みやっちBlog

ライター「宮下アツシ」の頭の中をlogする「みやっちBlog」

「景気回復の実感なし」が統計で明らかに

2006年09月18日 18時10分25秒 | 経済・新製品
景気回復を宣伝しながらデフレ脱却を宣言できない政府だが、その理由が企業利益の拡大が給与に反映されないため、数値だけの景気回復が消費拡大に繋がっていないということなのだろう。

企業利益8割増、賃金は減 実感なき景気回復 共同通信調査(岐阜新聞)
==== 引用 ====
 現在の景気回復が始まった2002年2月からの4年半余りの期間に、企業の経常利益は8割以上増えた半面、月給や残業代などを合わせた従業員1人当たりの賃金はわずかながら減少していることが共同通信の調査で17日、分かった。
 拡大を続ける景気は、今年11月に「いざなぎ景気」の57カ月を抜き戦後最長となることがほぼ確実。ただ、名目国内総生産(GDP)の増加率も過去の景気拡大局面の中で最低に近く、「実感なき景気回復」を裏付けた。
 調査は、財務省の法人企業統計と厚生労働省の毎月勤労統計を基に、季節調整して企業利益と個人の賃金の伸びを比較した。それによると、今年4-6月期の法人企業統計では、全産業(金融、保険業を除く)の経常利益は14兆4929億円。景気回復が始まった時期の02年1-3月期に比べて86・5%増と大きく伸びた。
 一方、毎月勤労統計から、今年4-6月期の雇用者1人当たりの現金給与総額を02年1-3月期と比較すると1・4%のマイナス。最近はわずかながら上昇に転じているが、まだ回復時点の水準にも達しておらず、景気拡大の“恩恵”は企業部門にとどまっている格好だ。
 また、景気の「谷」から「山」までの名目GDPの増加率を比較すると、戦後最長のいざなぎ景気(1965年11月-70年7月)が2・23倍だったのに対し、今回は今年4-6月時点で1・04倍。いざなぎの増加率は、比較可能な55年以降11回の景気拡大の中で最大だったが、今回は10番目にすぎず、景気の“勢い”が極めて弱いことを示した。
============

バブルが始まったころ、特に製造業は企業収益が増えていても企業は「いずれ景気は減速するから、そうなった時でも現状の給与を確保するために昇給を抑えてほしい」と労働組合を説得してきた。ところが、いざバブル崩壊となると企業は生き残りのためと称してリストラ受け入れを労働組合へ飲ませ、給与も引き下げてきた。
そうした流れから、今は収益が上がっているがいつ景気が減速するかわからないといわれると、労働組合も強く昇給すなわちベースアップ(ベア)を要求できない状況が続いている。

企業収益が前代未聞の高収益をあげているにもかかわらず、それを給与へ転化できない状況が続いているにもかかわらず、ベアを要求しない聞き分けのいい労働組合がほとんどという状況では、とてもじゃないが企業業績にスライドして給与が上がる状況は訪れないのではないだろうか。

労働組合が強気になれない事情には、組織化率が低いということもあるだろう。さらに、季節従業員や派遣労働者が増えたことで、正社員を減らせる状況ができてきたことも大きいのではないだろうか。雇用を確保することが最重要となり、給与が減らされても雇用を確保できればいいと労働組合がハードルを下げているということもあるだろう。さらに、労働組合の専従になって会社側との折衝を繰り返してきた人が専従をとかれて職場に戻ると出世するというシステムにも問題があるのではないだろうか。

出世のための道具として労働組合が存在している現状では、経営者との交渉に手心が加わったとしても不思議ではない。

つまり、経営者と労働組合は一蓮托生。それを如実に見せ付けてくれたのが、長野県知事選での連合長野の村井仁氏への推薦だろう。長野県の財界のほとんどが推した村井氏を本来財界、すなわち経営者サイドと対立する側の労働組合が推薦するということがいかに異常なことか。

今回の統計結果は、労働組合の存在意義を問うものだったのではないだろうか。


↓いろんな意見を知るのに役立ってます


最新の画像もっと見る

コメントを投稿