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気心は未だ若い「老生」の「余話」

このブログは、閑居の間に
「言・観・考・読・聴」した事柄に関する
 雑感を主に綴った呆け防止のための雑記帳です。

邦人被拘束事件と自己責任

2015-01-22 11:40:05 | 時評

してもyou tubeで世界に発信された「イスラム国」による殺害警告事件の去就が注目されている。被害者が、二人の邦人ジャーナリストであるだけに、イスラム教超過激組織「イスラム国」の暴挙に万死を報いたい思いである。

フランスでの無差別殺人テロ事件を契機に「改めて諸国の対テロ意識の高まりと国際的な連携対策」が強化されつつある矢先に加え、安倍総理の中東歴訪中における「2億ドル支援」表明時期に合わせてこの事件が惹起された。

兼ねてから「イスラム国」の取材には拘束の危険が伴い、政治的取引のターゲットにされる虞れあり、と危惧されていた。それが現実のこととなり、拘束された邦人フリージャーナリスト救出に関する回答期限が迫っている。常識的に観ても現実的で、妥当かつ即効的な解決策が殆どないだろうと思われるだけに事態は大変憂慮される。

ところで、今回の事件に関しても、●フリ-ジャ-ナリストによる危険地域での取材行動の自由と取材リスクに伴う自己責任の問題が指摘されている。不埒な「イスラム国」の要求には断じて屈してはならない。これはこの種事件対応の大原則である。政府も国の威信をかけ、あらゆる方策を講じて2邦人救出のため最大限の努力をしている。国として当然の対応である。

しかし、万策を尽くしても救出に至らない場合は、その直後から、政府の救出対策について又諸々の批判論評がなされるこは、過去の諸事件対応例が示す如く、必至の成り行きになるだろう。

その場合、事件の被拘束者たる2邦人自身が、果たしてどんな心情・覚悟で、どんな対応をするのか、大いに注目されるところである。お二人とその関係者には、大変酷な言い方だが、この場合当方は、以下のように考える。

それは、お二人が自己責任の重さを悟り、最悪の場合は、殉死も辞さずとの冷徹な決断を内に秘め、大和男児らしく対応する気概を示して貰いたい』ということだ。そうした毅然とした姿勢を示すことこそが、ご本人達には重ねて酷な願いになるが、「個人としてもテロに負けない日本人としての矜持と国の威信を最も明確かつ有効に示す証し」に繋がると考えるからである。

とは言え、そんな最悪の結末を迎えないためにも、最良の解決策による無事帰還を切に祈願している次第だ。


増税せず、税収増を図れるという公約の妥当性は?

2014-12-12 00:02:28 | 時評

総選挙戦も最終盤を迎えている。選挙の結果、●一強多弱の状況が更に進むのか、●逆に大いに見直されるのか●多弱の中でもどの党が伸びるのか等々、選挙予想も縷々報道され当方もそれなりに大いに関心を持っている。

ところで、野党各党が声高に主張している似たような政策の中で、唯一、観点を異にして、「消費税引き上げは延期ではなくきっぱり中止し、その対案として別の途による税収を目指すべし」だと大胆に公約している政党は共産党のみである。確かに、妙案だと評価する選挙民もいるだろう。一般国民に負担をかけなくても、年々増加する国の社会保障費を十分に賄えるという公約だからだ。

その要旨は、大企業や富裕層からの応分の徴税約20兆円、大企業の内部留保金の一部活用で更に約く20兆円、合せて約40兆円の税収により、増税なしで必要財源は十分確保出来、危機的な財政再建も可能になるというのである。

成程如何にも我々低所得者層にはそう願いたい気もする公約だ。だが、この公約は、国の財政政策として、対象にされている富裕層や大企業だけでなく、多くの国民の十分な理解と協力を得られる真に具現可能な政策なのだろうか。以前から大変疑問に思っている。

結論から先に云えば、この公約は、極めて独善的かつ強権的で、具現には多大の政治的軋轢と経済の停滞を招来することに繋がる政策ではなかろうか。一党独裁の国の政治体制下であれば、さして社会問題化することなく実施は可能であろう。

しかし、100歩譲って仮に「富裕層・大企業等特別増税及び特定企業関連内部留保金の部分徴収に関する税制改革法案」のようなものが、国会審議入りしたとしても、与野党合意のもと、粛々と審議・決議され、抜本的な税制施策となる可能性は、昨今の国会審議の無様振りから観ても、まずゼロに近いのではなかろうか。

国会議員を僅か5人削減する法案の審議さえ、大変難渋した国会である。仮に近い将来、与野党拮抗の院内構成になったとしても、前記公約の実現に至る道程は極めて厳しい茨道となるであろう。

疑問視する論点を更に進めよう。公約だから具体策は当然ある筈だが、残念ながら当方は、その公約に関する具体策を聞いたことも見たこともない。●どの程度の富裕層に、どの程度の累進課税を求めるのか●どの程度の規模や業績のある大企業に、どの程度の税率で、いつから、どのように徴収するのか●どの程度の内部留保のある大企業が、どの程度の額や比率で内部留保金を収めさせることにしているのか。疑問の範囲は広がるばかりだ。

この公約が政治問題化すれば、毎年過大な負担を強いられることになる富裕層や大企業からの批判や反発及び抵抗も当然噴出するだろう。大企業の海外進出、産業の空洞化が更に進み、国内経済の混乱・停滞を招くことになりはしないか。これは決して稀有な恐れではなく、当然憂うべき恐れである。

大多数の国民に負担のない政策は全て善作であるとは限らない。かの有名なケネディ大統領はある演説で「祖国があなたに何をして呉れるかを問うのではなく、貴方が祖国のために何が出来るかを考えて欲しい・・」と訴えたそうだ。

富裕層や大企業の経営者と雖もそのことは意識の中にある筈だし、多くの国民も「必要な相応の負担」の必要性を理解していると思う。いづれにしても、消費税に頼らなくても別の途で財源の確保・財政再建は可能だとする公約は、低所得者層には特に、一見・一聞しただけで妙案のように思えるが、実はこれこそ、問題点山積で非現実的な空論だと老生は感じている。

 


「はやぶさ2」の旅立ちに思うこと。

2014-12-04 10:59:06 | 時評

 日本が世界に誇る「はやぶさ2」は、12月3日午後1時22分、見事に打ち上げられ、同日午後9時15分、小惑星1999JU3に向けた所定の軌道に投入され、6年余に亘る宇宙探査に旅立った。

今回の「はやぶさ2」関連プロジェクトも、初号機「はやぶさ」(2003.5~2010.6) プロジェクトの成果と教訓を活かしてきっと成功して呉れるものと心から期待している。同機が諸任務を完遂して帰還するのは、次回東京オリンピック終了後の年の2020年12月の予定だ。

その年、当方元気であれば満85歳になる。2度目のオリンピックも観たいし、無事帰還の様子もこの目で確かめたいものだ。余談だが、打ち上げの様子をTVで注視しながら、命の年貢を納めるのは、その後に願いたいものだと切に神頼みもした。

それにしても、僅か約600Kgの探査機が、直径約900m程しかない宇宙の彼方の小惑星に向けて就航の任に無事就いたこと。3年半の歳月をかけて目標到着後同機は、同惑星を周回して着地の適地を綿密に調査して同地に軟着地し、生命の謎解明に繋がるかも知れない有機物を含む物質を特殊な手段で採取して帰路に向かうこと。

この間、同機との通信には往復約40分もかかると云う困難な条件下で、6年余もの長年月に亘り探査機の運用統制を続けねばならないこと。そして最終的には、約52億Kmに及ぶ「はやぶさ2」の宇宙の旅を無事終えさせて、再び同機を地球に帰還させ、採取資料を持ち帰るというのだから、凡人の老生にはどうしてそんなことが出来るのか全く解らない。

けれども、この壮大な「はやぶさプロジェクト」についての興味と関心は、老生と雖も大ありなので、日本人として愛して誇るべき「はやぶさ2」の宇宙の旅の安全と計画の成功を心から切に願っている。

 


近くて遠い国との関係改善

2014-08-12 18:33:45 | 時評

「名は体を表す」という言葉は、国家についても当てはまるように思う。国の名前から、その国の現状をそれなりにイメージすることが出来るからである。近年、国際社会における中・韓両国、特に中国の影響力は、国力の向上に伴い次第に顕著になりつつある。

そうした背景事情もあり、両国の対日姿勢は従来以上に頑なで、妥協の余地のない対応を我国に求め続けているようにも思われる。

去る8月10日終了したミヤンマーでのASEAN地域フォーラムの際、日中外相は、約2年振り、日韓外相は、約11ヶ月振りに夫々外相会談をした。このとは、日本の対中韓関係修復の面では一歩前進であろう。

しかし、中国の王外相は「尖閣諸島の領有権問題と安倍総理の靖国参拝問題」、韓国の尹外相は「歴史認識問題と従軍慰安婦問題」の問題を取り上げ、○首脳会談開催のためには、これらの問題について日本側の誠意ある対応が必要であること。○前提条件なしに首脳が相互に胸襟を開いて諸問題解決のための会談を持つべきだ・・。とする日本側の主張に対し、○今はその時期にあらずで、対日関係停滞の非は全て日本側にあること。○要するに日本側が中韓の原則的主張を受け入れることが首脳会談開催の大前提であるとする主張を繰り返し、従来からの外交姿勢にさして変化はなかったようだ。

最近実施(8月9~10日)された産経新聞社とFNN合同の世論調査の中に次のようなデータが紹介されていた。それによると、第2次安倍内閣発足以来一度も開催されていない日中・日韓首脳会談の開催について、「急ぐ必要がある」の回答は夫々54.5%と52.5%で、「急ぐ必要はない」は夫々39.8%、43.6%となっている。

何故「急ぐ必要があるのか、ないのか」その理由が知りたいところだが、その注釈はどこにもなかった。

当方は、この首脳会談については、日本側から宥和を求めるような形で対中対韓関係の改善を求めるべきではない。つまり「急ぐべきでない」との回答に賛成だ。

以下は、対中対韓関係についての「そもそも論」になるが、中国が主張する領土及び靖国問題は、日中共同声明(1972.9.29)に「主権及び領土保全の相互尊重」や「内政に対する相互不干渉」等の原則事項として明記されている問題である。今更中国が固執すべき問題でもない筈だ。特に尖閣諸島問題については、中国側が1970年代後半になり一方的に取り上げだした問題であり、この事についても日本側が譲歩すべき問題ではない筈だ。

又、韓国に対する一切の戦後補償は基本的には日韓基本条約(1965.12.18)で解決済みだし、歴史認識・慰安婦問題についても河野談話(1993.8.4)及び村山談話(1995.8.15)等で謝罪・釈明をしている。なのに最近では、韓国内に留まらず、米国等でも慰安婦問題を反日宣伝に結びつけた運動が展開されつつあると報じられている。これ又大変遺憾なことだ。

以上駄長になったが結論として述べたいことは、以下のようなことだ。

それは、如何に両国が声高に「日本に非のある問題」だと主張し続けても、国際世論は両国の頑な対日姿勢を肯定的に評価するような情勢ではないし、冷え込んだままの対日関係で政治・経済・民間交流の面でマイナス効果を背負うのは日本でなく、むしろ中韓両国であろう。だから、日本は、この近くて遠い国両国とは当面、敢えて待ちの戦略姿勢を貫くべきではないかと思う。

そうすれば、中韓両国の方から対日関係改善の意図や動きが必ず出てくるだろう。何故なら、①我国がこれ迄以上に両国に妥協・譲歩すべき論理的必然性は少ないこと。最近、両国の対日批判論調にも僅かながら変化が出ている状況は、インターネット記事等でも読み取れること。そして何よりも特徴的なことは、両国政府の対日論評がやや意図的にトーンダウンしている等の変化が出始めているからだ。


諸々の思い込み考

2014-07-16 06:31:58 | 時評

17日付けの朝日新聞「天声人語」にクイズのような次の小話が出ていた。「父親と息子が車に乗っていて事故を起こし、大怪我をして別々の病院に運ばれた。すると、息子が運ばれた病院で、出てきた医師が「これは、私の息子です」と云ったという。この一節を読んで、これは一体どういうことか、と変に思った方は、医者=男性という思い込みがあるから、簡単な話も難問に思えてしまう。

この小話は、エッセイスト織田 正吉著「笑いのこころユーモアのセンス」に出てくる一文である。」との書き出しに続けて、「天声人語」は、この話は、医師に限らず、女性の社会進出が進む北欧あたりの国ではクイズとしては成立しないだろう。しかし、男女平等度が136ヶ国中105位(世界経済フォーラムH25年度調査結果)の日本だから成立つ小話なのだろうとコメントし、女性の社会進出の推進を訴えている。こうした現状に鑑み、最近は政府はじめ民間企業も、女性を上級管理職に登用する人事管理を推進中であるけれども、日本社会全体の中での男女平等度には、まだまだ格差があり過ぎる。

観点は違うが最近、思い込みに関し、やっぱりそうだったのかと知ったこともある。それは、先日マスコミが盛んに取り上げていた、兵庫県野々村県議・号泣記者会見のあの場面に関してのことだ。件の号泣会見場面は、約1時間30分余の記者会見t中、僅か2分程の間の出来事だったのに、何度もあの場面のみがクローズアップされて知らされたが故に、当方もあの場面はかなり長く続いたのだろうと誤解してしまっていた。これも変な思い込みが人の認識をそうさせた例ではないかと思う。

世の中には思い込みや誤解・勘違いが不幸な悲劇に繋がることもある。17日ウクライナ東部上空で乗員乗客298人乗りのマレーシア航空機が撃墜される悲劇が起きた。その直接原因が、一部報道されているように領空通過機=敵性軍用機と誤認した親露派による対空ミサイルの誤射によるものだったとすれば、この悲惨な重大事件は、意図的に行われた1983年9月の大韓航空機撃墜事件とは違った意味で「思い込み=誤認による史上最悪で最も悲惨な撃墜事件」だったと云わざるを得ないであろう。合掌