習作の貯蔵庫としての

自分の楽しみのために書き散らかした愚作を保管しておくための自己満足的格納庫ですが、もし感想をいただけたら嬉しく存じます。

時事ネタを二つ(2)

2023-05-21 10:16:10 | 政治・経済・社会・時事
2 少年犯されやすく学成りがたし

 今さらながら、ジャニーズ問題・・・というのは、本当に本当に「今さら」だよね。
 ジャニー喜多川氏が事務所所属の未成年者に性行為を強制していた、なんてことは、何十年も前から、なかば「常識」だったものね。
 にもかかわらず、新聞・テレビがジャニー氏の公然の秘密ー「秘密」ですらないがーを本格的に追及することは一度たりともなく(※12)、今回も海外メディアが「報じてしまった」から、「しかたなく」、「渋々」、「嫌々」、「申し訳程度に」、「アリバイ作りとして」、ニュース番組の終わり頃にチョロッと流して、その直後からもうスタジオではコメントせずに話題を変える・・・的な予想通りの「終わってるわ、こりゃw」対応(※13)。

 死んだ前社長の行為の責任を、今の経営陣が、どの程度まで負うべきなのかはわからないが(※14)、他の業界の会社だったら、ここまで報道に手心を加えはしなかったはずだから、ジャニーズ事務所そのもの以上に、マスゴミが腐ってる!という感想を持つのは、まあ当たり前といえよう。

 なぜ、そこまでテレビ局とそれに付随する大手新聞社がジャニーズ事務所に迎合するかと言えば、ご案内の通り、要は人気があって金になるからだろう(※15)。
 ジャニーズ事務所にはカルト的信者という確実な固定客がいるから、テレビ局はジャニタレを重用する(※16)。スポンサー企業もそうだから、テレビ局にとっては、直接の視聴者と、スポンサー企業の両方を背後に持つジャニーズとは対立してもメリットはゼロで、逆にズブズブになっておけば、とりあえず安泰。
 だから、そんな優良取り引き先の不祥事をあえて報道して、せっかくの優良取り引き先を失うような愚を犯すはずはない。・・・といった図式が何十年も続いてきたという次第。
 しかし、もちろん、BBCにはそんな忖度はない。・・・


 が、それはさておき。
 私見だがーというより、ほうぼうで指摘されていることだがージャニー氏がひどい性犯罪者かどうかとか、メリー氏が人非人かどうか(※17)とかいうこととは別に、ジャニーズ事務所の専横が日本のエンタメのクオリティを下げ続けてきたという事実も見逃してはならないと思う(※18)。
 たしかに稲垣吾郎氏や二宮和也氏や風間俊介氏や目黒蓮氏など、中には比較的いい俳優もいることは否定しないが、歌でも踊りでも司会でも映画・ドラマ・アニメでも、ハッキリ言って、ジャニタレの排他的独占は、エンタメの「質」への寄与という観点からすれば、功罪の罪のほうがずっと大きい(※19)。

 それから、なかなか面白いなと興味を惹かれるのは、ジャニーズ信者たちの反応である。
 まっとうに考えれば、自分の推し(ジャニヲタ用語でいう「自担」)が、性的虐待に遭ってきたかもしれない、となれば、許せない!徹底的に追及して膿みを出し切ってほしい!できれば、そんな悪徳事務所をつぶしちゃって、自分の好きなアイドルには、もっと別のいい事務所で活躍してほしい!ぐらいに思ってもよさそうなものであるが。
 ところが、実際はそんなことを言うファンは皆無で、むしろ、あまりジャニーズ問題を追及しないでほしいというスタンスのファンが大部分のようだ。
 ということは、アイドル一人一人の人権より、ジャニーズ事務所というブランドのほうが大事なの?アイドルその人のファンなのか、事務所のファンなのか、どっちや?ぐらいに思うところ(※20)。
 事務所と一体になって、とっとと風化して話題が変わり、そして今まで通りのジャニーズワールドの継続をひたすら望む。「ジャニー喜多川、許すまじ!私の好きな〇〇君のことも凌辱してやがったのか!?この鬼畜め!」なんてことは誰も言い出さない。信者につける薬はないのか??(※21)

 ・・・と、これはあまり指摘されないが、端的に言うと、ジャニーズ信者は男対男の同性愛には甘いんだと思う。たとえ合意のもとではなく、ジャニー前社長の、力を背景にした強制的関係であったとしても。
 仮に、もしジャニタレが女性マネージャーや女性タレントに「たぶらかされた」(ジャニ信者側の見方)のだったら、信者は決して許さないはず。たとえそれが合意のもとの行為であっても。だが、男性であるジャニー氏にやられた、なら比較的許せる・・・らしい。ジャニヲタはBLには甘いのだ(※22)。
 おおやけの電波でそんなことを言う人はいないが、間違いなくそう言えると思う(※23)。


(※12)

当のジャニー氏が死んだ時も「マンセー」一色だったことからわかるように。


(※13)

2023年5月18日の市川猿之助事件というのは、もちろんジャニーズ問題とは何の関係もないが、ジャニーズ擁護共同体のマスゴミにとっては、話題をそらす格好の素材で、「神風」みたいな出来事だったんじゃなかろうか。
・・・というような、陰謀論じみたうがった見方をしたくなるぐらいに、ワイドショーでは、ここぞとばかりに嬉しそうに(?)猿之助一色でことさらに大はしゃぎ(?)していた・・・というのが、事件後数日の地上波テレビの、わかりやすすぎる素直な動きだったようだ。
私は見てないけど、聞いた話によれば。


(※14)

半世紀以上の間に、何百人、下手したら何千人もの少年が性被害に遭っているのに、百も承知の上でそれを完全に黙認してきたテレビ局や大新聞やスポンサー企業の責任こそ、大いに追及されていいと思うが。


(※15)

ただ、ご承知の通り、ジャニーズ軍団も、ずーっと全盛期だけが続いていたわけではなく、相対的低迷期というのはあった。
いわゆる団塊ジュニア世代たる私の記憶でも、私が中学生だった1987~88年頃は光GENJIブームと少年隊ブームと第二次トシちゃんブーム(びんびんブーム)で、ジャニーズ無双状態だったが、89年頃にはいずれも衰退して(というより、歌謡アイドルや歌番組といった「昭和文化」自体が衰退して)、バンドブームとビーイングブームに取って代わられる。その後、スマップが深夜バラエティー番組というそれまでのジャニタレとは違ったステージを足がかりにブレークするまで、年でいうと90年頃から92年頃の、私が高校時代から高校卒業直後の頃は、相対的な「ジャニーズ冬の時代」であったように思う。
(じゃ、その頃はどんな男性芸能人が人気だったんだ?と言うと、あまりよく思い出せないのだが、前出のバンド勢、ビーイング勢以外だと、織田裕二、吉田栄作、加勢大周の「トレンディ御三家」あたりだったろうか。その中では、織田裕二が一番あとまで「残った」印象だが。江口洋介だったり、武田真治だったり、福山雅治だったり、いしだ壱成だったり・・・は、どうだったかな?もう少し後か?いずれにせよ、その「ジャニーズなき時代」のほうが、日本のエンタメ界にとっては、正直「いい時代」だったんじゃないかと思われてならない)


(※16)

自民党が公明党と組むのも、映画館が「幸福の科学」の映画をかけるのも同じ理由であろう。


(※17)

もし私が、メリー喜多川氏の訃報の時にコメントを発するような立場にいたら、きっとこうコメントしたことだろう。
「惜しくない人を亡くしました。心からご冥福をお祈りいたしません」
そして、以下は余談。
メリー喜多川氏の夫は、かつて「ポール・ボネ」という偽名で、外国人に仮託したスタイルで社会時評的な著書を出していた人物である。私は、中学生ぐらいの頃、それを本当に「外国人から見た日本論」の本だと騙されて、そしてその本の主張内容が、客観的で正しいのだと信じ込んで鵜呑みにしてしまったことがある。実に恥ずかしい記憶である(泣)。ちゃんと勉強して、大人になってから読めば、朝日岩波文化人へのルサンチマンに満ちた、いかにも産経系右翼の書きそうな噴飯ものの駄文だと簡単に見抜けるのに、無知というものは恐ろしい!
私の場合は、その後、高等教育を受けて、その本の主張がいかに偏ったデタラメか、理解できたからまだ良かったが、まともな勉強をせずに、そんな本ばかり読んでいては誰でも騙される可能性があるぞ、危ないな、と、今でも冷や汗の出る思いである。


(※18)

好き嫌いは別として、ジャニタレとBTSあたりとを比べたら、背の高さや脚の長さ、ダンスの上手さなどでは、まったく勝負にならないものね。
もちろん、ガールズグループもまたしかりで、やはり好き嫌いとは別に、AKB系統や坂道系統のいわゆる秋元グループとBLACK PINKやTwiceやLE SSERAFIMとを比べたら、同じことが言えるだろう。こちらについては、異性のオタクが愛でる用のアイドルと同性が憧れる用のアイドルと、ちゃんとニーズに合わせ、仕様が作り分けられているところがおもしろい。


(※19)

なお、ネット記事でチラ見したところでは、藤島ジュリー社長も、本心では今までのジャニーズ商法を決していいとは思っておらず、「普通の芸能プロにしたい」と漏らしたことがあるそうな。
おそらく、こういうことではないだろうか。カルト信者を相手に、キラキラした「夢の王子様」みたいなボーイズグループの歌と踊りの「夢の(虚飾の?)ステージ」をプロデュースしつつ、一方で自分たち以外のボーイズアイドルの存在を許さず、大手マスコミへの接待&圧力攻撃によってライバルの芽はつぶす・・・・・・みたいな、叔父と母の異常なビジネス手法は、もう先代までで終わりでいい、これからはグループとか美少年とか歌と踊りとかにこだわらず、俳優のみ、司会のみ、お笑いのみの芸能人を育ててもいいし、何なら女性芸能人をマネージメントしたっていい・・・というような「脱ジャニーズカルト商法」を思い描いているのではなかろうか。
あくまで私の想像であるが、もし本当にそうだとするならば、ジュリー社長という人は、母親や叔父とは違って意外とまっとうで常識的な人物なのかもしれない。
ちなみに余談の余談ながら、この藤島ジュリー社長が、かつての『金八先生』第1シリーズ(1979~80)の生徒だった(縁故採用?)というのは、迂闊にも今回の騒動が起こるまで、まったく知らなかった。この藤島ジュリー社長が演ずる生徒が主役の回(第8話)なんて、夕方の再放送で、小中学生の頃、何度も見てよく覚えている回だったのにも関わらず。
で、改めて見直してみた(たぶん日本中でシーズン1の8話だけ配信の再生回数が急激に伸びたことだろうw)。うん、藤島ジュリー社長の演じる「越智さん」にもたしかに問題はあるが、最初にテストの点数のことを茶化した同級生のほうもデリカシーがないわなあ。ひっぱたいていいとは言わんが、カッとなる気持ちはわかる(笑)。中三なんてまだまだ子どもだからしょうがないよね。
まあ、いずれにしても、今ではあり得ないドラマだわな。体罰を肯定するような描写も、男親と女親の「役割」についてのステレオタイプなセリフも、今では許されまい。それに、当時は気づかなかったが、あんなふうに親の子育てのありように対して平気で意見する教師たちなんて、当時も今でも現実にはあり得ないだろう。


(※20)

だからまあ、そこが「ジャニーズ=カルト宗教」と比定されるゆえんなのよね。
さっきの注で、公明党を引き合いに出したが、創価信者にとっては、山口那津男とか神崎武法といった議員に票を入れているんではなく、公明党という教団に票を入れているわけだからね。山口那津男に投票している信者は、山口という議員個人を応援しているわけではないから、仮に万一、山口那津男が離党して無所属で選挙に出たら、もう見向きもしないのだろう(それどころか、きっと裏切り者として攻撃の対象になるだろう。かつての竹入義勝のように)。
そのあたりは、たとえば岩手県の選挙民が、自民党だろうが自由党だろうが民主党だろうが「小沢一郎」個人にどこまでも着いて行く、というのとは対照的である。
そして、ジャニヲタというのは、小沢支持の岩手県民より公明党支持の創価学会員のほうに近い人が多いのだろう。
(そういえば、あまり関係ないが、私の旧友に、マルチまがい商法のAW社の「ディストリビューター」にハマった人がいて、15年以上前に、私も勧誘され、つきあい&話のタネで、洗脳集会に行ってみたことがあるが・・・いやあ、凄かった(笑)!噂にたがわず、まさに宗教だね、あれは。洗脳セミナーのチケット代は、授業料というか見物料としては、決して安くはなかったが、それでも一見の価値はあったね)


(※21)

「信者」と書いて「儲ける」と読む・・・「儲」という漢字を作った昔の中国人が何を考えて作ったのかは知らないが、実に天才的な文字である(注・本当は「儲」は会意文字ではないw)。
池田大作も文鮮明も大川隆法もあの世で大絶賛だろう(←池田はまだ死んでないってw)。


(※22)

なお、これは男性のアイドルオタクにも言えそうなことだろう。
たとえば(あくまでたとえばの話!)、女性アイドルが男性プロデューサーやスタッフー仮に秋元氏なら秋元氏でもいいーに凌辱されたなんてことが明るみに出たら烈火のごとく怒っても、仮に先輩女性アイドルから強制百合行為につき合わされたなんて話があっても、そこまでは怒らないんじゃないかな、なんてふうに想像もできる。
ついでに言うと、もしジャニタレが女性マネージャーや女性芸能人に「たぶらかされた」としたら、たとえ双方合意の上であっても、おそらくジャニ信者はそのジャニタレ当人のことを「裏切り者」として憎むのではなく、「たぶらかした」女のほうを憎悪することだろう。もしアイドルオタクの男性だったら、むしろ「裏切り者」たるアイドル本人に怒りが向きそうな気がするんだが。
いや、正確なエビデンスもなしに勝手な性別決めつけをするのは厳に慎むべきこととはわかっているが、それでも個人的にはそうだろうなと想像する。


(※23)

この種の話題で思い出すのが、1992年のバルセロナ五輪で金メダルを獲った水泳選手の岩崎恭子さんが、どこかのネット記事で披露していたエピソードである。
オリンピック前は一般世間では全く無名だった当時中学生の彼女が、金メダルによってアッというまにスーパースター扱いになり、大会直後はテレビのバラエティー番組のオファーが続々と来たんだそうな。
で、そんな出演番組群の一つに、「ゲスト出演者の夢を叶えてあげる」みたいな企画があったのだという(いつの時代にもあるんだね、そういうの。30年経ってもバラエティーって大して進化してないのか?と思うが、それはさておき)。
それで、当時中学生だった岩崎さんは、(若気の至りで?)その頃ファンだったさるジャニーズアイドルに会いたいとリクエストして会わせてもらったんだそうな。そしたら、SNSのない時代なので「炎上」はしなかったが、その代わり、個人情報規制がまだ緩かった当時、自宅に怒涛のごとき勢いでカミソリ入りの呪詛の手紙が殺到したんだとか。それこそ100や200の量ではない単位で。文面にいわく、ブスのくせに生意気なんだよ、たかが金メダルぐらいで調子に乗るな、死ね、と(金メダルなんて一生無縁な人たちから「たかが」金メダルと言われてしまう岩崎さん、かわいそう・・・)。
大人になって冷静になって聞くと、中学生の子どもを相手に、よくまあそんなことできるなと、差し出し人のアタマを疑うような話ではあるが、まさにこれがジャニヲタクオリティなんだね、と、妙に納得できてしまう話でもある。たぶん、こんなような話はゴマンと転がっていることだろう。前注の仮説を証明するがごとき逸話ともいえようか。
改めて考えれば、あくまで岩崎さんはテレビでジャニタレに会わせてもらって、握手してもらって、一緒に写真撮ってもらって、お話ししてもらったという、そんな程度に過ぎない。翻って、ジャニー氏は、何百人、何千人という少年たちを何度も何度も繰り返し陵辱してきた。それこそ、終生トラウマが残るぐらいに。
普通に考えて、ファンの立場として怒るべき対象はどっちか。憎むべき対象はどっちか。比較にすらならないだろう。
にもかかわらず、昔から「ジャニーさん」は「おもしろい名物社長」としてファンから好感を持って語られ、たった一度、ジャニタレに「会わせてもらった」だけの岩崎さんは物凄い憎悪のターゲットになった。・・・・・・
これなどは、まさしく男性対男性ならたとえ本人が嫌でもおとがめなし、相手が女ならたとえ本人がOKでも絶対に許さない(本人でなく女を!)という、ジャニ信者のダブルスタンダードの典型例だろう。
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時事ネタを二つ(1)

2023-05-20 22:31:15 | 政治・経済・社会・時事
1 「がんばれウクライナ」的発想の転換、あるいは或る『箱根日記』伝


 今さらながらのウクライナネタを一席。

 いわく、「ロシアは『世界』を敵にまわし孤立!ザマア!」と。
 いわく、「『国際社会』はロシアを許さない(キリッ)」と。

 はあ~。そうですか。そりゃご立派なことで。
 てゆーか、あんたらのいう「世界」とか「国際社会」ってのは欧米のことだろ(笑)。地球上に200ぐらい国がある中の30ぐらいだろ。地球上に70億ぐらいの人間がいるうちの10億人程度だろ(※1)。

 ま、「一方的なロシアの侵略」と、別にそれは自体は全く否定しないけど。
 ウクライナがロシアの強圧下から離れたがって西側の庇護を求め、それを嫌がるロシアが身勝手な抵抗。と、その図式も否定しないけど(※2)。
 そもそも、ロシアを積極的に擁護しようという気もない。義理もない。誤解なきよう。

 でも、NATO側の勢力拡大意図が幾度も幾度も繰り返され、いい加減にしろ!というロシア側の立場も、賛同するかどうかは全く別として、ともかく存在していることはたしかである。
 ロシアというのは、帝政時代もボリシェヴィキ時代も割と平気で条約を反故にする国だったが、西側もまたNATO不拡大というロシアへの口約束を何度も何度も平気で反故にしてきたことは事実なのだから(※3)。


 ウクライナ「侵攻」と呼称して(※4)、ロシアが100%悪だと、ごく単純化されて報道されているこの戦争は、見方を変えれば、ウクライナを舞台にしたロシアと西側資本との利権争いでもあろう。
 だからこそ、欧米とそれに追随する国以外はーすなわち冒頭の「世界」「国際社会」w以外の国々は―案外、冷めているのではないか。

 アフリカ諸国も中南米諸国もロシアが正しいとは決して思っていなくても、欧米資本に踏みつけにされ、犠牲になってきた歴史があるだけに、ナイーブに西側の「正義」を信用するほどおめでたくはない。
 無論、インドも東南アジア諸国も同様に。

 独りよがり偽善の総本山アメリカ。そのアメリカと対等以上のパートナーだと本人らは思っているが、ハタから見るとアメリカの子分でしかない英国。そして、どこからどう見てもアメリカの腰巾着以外の何物でもない日本(※5)。
 第三世界から見れば、その見苦しさ、醜さ、うすらみっともなさはロシアと五十歩百歩かもしれない(※6)。

 わが国では、庶民向けのプロパガンダとしては、西側の利権云々とかいうことは一切言わずに、かわいそうな被害者のウクライナを救えとしか言わないが(※7)、アフリカの人々も中南米の人々もインドの人々もアングロサクソン資本の欺瞞はイヤってほど知っているから、そう簡単にはだまされない。
 ロシアとのエネルギー面での関係というのもあるが、それ以前にそもそも欧米の「正義」を無邪気に信じないというところがポイントである(※8)。

 私も同意見である。
 ロシアを信ぜず!されど、欧米も妄信せず!!と。


 ちなみに、東京裁判でインドの判事らが日本に同情的だったのも、根底には対英不信がある(敵の敵は味方!)。でも、そんなインド判事を英雄視する日本の「保守」が、なぜウクライナ問題では、アングロサクソン同盟の偽善物語(※9)を無批判に補強するばかりなのだろう(※10)。

 「戦争に巻き込まれた気の毒なウクライナの一般市民を救え」自体にはもちろん私も一切反対しないが、欧米がみんな正義なわけでも、欧米が単純な義侠心から「ウクライナをロシアから守ろう」としているわけではないことぐらいー言い換えれば、何らかの損得勘定なしに国家が動くわけないってことぐらいー、ちょっとでも世界史を知っていればすぐにわかるはずなのに(※11)。


(※1)

ネットでたまたま見た、とてもいい文章を以下に無断転載。

   私達の国のメディアの皆様方は、いつも発しておられる「国際社会」というお決まりのフレーズに対して、違和感や疑問を感じた事が一切無いのでしょうか。
   所謂「国際社会」というのは単なる「西側社会」という事なのではないのでしょうか。
   私達の国のメディアや西側メディアが「国際社会」がだとか「世界」がだとかおっしゃられておりますけど、それは真の意味での「国際社会」や「世界」ではないのではないのでしょうか。
   要するに「西側社会」が認めない、などというふうに正確な言葉で発信して下さいねということなんです。
   「西側社会」の価値観が「国際社会」や「世界」の価値観とイコールだといった主張は、西側諸国の大いなる傲りであって、大いなる自惚れや勘違いにほかなりません。ですので西側諸国の皆様方は、あなたがたの価値観が必ずしも万国共通ではないという現実を容認し、それに対して向き合う努力をなされますよう願ってやみません。

どんな人が書いたのかは、わからない。たぶん私より若い人なんだと思うが、本質を誤解せずに掴んでいて、素晴らしい。


(※2)

ちなみに、ここで書いた
「ウクライナがロシアの強圧下から離れたがって西側の庇護を求め、それを嫌がるロシアが身勝手な抵抗」
という図式は、「ウクライナ」を「キューバ」に、「ロシア」を「アメリカ」に、「西側」を「ソ連」にすると、ヒロン浜事件(ピッグス湾事件)の話にそのまんまなる。


(※3)

そして、そのNATO不拡大の口約束をキチンと文書化させず、(ロシア人から見れば)「だまされた」格好となることが、ゴルビーの評価がロシア国内で低いことの大きな理由の一つである。


(※4)

アメリカがやればイラク「戦争」、ロシアがやればアフガン「侵攻」(笑)。


(※5)

ジャイメリカ「正しいのは、いつもおれだ!!」
日ネ夫「そうそう!ジャイメリカはいつも正しい!」


(※6)

アメリカの号令下で、日本もその一員となって、腐れロスケや腐れシナを成敗する・・・というのが日本の右翼が大好物とする物語であり、逆に日本の頭越しにアメリカがロシアや中国と握手するというのが、日本の右翼が最も嫌がる展開である。
そう考えると、ロシアと取り引きしかねないトランプより、「悪の帝国」ロシアに対して妥協禁止で非難一辺倒のバイデンのほうが、日本の右翼にとっては、実はよほど「いい大統領」なのかも(笑)。


(※7)

CNNやBBCなど、西側の戦争報道とは、アフリカあたりでも日々いろいろなひどいことが起こっているのに、そちらには全く興味を示さず、ウクライナに関してだけ異常な熱量で肩入れ報道し、援助を呼びかけるというものである。
結局、白人国家のキリスト教文化圏で起こったことと非白人国家、非キリスト教文化圏の(彼らにとって)未開国で起こった出来事とでは関心度合いが違うということであろう。非白人国家で非キリスト教文化圏の我が国までそれに同調しているのは実に滑稽であるが。
欧米をキャッシュディスペンサーにするペテンスキー氏は、民主主義を守る正義の戦いだなどとうそぶくが、調べれば相当にダーティーな政権であり、ダーティーな政治家であるにもかかわらず、報道ではそういった面には触れず、悲劇のヒーローみたいにウソライナマンセー、ペテンスキーマンセーと一色。ロシア国内のプロパガンダ報道と案外五十歩百歩かもね。


(※8)

ユキチ以来の尊欧侮亜病患者の日本人にはわかるまいが。
日本人の、とくに「親米保守」と呼ばれる人たちは、全世界の人たちがG7を大好きで、逆にロシアや中国は(と、ついでに韓国もw)全世界からの嫌われ者だと無邪気に信じているが、願望と現実は違う(笑)。
ロシアや中国が、アフリカ諸国や中南米諸国や南アジア、西アジア、東南アジア諸国にとって、本当に頼りになるような信頼のおける国かどうかはともかく、欧米が自分たち本意で好き勝手にアフリカや中南米等を侵略支配してきたということ、それも単なる過去の歴史ではなく、いまだに搾取と差別が現在進行形であることを思えば、西側メディアがどんなに、ロシア=悪、欧米=正義と唱えても(プロパガンダしても)彼らに刺さるわけないわな。


(※9)

世界史をひもとけば簡単にわかることとして、ここ数百年の、米英アングロサクソン連合の本能というか、基本発想は、「特定の地域に自分たち以外の覇権国家ができることを嫌がり、何が何でも邪魔して封じ込める」である。
ナポレオン帝国ができればそれへの包囲網を作り、ドイツ帝国が統一され英国の強大な対抗馬になってくれば、それを封じ込めようと画策し、ロシア帝国の南下を妨害するために一時的に大日本帝国を利用するも、今度はその日本がアジアの覇権国家になろうとしたら、これまた全力でつぶし、もちろんナチスの欧州征服プログラムも阻止し、戦後はソ連を徹底的に牽制し、一時は「敵の敵は味方」で利用し合った中国も、中国自身が強大化したら、やはり封じ込めの対象となり・・・・・・と、とにかくおもしろいぐらいに首尾一貫しているのだ。
米英の行動原理はぶっちゃけ、これだけで説明がつく・・・と言っても言い過ぎではない。


(※10)

まあ、いわゆる「右」の人たちの中でも、疑米家の小林よしのり氏あたりはどう言っているのか知らんが。


(※11)

そして、私も「国際社会はロシアの一方的侵略を許さない!」なんて、バイデンが演説している映像など見ると、
「そうそう。呼ばれてもいないのに軍事力にものを言わせて他国に侵犯して、自分たちの都合のいいように現状を書き換えようとする、そういう身勝手なならず者国家ってあるよね!そういえば、2003年頃にもそういう国、あったよね。たしか、その国はアメリカとかいう国じゃなかったっけ?」
なんて、揶揄的な戯言を大人げなく吐いてみたくなったりもして。
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