習作の貯蔵庫としての

自分の楽しみのために書き散らかした愚作を保管しておくための自己満足的格納庫ですが、もし感想をいただけたら嬉しく存じます。

夢の超特急、西へ?

2014-05-27 19:13:44 | 政治・経済・社会・時事
 いや~。正直いらないなってね、個人的には思うんだよね。オリンピックの東京への誘致がちっとも必要だと思えなかった(※1)のと同じぐらいにね。
 何がってそう、リニア中央新幹線とやらがさ。

 いや、そりゃね、造ってみたら結果的に「当たり」のプロジェクトになるんかなとは思うよ。たしかに。
 今秋、開業から満半世紀となる東海道新幹線だって、できる前は、戦艦大和とも比肩されるべき大いなるムダの誇大妄想プロジェクトだと思われていたらしいけど、今は全国民的に「建設して正解だった」ってコンセンサスが共有されているし。
 なるほど、たしかに戦艦大和が有用になるか無駄に終わるか竣工前に見抜いた人が少なかっただろうというのと同様(※2)、新幹線が大当たりになるかどうかという予測も難しかったろうというわけかな。
 いや、でも当時の東海道線では遠からず需要をまかない切れなくなるとリアルタイムで予測されていたんじゃないのか。だったら経済的に成功しないと予測したやつのほうがどうかしてたか。むしろ東海道・山陽新幹線よりも東北新幹線のほうがこんなに成功するとは予想以上だったかもね。
 ということはさておき。


 しかしどうなんだろ。
 60年頃の経済成長ぶりと、東海道線が遅かれ早かれパンク寸前という客観的実情からしたら、その時点で東海道新幹線が必要不可欠だってのはまっとうな判断だが。じゃあ、ひるかえって、今はどうなんだと。
 とりあえず、今後ともしばらく日本経済は衰えない、と仮に予測しておくにしても人口がどんどん減っていくこの国において、既に東海道新幹線と在来線とがあり、しかも60年代と違って航空路も高速道路での移動も身近な現状で、莫大な建設費をかけてまでリニア新線を造ることが本当に必要なのか。どうしても造らなければならないものなのか。

 夢とか何とかいう抽象的な語でケムにまかずに、内需の視点だけからすれば、何となく疑問に思える。
 たしかにまあ、スカイツリーもそうであるように、とにかくできてしまえば、まず最初は物見遊山需要だけでも相当繁盛するだろう(※3)。そして気がついたら生活必需品となって欠くべからざる不可欠のインフラとして定着するのかもしれない。
 実際、たとえば東京の地下鉄なんかも最初に上野・浅草間で開業したときは時期尚早の無理プロジェクトのように見られつつも、まずは物見遊山で繁盛して、そして気がつけば不動の必需品として定着していたわけだから、大抵の場合はうまくいく、ものだ。とりあえず、人口の多い首都圏が絡めば当分の間は(※4)。
 (逆に言えば、あのオリエンタルランドだって地方にあったらここまで成功していたかわからないもんね(※5))


 でも、実を言うとリニアの本当の狙いはたぶん内需じゃなくて外需なんだよね。
 東京・名古屋間の路線運営はまあ一応は成功するかもしれないけど、減価償却費は毎年かなり大変だろう。
 が、そんなことは問題じゃないのかもしれない。極端な話、国内では半永久的に赤字だってかまわないぐらいなのかもしれない。ただ、世界に、とくに米国、中国、インドなどに技術ぐるみで輸出するためのショウウインドウの中のパフォーマンスとして東京・名古屋間の開業は必要なんだろう。手打ちうどんの見世物みたいに。
 そう考えれば、さして切迫した需要がなさそうに見えるのに強引に着工しようと前のめりになる理由も綺麗に説明がつく。

 原発不稼働で猛暑を乗り切ったにも関わらず、意地でも原発を動かそうとする理由もまた、リニアを動かすために必要だということと、原発自体もリニア同様に技術ぐるみ輸出したいからなんだなということで説明がつく。
 そりゃ、売りたがっている当の日本自身が大事故を機に脱原発しちゃいましたってんじゃ商談にならないからな(笑)。
 だとすれば、この先、福島の人々の苦難がどれだけ続こうと、もし第二・第三の福島の悲劇が起ころうと(縁起でもないが)、原発推進シナリオは変えられないってことだろうね。霞が関と経団連のシナリオでは(※6)。

 夢の超特急だのというキャッチフレーズは、国内の中高年庶民向けの説明のためのものだあね。あくまで。NHKじゃそっちの、大衆向けの「夢」と沿線自治体のナイーブな期待しか伝えていないかもしれないが。


 さて、だから私としては、リニア新線なんてまったくどうでもいいし、そんなのに使う金があったらあれもできるだろう、これもできるだろうといういつもの物言いになってしまうわけだが。
 でも、もしリニア超特急を作るなら、列車愛称は「いなづま」号にしてね。
 と、これはこれで一部の中高年にしかわからないネタで今日の駄文の筆を折る。


(※1)
これについては、以前に別稿で書いた。
一定の復興をできたところで仙台市に誘致するんなら、それはそれで心情的には応援できたろうけどね。
でもまあ、いずれにしたって五輪は国体じゃないからね。被災地に夢を、とか、被災地に希望を、とかっていうのは所詮は日本人の都合だって言われちゃえばその通りだからね。
五輪開催を通じて全世界のスポーツ文化振興に貢献するとかいうIOCサイドの対外決まり文句のタテマエ(本音は無論金儲けが全て)にてらせば、仙台市は国際的知名度が低すぎて、招致競争で勝てないからまあ無理といえば無理だろう。
日本の都市で全世界に知られているのなんて、実は東京と広島と長崎ぐらい・・・え?福島もか?


(※2)
もっとも戦艦大和の建造については、新幹線と違ってリアルタイムではほとんど情報公開されてなかっただろうが。


(※3)
スカイツリーの本来の目的は別に観光じゃないんだろうけど。


(※4)
首都圏でさえ人口が激減したら保証の限りではないが。


(※5)
まあ、オリエンタルランドなら地方でも現状ほどではなくてもある程度は成功するだろうが、首都圏でこそかろうじて採算がとれていても地方だったらとっくにつぶれていただろうっていう遊園地や美術館やコンサートホールは多いんじゃないか。


(※6)
本質的なことを言えば、その程度のシナリオの書き換えぐらいで国がつぶれるわけじゃないから本当は平気だと思うが。てゆーか、そんなぐらいでつぶれるようなヤワな国じゃ困るし(笑)。
コメント
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