、公式を覚えなくとも自身で「割合が抜けている時・基が抜けて

       いる時は割り算式」・・・「答え(比べる量)が抜けている時は掛け算式」というように意味と

       感覚が一致しながら計算式が立てられる。100%式作りの間違いを防げる最も重要な

       部分が身に付く手段と方法だと言えます。

 

         縮尺・縮図も同じです。

         <例題>  実際の長さ・・・もとの量

                 地図上の長さ・・・答え(比べる量)

                 縮尺・・・ 2000分の1( 1/2000)  分数なので「割合」

            実際の長さ160mは地図上では何cmになりますか?

 

            160m/ 1あたり ×  1/ 2000  =  何 cm(1m=100cmを忘れない)

                                               答え  8cm

        

        

 

                換算問題も同様です。

                0.8t は (kg)   1t =1000kgが分かれば

 

               1000kg/ 1tを基にすると・・・ 1000kg/1 t × 0.8 t = 800kg

               1 t/1000kgを基にすると・・・ 1t /1000kg ×  ?kg = 0.8 t

                                   0.8÷ 1/1000 = 800kg   

 

            このように、基になる1あたり量の関係を見つけるだけで基本的な割合問題をはじめに

           単位のつく決まりを活用すれば児童たちの多くは、問題を解く苦労から解放されると思っ

           ています。

 

             次回投稿は、<比の文章題>で比の値を活用しない解き方を黙認している

            先生方の問題点を提起する予定にしています。


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