気心は未だ若い「老生」の「余話」

このブログは、閑居の間に
「言・観・考・読・聴」した事柄に関する
 雑感を主に綴った呆け防止のための雑記帳です。

いずれはわが身か?細やかな心得と密かな期待

2017-10-31 16:03:41 | 日常

1、厚労省の統計(平成24年)によると、我国では、65歳以上の高齢者の7人に1人は認知症患者で、その総数は約462万人だそうだ。今後もこの患者数は増え続け、8年後の平成37年にはこの患者総数は約700万人に達すると見込まれている。

2、ところで、この認知症は、後天的な原因によって病的症状が認められる脳に関する一種の病気であるのに対し、物忘れは、記憶の一時的中断だけで病的なものではない。とは言え、何らかの原因で物忘れが常態化すれば、当方も認知症の仲間入りをする可能性は十分あるので先行き心配だ。。

認知症の具体的な症例としては、一般的に・物忘れの自覚がない・体験したこと自体を忘れている・ヒントがあっても思い出せない・日常生活に支障がある・判断力が低下していることなどの特徴がある。

●これに対し、呆けの場合は、・物忘れの自覚がある・体験したことの一部を忘れている・ヒントがあれば思い出せる・日常生活にさして支障はない・判断力はさほど低下していない。

など認知症の特徴とは確かに差異は明らかだ。

 しかし、この認知症には進行を遅らせる治療法はあっても、現在では有効な根本治療法はないそうだ。だから、最近呆けも進みつつある我が身においても、呆けのピッチが速く、その頻度も目立って多くならないよう自分なりに諸々の努力はしている。

 3、その努力とは、月並みだが、次のような心得を日常普段に実践していることだ。

その一は、気持ちの持ち方「か・き・く・け・こ」の励行である。具体的には、

①「か」… 感動・感激(喜んだり、悲しんだり、興奮を覚えたりする)
②「き」… 興味・緊張(何事にも興味を持ち、適度な緊張感を保つ) 
③「く」… 工夫・苦心(創意工夫と新しいことに挑戦。楽をしようとしない) 
④「け」… 健康・献身(健康は当然。周りの人の為になることに心がける)
⑤「こ」… 好奇心・向上心・行動力(人と話したり:口動力、考える意思と行動力=考動力を保つ)

その二は、呆け防止「3つの心」の実践である。

「あそび心」、「おしゃれ心」、「ユーモアの心」を忘れず、T(時)P(場所)O(場合)応じて態度や言葉で表すことである。

4、日々、前記のような呆けない為の努力をしていても、やはり加齢には勝てない。だから、最近は、「もの忘れ ものに つまずき また忘れ」、「あれ これ それ ひと(他人)に謎かけ思い出す」そんな川柳に表されている忘れ癖に気付くことが、多くなっていることは確かだ。

でも、この程度ならまだ許容範囲内だろうと自分に言い聞かせ、諦めずに「呆け防止の心得」に努めている。

 5、老生の細やかな心得にも関係する話だが、最近、物忘れに関して、「森山良子」の「あれ、あれ、あれ」なるシャンソン調の歌が流行っていることをNetで知った。詞は中高年向きに近いように思うが、曲のテンポが速く、我々高齢者向きではない感じである。しかし、詞は物忘れの実態をよく表していると思う。

https://www.uta-net.com/movie/119030/ 左をクリックで YouTubeで視聴可能である。

出だしの歌詞は次のとおりで、全体にちょっと長めの歌詞だけれども、話のネタに一聞の価値はあると思う歌だ。・・

ああ あの時の あの Ano  Ano  Ano
あの人の名前がでてこない
ほらあの時会った あの人なの
もう わかってるのに思い出せない

6、聞いた感じ、曲調が中高年者向けのバージョンのものもあれば、10数年前に流行った「大泉逸郎」の「孫」の歌同様、高齢者の愛唱歌になるかも知れないのに残念だ。

こんな歌が出るのも、“歌は世につれ、世は歌につれ” の表れであり、高齢社会における社会現象の一環であろうが、願わくば、高齢者が進んで歌えそうな、呆け防止の推奨歌のような歌がそのうち出て来ることを心密かに期待しているだが・・・。


第48回総選挙(H29.10.22)結果に関する老生の雑考

2017-10-25 11:25:45 | 時評

1、総選挙公示(10月12日)の直後、当方は呆け防止の意味もあって自分なりに、その結果について大要次のように予想した。

①自民・公明の両党は、議席の過半数は維持するだろう。

②希望の党への関心は上がらず、100議席の確保も無理で、当選率の面では立憲民主党の方が上になるだろう。

③故に立憲民主党は大幅に議席を伸ばすだろう。

④民進党出身候補の3分化に伴い、小党間の連携と対極の選挙の構図(自公に対する希望と維新、立憲・共産・社民)がより鮮明になるだろう。

この予想は、結果的には正しかったと思う。しかし、自民党が単独で過半数を大幅に上回る284議席(改選前と議席数)を確保し、公明党の29議席(改選前34)と併せ、全議席の2/3(310)を越える議席を確保するとはとても予想は出来なかった。

安倍総理による唐突な解散には批判も多かった。しかし、体制不備な野党の現状と推移を先読みして解散に臨んだ安倍総理の情勢判断は基本的には正解だった。この点でも、安倍晋三と云う政治家は、外見に似ず相当強かな政治戦略家でもあることが、今回の総選挙選択でも示されたとも云えるだろう。

2、自民圧勝の背景理由

①これは所謂「そもそも論」になるが、最大の勝因は、所詮は寄せ集め集団で、近年弱体化の一途を辿り続けてきた民進党が大事な時期に3分化し、自民1極の政治態勢が定着していたことである。

②相次ぐ新党の結成により、小党間の連携と競合が進み、国民には解りずらい政治情勢になったこと。この為、無党派層中のかなりの選挙民は、先行き不透明な新党よりも、特段の失政もない安定政権政党に組する道を選択した。

③伸びる筈と当初予想されていた「希望の党」への期待感が日ごとに低減し、同党への期待票が自民と立憲民主党に流れたこと。このことは、小池代表自身とその取巻きが、小池ブームがなお続くと過信し、候補者選定段階で所謂「排除」の論理を適用し、候補者及び国民に誤解と不信感を募らせたからであろう。

④2党の新党の党名から受けるアピール効果の差も大有りだった。メージと理念・政策・訴えの差も歴然としていた。(政策や訴えが概して抽象的で、立ち位置が明確でなかった希望の党と、名は体を表し、訴えも具体的だった枝野代表の言動と立憲の党名は反自民層に好感をもって迎え入れられた)結果として、新党が自民に対抗出来る支持基盤の形成に失敗した。

⑤2党の新党争いで立憲民主党は望外の勝ちを拾ったものの、その分、日本維新の会と共産党にとっては不本意な議席減の結果を齎した。要するに小党競合が、解散前に比しより鮮明に1強多弱の政界構図を生み出すことになった。

3、今後の政治に期待すること

①第二・第三のアベノミックスを有効に起動させて実質経済の向上を推進し、念願のデフレ脱却を図ること。

②消費増税に伴う消費の落ち込み対策を今から段階的に推進し、庶民の不安軽減を図ること。

③今後自民党内では次の総裁論が現実味を帯びて浮上するだろうが、選挙の大勝に奢ることなく、より真摯に国民目線の政治を心がけてほしい。

④政策・理念の違う小党の共存により、議会運営は以前にも増して運営し辛い状況になるだろう。だが、その鍵を握る新党特に野党第一党の立憲民主党が、健全なリベラル新党として国会運営にあたるよう特に期待したい。

⑤野党内では、程なく旧民進党議員を中心とする新たな離合集散・野党内再編成の動きも必ず生起することになろう。既に再編の動きを期待している議員諸氏には、ぶれない信念・信条の政治家として、己中心ではなく国民のための政治家であることを再認識して活動願いたい。

⑥最後に、今回の選挙で憲法改正が政治課題の一つとして取上げられた。これは大きな前進であり、憲法改正は避けて通れない国家的課題でもある。このことについて本題から若干それるが以下当方の意見を付記する。

・我が国では、憲法学者の約7割が、自衛隊違憲説を主張している。しかし、不思議なことに自衛隊不要論はどこからも聞こえて来ない。

・今日、憲法解釈上は戦力でない筈の自衛隊が、世界有数の軍事力を保持し、実質軍隊であることは世界が認めている常識である。

・この常識は、我が国では憲法解釈上歪められたままではないか。このことは、自衛隊の現状を見て考えれば、誰でも解る事実だ。

・ならば、憲法改正反対を持論とする政党は、その現実を直視し、選挙公約に自衛隊改組策を堂々と掲げるべきだ。しかし、そんな公約は国民受けせず、現実的でないが故に避け続けて来ている。逆説的に言えば、9条改正反対の諸党は、結果として違憲の自衛隊の存在を黙認していることになる。こんな矛盾は永久に許されるべきことではない。

・9条に限らず、現行憲法の前文~第11章補則の第百三条迄をその意味を考察しながら読めば読む程、有名無実化している条文も少なくないことは一読すれば明らかだ。

・憲法の前文を含む全文を具に読まず、その内容をよく確認もせず、憲法改正反対を声高に叫ぶ人は、人の意見を横取りして語る単なる代弁者ではないだろうか。この国を愛する国民にとってそんなお人は、憲法を語る資格はないだろう

・今次総選挙の大きな成果の一つは、憲法改正問題が主要な関心事項として提起され、この問題が今後院内外で具体的に議論される政治環境が形成されたことであることを付記して雑考の終わりとする。(H29.10.24)

 


総選挙に関する雑考

2017-10-14 09:36:53 | 時評

1、各党の命運を懸けた総選挙戦が日ごとにヒートアップしている。
今回の選挙は、保守(自民・公明両党)と改革保守(希望の党・日本維新の会)それに革新(立憲民主党・共産党・社民党)の三極が対立軸になって展開されている。

この流れに、三分解した民進党の主要なメンバー等が無所属で立候補して加わり、色分け的には4極の選挙構図になった。政策的には、自民・公明とそれ以外の政党の主張には、共通する政策と対立する主張が複雑に絡んでいる故に、一般の選挙民にとっては極めて分かりにくい選挙になっている。

2、今月の世論調査(NHK)によれば、 各党の支持率は、自民党が31.2%(332)、希望の党が4.8%(235)、公明党が3.8%(53)、共産党が 2.7%(243)、立憲民主党が4.4%(78)、日本維新の会が1.3%(52)、社民党が0.5%(21)、日本の こころは0%(2)、諸派(91)、無所属(73)、「特に支持している政党はない」が39.1%となっている。()内は、1180人の立候補者数の内訳数である。

3、今次総選挙に関する雑考は纏まりはないが、以下のとおりである。

・安倍政権の実績と政策がどう評価され、与党が過半数の233議席を確保出来るのか否か。これが大義無き解散と揶揄されてはいるが、総選挙最大の焦点であることは確かだろう。

・選挙は水物で、情勢は流動的だ。だから、早計な観方は慎むべきだけれども、当方はかなり楽観的に今次選挙の結果を観ている。

・その結論は、与党が何とか過半数を確保するだろう。仮に、選挙の結果、与党の過半数割れが生じても、自・公・希望・維新の四党が議会の多数を占める構図には変わりはない筈だし、四党間の個別の政策や主張に関する対立はあっても、大勢としては是々非々を基調とする改革保守(希望・維新)の協力を自・公が引き出して、結果的には波動はあっても自民中心の堅実な保守政治体制の維持は、今後も可能であろうと思う。

・台風の目のように観られていた小池新党の旋風も、その威力が逓減しつつあるようだ。このことは、予想外に低くて伸びない支持率や、数だけは過半数を超える235の候補者を揃えたものの、同党の政策も理念先行で具体性に欠ける面が目立つし、党首と党に対するイメージ自体にも、かってのような共感度やアピール力が上がっていない等と報道されていることからも窺がえる。雑な観方だが、この分では、希望の党は200議席はおろか、100台の議席の確保も厳しいのではないか。

・反面、立憲民主党は、急遽結党の割には既存政党(自民以外)よりも高い支持率を得ている。その党名も、抽象的なイメージの「希望」の党名よりも、具体的で選挙民受けする党名だ。このことは、自衛隊は合憲だが、憲法改正は違憲の安保法制を認めることに繋がるので改正には反対だとの主張にも表れている。

訴え方の面でも、抽象論の多い小池代表よりも筋が通っている枝野代表の方が、説得力のある主張をしている。だかr、当選率は「立憲民主」の方が「希望の党」より上になるのではないかとの感じさえしている。

・約4人に一人の「支持政党なし層」の票の行方がどうなるのか。今回もこのことが、大いに注目される。与党特に自民党が、この層の票を取り込むためには、北朝鮮関連の国難問題よりも、将来世代にわたる内なる国難対策について広く解り易く訴えるべきであろう。

・野田元総理・前原代表等22名の民進党籍を有する無所属候補が、復活当選後も無所属を貫くのか否かも無視出来ない関心事である。民進党は3分化した結果、同党が解党したのか否か、多額の政党交付金(約150億円の繰延金:8月末)の処理はどうなったのか、党分裂に伴う説明責任は、どこからも何ら明らかにされていないままだ。

・共産党は、かなりの小選挙区で自党の候補を下ろして、立憲民主党の候補者を支援する選挙協力体制を組むことになった。確かに両党は憲法改正には共に反対の立場だが、自衛隊違憲の立場の共産党と、自衛隊は基本的には合憲だとする立憲民主党の立場は異なる。

・自衛隊違憲の立場の同党は、世界に誇る日本の宝・憲法9条改正絶対反対の立場だ。ならば、同党からすれば、9条の癌的存在の「自衛隊の解体」を選挙の度に堂々と公約に挙げ主張すべきなのに、未だその種の公約を掲げたことはない。しかし、将来、同党中心の民主連合政権が出来れば、自衛隊を一旦解体して、創隊し直す。と同党の綱領に明記している。その暁には、同党は憲法の改正にとどまらず政治・経済等の仕組みも変えることになる。同党が「自衛隊の解体」を選挙公約の第一に挙げない最大の理由は、プラス効果よりマイナス効果が膨らむからだろう。 

・いずれにしても、かっての民主党政権の二の舞にならない為にも、新興の政党中心の政府に、国の将来を託することになるような選挙結果は避けるべきだ。トランプ政権のような「ガタガタ政権」や、来週からの全国党大会で「最強の習近平」体制を狙っていると報じられている一党独裁政権など、極端な「一強政治」は元より我が国の政治風土にはなじまない。安倍一強と揶揄する論調にも一理はあるのだろうが、厳しい国内外情勢の下では諸外国にも通用する、健全な一強のリーダが我が国にはぜひ必要だ。

・今回の総選挙は、そうしたリーダを選ぶ重要な選挙でもある。このことを一選挙民として、又この国の健全な未来願う老生として特に強く望んでいる。