習作の貯蔵庫としての

自分の楽しみのために書き散らかした愚作を保管しておくための自己満足的格納庫ですが、もし感想をいただけたら嬉しく存じます。

時事ネタを二つ(1)

2023-05-20 22:31:15 | 政治・経済・社会・時事
1 「がんばれウクライナ」的発想の転換、あるいは或る『箱根日記』伝


 今さらながらのウクライナネタを一席。

 いわく、「ロシアは『世界』を敵にまわし孤立!ザマア!」と。
 いわく、「『国際社会』はロシアを許さない(キリッ)」と。

 はあ~。そうですか。そりゃご立派なことで。
 てゆーか、あんたらのいう「世界」とか「国際社会」ってのは欧米のことだろ(笑)。地球上に200ぐらい国がある中の30ぐらいだろ。地球上に70億ぐらいの人間がいるうちの10億人程度だろ(※1)。

 ま、「一方的なロシアの侵略」と、別にそれは自体は全く否定しないけど。
 ウクライナがロシアの強圧下から離れたがって西側の庇護を求め、それを嫌がるロシアが身勝手な抵抗。と、その図式も否定しないけど(※2)。
 そもそも、ロシアを積極的に擁護しようという気もない。義理もない。誤解なきよう。

 でも、NATO側の勢力拡大意図が幾度も幾度も繰り返され、いい加減にしろ!というロシア側の立場も、賛同するかどうかは全く別として、ともかく存在していることはたしかである。
 ロシアというのは、帝政時代もボリシェヴィキ時代も割と平気で条約を反故にする国だったが、西側もまたNATO不拡大というロシアへの口約束を何度も何度も平気で反故にしてきたことは事実なのだから(※3)。


 ウクライナ「侵攻」と呼称して(※4)、ロシアが100%悪だと、ごく単純化されて報道されているこの戦争は、見方を変えれば、ウクライナを舞台にしたロシアと西側資本との利権争いでもあろう。
 だからこそ、欧米とそれに追随する国以外はーすなわち冒頭の「世界」「国際社会」w以外の国々は―案外、冷めているのではないか。

 アフリカ諸国も中南米諸国もロシアが正しいとは決して思っていなくても、欧米資本に踏みつけにされ、犠牲になってきた歴史があるだけに、ナイーブに西側の「正義」を信用するほどおめでたくはない。
 無論、インドも東南アジア諸国も同様に。

 独りよがり偽善の総本山アメリカ。そのアメリカと対等以上のパートナーだと本人らは思っているが、ハタから見るとアメリカの子分でしかない英国。そして、どこからどう見てもアメリカの腰巾着以外の何物でもない日本(※5)。
 第三世界から見れば、その見苦しさ、醜さ、うすらみっともなさはロシアと五十歩百歩かもしれない(※6)。

 わが国では、庶民向けのプロパガンダとしては、西側の利権云々とかいうことは一切言わずに、かわいそうな被害者のウクライナを救えとしか言わないが(※7)、アフリカの人々も中南米の人々もインドの人々もアングロサクソン資本の欺瞞はイヤってほど知っているから、そう簡単にはだまされない。
 ロシアとのエネルギー面での関係というのもあるが、それ以前にそもそも欧米の「正義」を無邪気に信じないというところがポイントである(※8)。

 私も同意見である。
 ロシアを信ぜず!されど、欧米も妄信せず!!と。


 ちなみに、東京裁判でインドの判事らが日本に同情的だったのも、根底には対英不信がある(敵の敵は味方!)。でも、そんなインド判事を英雄視する日本の「保守」が、なぜウクライナ問題では、アングロサクソン同盟の偽善物語(※9)を無批判に補強するばかりなのだろう(※10)。

 「戦争に巻き込まれた気の毒なウクライナの一般市民を救え」自体にはもちろん私も一切反対しないが、欧米がみんな正義なわけでも、欧米が単純な義侠心から「ウクライナをロシアから守ろう」としているわけではないことぐらいー言い換えれば、何らかの損得勘定なしに国家が動くわけないってことぐらいー、ちょっとでも世界史を知っていればすぐにわかるはずなのに(※11)。


(※1)

ネットでたまたま見た、とてもいい文章を以下に無断転載。

   私達の国のメディアの皆様方は、いつも発しておられる「国際社会」というお決まりのフレーズに対して、違和感や疑問を感じた事が一切無いのでしょうか。
   所謂「国際社会」というのは単なる「西側社会」という事なのではないのでしょうか。
   私達の国のメディアや西側メディアが「国際社会」がだとか「世界」がだとかおっしゃられておりますけど、それは真の意味での「国際社会」や「世界」ではないのではないのでしょうか。
   要するに「西側社会」が認めない、などというふうに正確な言葉で発信して下さいねということなんです。
   「西側社会」の価値観が「国際社会」や「世界」の価値観とイコールだといった主張は、西側諸国の大いなる傲りであって、大いなる自惚れや勘違いにほかなりません。ですので西側諸国の皆様方は、あなたがたの価値観が必ずしも万国共通ではないという現実を容認し、それに対して向き合う努力をなされますよう願ってやみません。

どんな人が書いたのかは、わからない。たぶん私より若い人なんだと思うが、本質を誤解せずに掴んでいて、素晴らしい。


(※2)

ちなみに、ここで書いた
「ウクライナがロシアの強圧下から離れたがって西側の庇護を求め、それを嫌がるロシアが身勝手な抵抗」
という図式は、「ウクライナ」を「キューバ」に、「ロシア」を「アメリカ」に、「西側」を「ソ連」にすると、ヒロン浜事件(ピッグス湾事件)の話にそのまんまなる。


(※3)

そして、そのNATO不拡大の口約束をキチンと文書化させず、(ロシア人から見れば)「だまされた」格好となることが、ゴルビーの評価がロシア国内で低いことの大きな理由の一つである。


(※4)

アメリカがやればイラク「戦争」、ロシアがやればアフガン「侵攻」(笑)。


(※5)

ジャイメリカ「正しいのは、いつもおれだ!!」
日ネ夫「そうそう!ジャイメリカはいつも正しい!」


(※6)

アメリカの号令下で、日本もその一員となって、腐れロスケや腐れシナを成敗する・・・というのが日本の右翼が大好物とする物語であり、逆に日本の頭越しにアメリカがロシアや中国と握手するというのが、日本の右翼が最も嫌がる展開である。
そう考えると、ロシアと取り引きしかねないトランプより、「悪の帝国」ロシアに対して妥協禁止で非難一辺倒のバイデンのほうが、日本の右翼にとっては、実はよほど「いい大統領」なのかも(笑)。


(※7)

CNNやBBCなど、西側の戦争報道とは、アフリカあたりでも日々いろいろなひどいことが起こっているのに、そちらには全く興味を示さず、ウクライナに関してだけ異常な熱量で肩入れ報道し、援助を呼びかけるというものである。
結局、白人国家のキリスト教文化圏で起こったことと非白人国家、非キリスト教文化圏の(彼らにとって)未開国で起こった出来事とでは関心度合いが違うということであろう。非白人国家で非キリスト教文化圏の我が国までそれに同調しているのは実に滑稽であるが。
欧米をキャッシュディスペンサーにするペテンスキー氏は、民主主義を守る正義の戦いだなどとうそぶくが、調べれば相当にダーティーな政権であり、ダーティーな政治家であるにもかかわらず、報道ではそういった面には触れず、悲劇のヒーローみたいにウソライナマンセー、ペテンスキーマンセーと一色。ロシア国内のプロパガンダ報道と案外五十歩百歩かもね。


(※8)

ユキチ以来の尊欧侮亜病患者の日本人にはわかるまいが。
日本人の、とくに「親米保守」と呼ばれる人たちは、全世界の人たちがG7を大好きで、逆にロシアや中国は(と、ついでに韓国もw)全世界からの嫌われ者だと無邪気に信じているが、願望と現実は違う(笑)。
ロシアや中国が、アフリカ諸国や中南米諸国や南アジア、西アジア、東南アジア諸国にとって、本当に頼りになるような信頼のおける国かどうかはともかく、欧米が自分たち本意で好き勝手にアフリカや中南米等を侵略支配してきたということ、それも単なる過去の歴史ではなく、いまだに搾取と差別が現在進行形であることを思えば、西側メディアがどんなに、ロシア=悪、欧米=正義と唱えても(プロパガンダしても)彼らに刺さるわけないわな。


(※9)

世界史をひもとけば簡単にわかることとして、ここ数百年の、米英アングロサクソン連合の本能というか、基本発想は、「特定の地域に自分たち以外の覇権国家ができることを嫌がり、何が何でも邪魔して封じ込める」である。
ナポレオン帝国ができればそれへの包囲網を作り、ドイツ帝国が統一され英国の強大な対抗馬になってくれば、それを封じ込めようと画策し、ロシア帝国の南下を妨害するために一時的に大日本帝国を利用するも、今度はその日本がアジアの覇権国家になろうとしたら、これまた全力でつぶし、もちろんナチスの欧州征服プログラムも阻止し、戦後はソ連を徹底的に牽制し、一時は「敵の敵は味方」で利用し合った中国も、中国自身が強大化したら、やはり封じ込めの対象となり・・・・・・と、とにかくおもしろいぐらいに首尾一貫しているのだ。
米英の行動原理はぶっちゃけ、これだけで説明がつく・・・と言っても言い過ぎではない。


(※10)

まあ、いわゆる「右」の人たちの中でも、疑米家の小林よしのり氏あたりはどう言っているのか知らんが。


(※11)

そして、私も「国際社会はロシアの一方的侵略を許さない!」なんて、バイデンが演説している映像など見ると、
「そうそう。呼ばれてもいないのに軍事力にものを言わせて他国に侵犯して、自分たちの都合のいいように現状を書き換えようとする、そういう身勝手なならず者国家ってあるよね!そういえば、2003年頃にもそういう国、あったよね。たしか、その国はアメリカとかいう国じゃなかったっけ?」
なんて、揶揄的な戯言を大人げなく吐いてみたくなったりもして。
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