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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.11(年次有給休暇3)

2010年02月21日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第11回は、「年次有給休暇3」です。


◇◇パートタイム労働者にも年次有給休暇は与えければなりません。
(1)週の労働時間が30時間未満
    30時間以上は通常の労働者と同じ日数付与になります。
(2)週の所定労働日数が4日以下
    週以外の期間で決まっている場合は年間所定労働日数が216日以下
(1)と(2)の両方を満たした労働者になります。

すなわち、週4日でも週の労働時間が32時間の人は、通常の労働者と同じになります。また、週の労働時間が25時間でも週5日勤務なら、この方も通常の労働者と同じになります。

週の所定労働日数4日(年間所定労働日数が169~216日)
(雇入れの日から継続勤務期間が)6ヶ月…7日  1年6ヶ月…8日  2年6ヶ月…9日  3年6ヶ月…10日  4年6ヶ月…12日  5年6ヶ月…13日  6年6ヶ月…15日

週の所定労働日数が3日以下も、それぞれ付与日数は決まっています。



◇◇年次有給休暇中の賃金
次のいずれかで支払います・
ア.平均賃金
イ.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
ウ.標準報酬日額⇒労使協定が必要(届出は不要)

イの「通常の賃金」が手間いらずですね。要するに通常の出勤をしたものとして取り扱えば良い(=何も特別なことはしなくてよい)と言うことになります。


◇◇使用者の時季変更権
年次有給休暇は、法律上当然に発生する権利です。いつ休むか(時季指定権と言います)は労働者が決めます。原則として、労働者が請求する時季に与えなければなりません。

「社長、明後日休みます」
「困るよ~明後日は!明後日はダメ、日を変えてくれない?!」
と言いたくなる時もありますよね。日を変えてくれない(=時季変更権)は、事業の正常な運営を妨げる場合に限り使うことができます。

『事業の正常な運営を妨げる場合』とは、個別的、具体的に客観的に判断されます。
会社の規模、職場での配置(代替要員の確保の難易)、担当する作業の難易などを考慮して判断されます。それなりにハードルは高いですね。(社長の気分でダメとは言えないです)
また、事由消滅後できる限り速やかに休暇を与えることが必要になります。

この4月からは、労使協定を締結した場合は、5日を限度として時間単位年休も可能になります。子どもの学校へ、市役所へ、と労働者には使い勝手のよい制度です。しかし、会社としては管理上手間のかかる制度と言えそうですね。特に職場の風土が荒れないように注意する必要があります。運用上の注意点をしっかりと考えておく必要があります。

長時間労働から~2つのニュース~

2010年02月17日 | 社会保険労務士
長時間労働でニュースが2つ…

1つは「長時間勤務、過労で寝たきり損賠訴訟 1億9400万円賠償命令」のことです。
長時間勤務の結果、過労で脳に障害を負い、意識不明の寝たきり状態になった元ファミリーレストラン支配人と両親が、店を経営する会社に損害賠償を求めた訴訟の判決がありました。裁判長が過労と症状の因果関係を認め、「過酷な労働環境を漫然と放置した」と、会社側の安全配慮義務違反を認定し、将来の介護費用や未払い賃金など総額約1億9400万円の支払いを命じた。

発症までの半年間の時間外労働は月平均約202時間に上り、労災認定基準の発症1か月前の約100時間の2倍を超えていました。鹿屋労基署は2006年1月に労災認定し、休業補償などの支給を決定していました。
当時、支配人として店に勤務。休日返上で働いていましたが、管理職扱いのため残業代は支給されていません。

ところで、損害賠償の額はどのように決まるのか?原告側弁護士によると
賠償額には、症状固定が認定された時から余命分の介護費、介護する両親に対する慰謝料などが含まれているそうです。

TVのニュースで、ご両親の「会社に謝ってくださいって言ったも、会社は非を認めず謝らなかった。では、裁判しかない…」という言葉に何を思われますか?

長時間勤務から過労で倒れられ、過労死や障がいが残る、労災の補償や損害賠償がなされても、ご本人は戻らない。このことを忘れてはいけませんね。
「健康を守る」という大きな責任を忘れてはいけません!


2つ目は、大学で超過勤務手当の不払いの報道です。
大分大学で、2年間(07年12月~09年11月)、超過勤務手当の一部を支払っていなかったと発表がありました。対象者は教職員計336人、総額は計約2億4500万円、給料支給日の今月17日、一括して口座に振り込むそうです。

詳細は、各新聞等でご覧下さい。私の3つの「へぇ~」を
□発表では内部監査の結果だそうです(監督署が入ってではないということですね)
□不払い対象の9割が医学部の医師だったそうです
□一括で払うんだあ~!(資金難の会社では何ヶ月に分割できるか頭を悩ますのにねぇ~)

「2年間?その前もあったのとちがう?」という疑問も浮かびますか?
報道では、大学も2年前は調べていないそうです。どうして?
時効は2年、不払いについての請求権があるのは(労働基準法に基づき)2年だからですね。

協会けんぽの保険率決定

2010年02月16日 | 社会保険労務士
このブログでも先月末に取り上げました協会けんぽの新保険料率が決定しました。2月12日厚生労働大臣に認可されました。(保険料率は大臣の認可が必要になります)

平成22年3月から、ということは4月に納付する保険料から値上がりします。
全国平均で現在の8.2%から9.34%へ大幅アップです。
同時に介護保険料(40歳から64歳までの方=介護保険第2号被保険者)も1.19%から1.50%へ上がります。

月収30万円の方で、月額約1,700円(健康保険料)+約465円(介護保険料)の負担増になります。当然、会社も同額の負担増です。(保険料は労使で折半負担ですね)

関西の保険料をもう一度…、( )は今年度の保険料率
  滋賀県9.33%(8.18%)  京都府9.33%(8.19%)
  大阪府9.38%(8.22%)  兵庫県9.36%(8.20%)
  奈良県9.35%(8.21%)  和歌山県9.37%(8.21%)



続いて、こちらも再度の案内になります。

先日、日本年金機構は、「国民年金保険料の納付率の政府目標80%は現実離れした目標」として、見直しを発表しました。目標を引き下げるそうです。実際の保険料納付率は2002年度から60%台で低迷を続けています。

その国民年金保険料の前納について
国民年金の保険料は1年分を前納すると割引があります。
口座振替で1年度分を前納すると、年間3800円の割引になります。この割引額は年率4%で複利(12か月間)計算した額です。年平均では、約2.1%の割引となります。
これはお得でしょう!(銀行に預けているよりずっとお得ですよね^^;)

この制度の申し込みは2月28日までです。詳しくは↓↓↓
       http://www.nenkin.go.jp/zenno/index.html へ

可能ならまとめて払っちゃって下さい!

コンプライアンス経営へ No.10(年次有給休暇2)

2010年02月14日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第10回は、「年次有給休暇2」です。

前回に引き続いて「年次有給休暇」を取り上げます。
まずは、問題です。ア、イに当てはまる数は?

4月1日入社の新入社員は、10月1日(6ヶ月間継続勤務)まで、全労働日の8割以上出勤したので10日の年次有給休暇ゲットしました。
1年後も、8割以上の出勤だったので年次有給休暇は11日になります。
ところが、次の年は全労働日の8割以上出勤ができませんでしたので( ア )日になります。
その次の年は全労働日の8割以上出勤しました。年次有給休暇は( イ )日になります。

さて、8割以上は(出勤した日)÷(全労働日)ですが
年休を取得した日は出勤した日?休んだ日?混乱がないように規定があります。

会社には出てきてないけど、出勤した日とみなす期間は
1.業務上の負傷・疾病による療養のために休業した期間
2.産前産後の女性が、労働基準法第65条の規定により休業した期間
3.育児・介護休業法の規定による育児休業・介護休業・子の看護休暇をした期間
4.年次有給休暇を取得した日

また、そもそも全労働日に入れない日
1.使用者の責めに帰すべき事由による休業の日
2.正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くされなかった日

これが出勤率の計算の時の注意点です。
労働者に不利にならないようにされていますね。
でも、「出勤率が一定以上」が必要とされているのは、休暇を労働者に対する報償としてとらえる発想が根底になるような気がします。

「ちゃんと働いたものだけに年休の権利は発生する」
納得いく方、そうでない方に別れるような気がします。


さて、はじめの問題の解答は、アは0日、イは14日です。

国民負担率

2010年02月12日 | 社会保険労務士
【10年度の国民負担率、39%に微増 財務省見通し】
 財務省は10日、2010年度の国民負担率が39.0%になるとの見通しを発表した。09年度に比べ0.2ポイント上昇し、2年ぶりに前年度を上回る。高齢化の進展で社会保障の給付が膨らみ、国民全体の負担も増える格好だ。

 国民負担率は税金と社会保障費(社会保険料の支払いなど)の負担を合計し、国民所得で割って算出する。10年度の租税負担率は21.5%で、地方税収の落ち込みなどを受けて前年度比0.3ポイント低下する見通し。ただ社会保障負担率は0.5ポイント上昇の17.5%となり、この統計を開始した1970年以降の最高を記録する。

 将来の国民負担となる財政赤字も加えた「潜在的国民負担率」は52.3%。大型の景気対策で財政赤字が膨らみ、過去最高となった09年度の54.0%に次いで、2番目の高水準となる見通しだ。《NIKKET NET 2/11(01:03)》


  ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

大阪府在住でお勤めの方、月給が30万円(手取りではないですよ)の方の社会保険料
今現在は、
厚生年金保険料(15.704%)23,556円  健康保険料(8.22%)12,330円
健康保険料は、特定保険料(3.20%)と基本保険料(5.02%)に分かれています。
これに、40歳以上の方は介護保険料(1.19%)が加わり、最後に、雇用保険料(0.4%)です。

介護保険料は3月から、健康保険と厚生年金は9月にアップします。
雇用保険料も国会で案が通れば、やはりアップします。

ご本人だけでなく、会社も同じように負担しています。
(雇用保険は、事業主負担分は少し多いですね)

定昇も難しいところもあります。(ホント厳しい状況ですね)
保険料は、料率が毎年少しずつ上がっていきます。こちらの定昇はしっかりしてます。