現在、農水省が稲わらから作るエタノールに関する技術確立事業(ソフトセルロース利活用技術確立事業(ソフトセルロース利活用モデル事業))を公募中だ。
公募は2008年4月30日に始まり、締め切りは2008年6月13日で、これに先立ち全国9地区での「食料と競合しない日本型バイオ燃料生産拡大対策に向けての対話集会」と「公募に係る説明会」が実施され、農水省によれば各地区における集会にはそれぞれ約200名ずつ、説明会には5~60名が参加したという。
食料使わないバイオ燃料 生産拡大 穀物高騰で農水省が推進(yahoo!ニュース 5月5日21時33分配信 産経新聞)
=== 備忘録(引用)===
世界的な穀物高騰と食糧不足を受けて、農水省が食料を使わない日本型バイオ燃料の生産拡大に乗り出した。稲わらや間伐材を有効利用する技術開発のほか、耕作放棄地を活用して食料にも転用できる燃料用作物を生産する。食料供給と競合しない形で地球温暖化防止に取り組み、非常時の食料確保という食糧安全保障にも備える狙いがある。
日本型バイオ燃料の柱になるのが、コメ生産国の特性を生かしたソフトセルロースといわれる稲わらの利用。農水省は6月以降、稲わらの効率的な収集と、バイオ燃料の製造技術の実証に入る。具体的には、稲わらの刈り取りから集草、積み込み、運搬までを効率的に行うシステムのほか、酵素法などによるバイオ燃料の製造技術と、発酵の残りかすを農地に還元するシステムを実証する。
農水省は、6月中にも事業主体と実施地区を選定し、32億円を投じて実用化を急ぐ考え。地域に密着した事業のため、地域活性化にもつながると期待している。
政府は、地球温暖化防止に向けて、2030(平成42)年ごろには、現在30キロリットルのバイオ生産可能量を、600万キロリットル(原油換算で約360万キロリットル)まで拡大する方針。農水省の計画ではこのうち、稲わら麦わらなどで180万~200万キロリットル、間伐材などの木材と、耕作放棄地の活用などによる資源作物で、それぞれ200万~220万キロを生産する。
このため、総額80億円をかけて、稲わらを効率よく集めたり、山から木を安く下ろす機械の開発▽稲わらや間伐材などから燃料を大量に製造する技術開発▽燃料を大量生産できる作物の開発-などを進める。
食料を使わないバイオ燃料に関しては、穀物価格の高騰を背景に米国も昨年12月に成立したエネルギー法で、2022(平成34)年には、使用量全体の6割を麦わらや木材を中心にした次世代バイオ燃料にすることを規定。実現までの工程表を公表して研究開発や商業化支援を行い、脱トウモロコシに取り組んでいる。
==============
アメリカとブラジルがこぞってバイオエタノールが食料価格高騰の原因ではないと「エタノール悪玉論」に反論したが、それでも食糧をエタノール生産の原料としている事実に違いは無く、特に日本では食料と競合しない原料によるバイオマスエタノールの生産技術確立が温室効果ガス発生抑制のためにも急務とされている。
すでに、サトウキビの品種改良により砂糖の生産量を落とさずにエタノールを生産するための実証実験が行われている他、休耕田などを使っての食用には適さないいわゆるエネルギー米を栽培しての実証実験も始まっていて、大阪では廃材を利用した木質からのエタノール生産が事業化されているものの、更なる国産エタノールの生産量拡大と農業再生を考えると、日本各地で生産される水稲の農業残渣である稲わらを原料としたエタノール生産の実用化を急ぐ必要があるということで、農水省は平成20年度予算で約80億円を計上して稲わら等の集積や間伐材の搬出機械開発、ソフトセルロースからのエタノール生産効率の向上、資源作物の開発などを進めることにしたということなのだろう。
ちなみに、モデル事業の公募に関しては自治体や団体と企業などが事業体を作って応募する必要があるということで、すでに何年も検討や研究を重ねてきた自治体や団体などでなければとても応募を考えるだけの時間的余裕は無い公募期間となっている。
現在、セルロースからのエタノール生産において研究を行っているホンダに自治体などから実証実験の誘致や稲わらの収集に関する問い合わせはかなりあるということで、ホンダとしても現在のエタノール製造技術に関する実証実験に、稲わらの収集運搬にかかわる実証をプラスして公募に応募することを検討しているという。
ちなみに、本田技術研究所が現在実証実験を行っている技術に関しては、プラント製造販売を目的としたものではなく、エタノール生産技術をプラントメーカーなどへ提供するのが目的とのこと。
ホンダのエタノール対応車についてだが、現在は国内生産されているガソリン車は北米仕様などと同じE10対応で、それ以上のエタノール混合燃料に関してはブラジルで生産しているFFVのみという状況。
日本国内では、当面E3までが目処となっていることから十分対応可能なわけだが、政府がさらなる温室効果ガス排出量の削減を打ち出す時には最低でもE10、エタノールの生産量の目処が付いてインフラが整備されればE100も考えてくるのではないかと予想できる。
そのような状況になったときには、ブラジルで生産するFFVの技術を持ち込んで対応する用意もあるとか。
これは、ホンダに限った話しではなく他のメーカーも同様の対応をしてくることだろう。
国産バイオエタノールのE3燃料としての利用を推進する農水省と、輸入バイオエタノールをETBEとして添加することを推進する石油連盟と経済産業省の間での駆け引きが色々とあったようだが、政府としての目標達成を実現するためにそれぞれが独自にバイオエタノールの利用に関する取り組みを行っている。
どちらが主導権を握るのかではなく、実用化に向けて輸入にしても非食料を原料としたバイオエタノールを主流に化石燃料の利用量を減らす方向で協力し合ってもらいたいものだ。
↓いろんな意見を知るのに役立ってます。
皆様のポチッに元気をいただいております。ありがとうございます。
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公募は2008年4月30日に始まり、締め切りは2008年6月13日で、これに先立ち全国9地区での「食料と競合しない日本型バイオ燃料生産拡大対策に向けての対話集会」と「公募に係る説明会」が実施され、農水省によれば各地区における集会にはそれぞれ約200名ずつ、説明会には5~60名が参加したという。
食料使わないバイオ燃料 生産拡大 穀物高騰で農水省が推進(yahoo!ニュース 5月5日21時33分配信 産経新聞)
=== 備忘録(引用)===
世界的な穀物高騰と食糧不足を受けて、農水省が食料を使わない日本型バイオ燃料の生産拡大に乗り出した。稲わらや間伐材を有効利用する技術開発のほか、耕作放棄地を活用して食料にも転用できる燃料用作物を生産する。食料供給と競合しない形で地球温暖化防止に取り組み、非常時の食料確保という食糧安全保障にも備える狙いがある。
日本型バイオ燃料の柱になるのが、コメ生産国の特性を生かしたソフトセルロースといわれる稲わらの利用。農水省は6月以降、稲わらの効率的な収集と、バイオ燃料の製造技術の実証に入る。具体的には、稲わらの刈り取りから集草、積み込み、運搬までを効率的に行うシステムのほか、酵素法などによるバイオ燃料の製造技術と、発酵の残りかすを農地に還元するシステムを実証する。
農水省は、6月中にも事業主体と実施地区を選定し、32億円を投じて実用化を急ぐ考え。地域に密着した事業のため、地域活性化にもつながると期待している。
政府は、地球温暖化防止に向けて、2030(平成42)年ごろには、現在30キロリットルのバイオ生産可能量を、600万キロリットル(原油換算で約360万キロリットル)まで拡大する方針。農水省の計画ではこのうち、稲わら麦わらなどで180万~200万キロリットル、間伐材などの木材と、耕作放棄地の活用などによる資源作物で、それぞれ200万~220万キロを生産する。
このため、総額80億円をかけて、稲わらを効率よく集めたり、山から木を安く下ろす機械の開発▽稲わらや間伐材などから燃料を大量に製造する技術開発▽燃料を大量生産できる作物の開発-などを進める。
食料を使わないバイオ燃料に関しては、穀物価格の高騰を背景に米国も昨年12月に成立したエネルギー法で、2022(平成34)年には、使用量全体の6割を麦わらや木材を中心にした次世代バイオ燃料にすることを規定。実現までの工程表を公表して研究開発や商業化支援を行い、脱トウモロコシに取り組んでいる。
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アメリカとブラジルがこぞってバイオエタノールが食料価格高騰の原因ではないと「エタノール悪玉論」に反論したが、それでも食糧をエタノール生産の原料としている事実に違いは無く、特に日本では食料と競合しない原料によるバイオマスエタノールの生産技術確立が温室効果ガス発生抑制のためにも急務とされている。
すでに、サトウキビの品種改良により砂糖の生産量を落とさずにエタノールを生産するための実証実験が行われている他、休耕田などを使っての食用には適さないいわゆるエネルギー米を栽培しての実証実験も始まっていて、大阪では廃材を利用した木質からのエタノール生産が事業化されているものの、更なる国産エタノールの生産量拡大と農業再生を考えると、日本各地で生産される水稲の農業残渣である稲わらを原料としたエタノール生産の実用化を急ぐ必要があるということで、農水省は平成20年度予算で約80億円を計上して稲わら等の集積や間伐材の搬出機械開発、ソフトセルロースからのエタノール生産効率の向上、資源作物の開発などを進めることにしたということなのだろう。
ちなみに、モデル事業の公募に関しては自治体や団体と企業などが事業体を作って応募する必要があるということで、すでに何年も検討や研究を重ねてきた自治体や団体などでなければとても応募を考えるだけの時間的余裕は無い公募期間となっている。
現在、セルロースからのエタノール生産において研究を行っているホンダに自治体などから実証実験の誘致や稲わらの収集に関する問い合わせはかなりあるということで、ホンダとしても現在のエタノール製造技術に関する実証実験に、稲わらの収集運搬にかかわる実証をプラスして公募に応募することを検討しているという。
ちなみに、本田技術研究所が現在実証実験を行っている技術に関しては、プラント製造販売を目的としたものではなく、エタノール生産技術をプラントメーカーなどへ提供するのが目的とのこと。
ホンダのエタノール対応車についてだが、現在は国内生産されているガソリン車は北米仕様などと同じE10対応で、それ以上のエタノール混合燃料に関してはブラジルで生産しているFFVのみという状況。
日本国内では、当面E3までが目処となっていることから十分対応可能なわけだが、政府がさらなる温室効果ガス排出量の削減を打ち出す時には最低でもE10、エタノールの生産量の目処が付いてインフラが整備されればE100も考えてくるのではないかと予想できる。
そのような状況になったときには、ブラジルで生産するFFVの技術を持ち込んで対応する用意もあるとか。
これは、ホンダに限った話しではなく他のメーカーも同様の対応をしてくることだろう。
国産バイオエタノールのE3燃料としての利用を推進する農水省と、輸入バイオエタノールをETBEとして添加することを推進する石油連盟と経済産業省の間での駆け引きが色々とあったようだが、政府としての目標達成を実現するためにそれぞれが独自にバイオエタノールの利用に関する取り組みを行っている。
どちらが主導権を握るのかではなく、実用化に向けて輸入にしても非食料を原料としたバイオエタノールを主流に化石燃料の利用量を減らす方向で協力し合ってもらいたいものだ。
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