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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

2009年度の年休取得日数の平均値…8.1日

2011年04月30日 | 社会保険労務士
 昨日から9連休の方もいらっしゃるでしょう。今日は、25日に独立行政法人の労働政策研究・研修機構(JILPT)から発表された「年次有給休暇の取得に関する調査」調査結果から
 なお、この調査がされた時期は2010年10~11月。会社員や公務員など3千人に調査票を配り、2283人から回答を得ています。

 それによると
■2009年度の初めの時点で権利として持っていた年次有給休暇の付与日数の平均値…24.6日
 ご存じのように年休の時効は2年ですから、この中には09年度新たに付与された年休(新規付与日数)と前年度からの持ち越された年休があります。
 それぞれは
  「新規付与日数」の平均値…14.1日
  「前年度から繰り越された年休付与日数」の平均値…10.2日

■2009年度の年休取得日数の平均値…8.1日
  所得日数は文字通り、「年次有給休暇を使った」すなはち「実際に取得して休んだ日数」です。
 年休取得率の平均値…51.6%
  取得率の計算は、(年休取得日数)÷(新規付与日数)で出しています。
  この場合には、前年度繰り越し付与日数を含まれません。

■年休を取り残す理由
 ○病気や急な用事のために残しておく必要があるから…64.6%
 ○休むと職場の他の人に迷惑をかけるから…60.2%
 ○仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから…52.7%
 ○休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから…46.9%
 ○職場の周囲の人が取らないので年休が取りにくいから…42.2%
 ○上司がいい顔をしないから…33.3%
 ○勤務評価等への影響が心配だから…23.9%

■年次有給休暇の計画的付与制度
 なかなか取ろうと思ってもとれない年次有給休暇。年休取得の特効薬とも言われているのが「計画的付与制度」です。これは、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分について、労使協定を締結することにより計画的に与えることができる制度です。
 さて、この計画的付与制度ですが
 ○「導入されている」とする者…21.8%
 ○「導入されていない」とする者…34.7%
 ○「わからない」…42.2%

 計画的付与制度が導入されていない者の44.8%が導入を希望しています。
 そして、導入希望割合は高くなるのは「年休の取得日数が少ない者」「労働時間が長い者」「上司が年休取得に積極的でない者」のようです。

■勤務先で年休取得率や年休取得日数などの目標を定めているか
 ○年休取得日数の目標のみを設定…14.5%
 ○年休取得率及び取得日数双方に目標設定…6.4%
 ○年休取得率の目標のみを設定…2.3%
 なんらかの「目標設定あり」は23.7%でした。
 規模別にみると、規模が大きくなるほど「目標設定あり」の割合はおおむね高まる傾向
 労働組合の有無別にみると、「労働組合がある」とする者のほうがその割合は高くなっています。

■企業が年休取得率や年休取得日数などの目標を定めることについてどう思うか?
 81.9%が目標設定を希望しました。
  「ぜひ設定してほしい」…36.6%「まあ設定してほしい」…45.3%

■3年前と比べて、年次有給休暇が取りやすくなっているか?
 ○取りやすくなった…18.1%
   「かなり取りやすくなった」「やや取りやすくなった」の合計
 ○取りにくくなった…20.1%
   「かなり取りにくくなった」「やや取りにくくなった」の合計
と、両者は拮抗しています。
 
 「取りやすくなった」と答えた方を対象に、その理由を尋ねると
 ○年休が取りやすい職場の雰囲気になったから…42.8%
 ○自分で積極的に取得するよう心掛けた…41.5%
 ○上司などからの年休取得への積極的な働きかけ…30.6%
 ○仕事の内容、進め方の見直し…19.9%

■連続2週間程度の長期休暇を取得した…2.2%
 ただ、「取得したいが仕事の都合がつかない」は56.0%をはじめ取得希望者は63.2%でした。

 「連続2週間程度の長期休暇を取得するために何が必要か」
 ○長期休暇を取りやすくするような職場の雰囲気の改善…61.5%
 ○休暇中のサポート体制の整備…53.1%
 ○経営トップが長期休暇取得促進に積極的であること…45.6%
 ○年次有給休暇の計画的な付与制度の導入…42.5%
 ○長期休暇を取ることで人事考課・査定がマイナス査定にならないようなルールの徹底…39.9%

 最後に、日経「連休中に読みたい ビジネスマンにお薦めの4冊」から
★イギリス近代史講義 川北稔(講談社現代新書 760円)
★渋沢栄一 1・2 鹿島茂(文芸春秋 各2000円)
★シュンペーター伝 トーマス・K・マクロウ(一灯舎 3800円)
★なぜリーダーは「失敗」を認められないのか
    リチャード・S・テドロー(日本経済新聞出版社 2000円)

コンプライアンス経営へ No.64(産前産後休業)2

2011年04月24日 | 会社の法律ミニレッスン
会社の法律ミニレッスン企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
 「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

 第64回は、「産前産後休業」その2です。

 労働基準法第65条
『使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。』

 今回は「不利益取り扱いの禁止」についてです。

□産前産後休業期間は無給でよいの?
 前回書きましたように、産前産後休業期間については、賃金の支払いが義務津けられていません。と言うことで、その期間の給与を支払わないことは可能です(ノーワーク・ノーペイの原則です)
 また、この間は、健康保険から出産手当金が支給されます。

では、賞与はどうでしょうか?
▽賞与額を賞与算定期間内の実勤務日数に応じて決めている場合
 産前産後休業による不就労の日数に応じて賞与を減額することは、それだけで直ちに違法とはなりません。
 しかしながら、例えば、
▽賞与算定期間内に一定以上の出勤を賞与の支給条件と定めている場合
 他に不就労がなくても産前産後休業だけで賞与が全額不支給にすることは、公序良俗違反として無効になると考えられます。
 どうして?産前産後休業をとると、経済的利益を得られない(=賞与が出ない)ことによって、法が保障した権利行使を抑制し(=産休を取りづらくなって)、法が各権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとして公序良俗違反と考えられます。

 参考になるのが、東朋学園事件(最高裁第一小H15.12.4)があります。

 賞与の支給要件として支給対象期間の出勤率が90%以上であることを給与規程に定め、その出勤率の算定に当たり、産前産後休業期間、勤務時間短縮による育児時間を取得した場合にも欠勤と同視して賞与を支給しなかった取り扱いの有効性が問題になった事案です。
 一審判決や控訴審判決では90%条項で産休や育児のための時間短縮を欠勤扱いとしたのは公序良俗違反で無効であるとして全額の賞与請求を認めたました。しかし、最高裁では、賞与全額を不支給にすることは認められないにしても、産休や育児のために短縮した時間分については就労していないのでその不就労の部分について賞与に反映することは違法ではないと言う判断をして、控訴審に差し戻しました。

 最後に、均等法第9条では「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱」を禁止しています。
 賞与や昇給の査定において、他の私傷病による欠勤については出勤と同様に取り扱っているのに、産前産後休業だけ欠勤として取り扱うと、それは無効になると考えられます。

6カ月以上前の過重労働で労災 東京地裁が認定

2011年04月23日 | 社会保険労務士
【6カ月以上前の過重労働で労災 東京地裁が認定】
  《日経Web 2011/4/20 11:42 》より

 埼玉県吉川市の男性(当時27)が2000年9月にくも膜下出血で死亡したのは、約半年前に退社した会社での過重労働が原因として、両親が国の遺族補償給付の不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(青野洋士裁判長)は20日までに、請求通り処分を取り消し労災と認めた。判決は18日付。

 原告側弁護士は「死亡の6カ月以上前の過重労働による労災を認める判決は初」としている。現在の労災認定基準によると、過労による脳や心疾患の労災認定は、発症前6カ月間に過重労働したことなどが要件となる。

 裁判では6カ月より前の勤務状況が労災認定の対象となるかどうかが争われ、判決は「タイムカードなど明確な資料がある場合は評価の対象となる」とした。(以下略)

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

  脳・心臓疾患を労災認定する上で基本的な考え方、対象疾病、認定要件を示したものが「脳・心臓疾患の認定基準」です。(社労士受験生には労災の復習となります。大切な所ですね。)

 業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務上の疾病として取り扱われます。認定要件は3つに分かれています。

□認定要件1「異常な出来事」
 発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと

□認定要件2「短期間の過重業務」
 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと

□認定要件3「長期間の過重業務」
 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

 長期間の過重業務の評価期間は、発症前おおむねに6ヶ月間とされていました。
 記事にあるように6ヶ月より前が認定対象になるかどうかが争われたわけです。評価対象になるとの判断が出されました。原告側弁護士は「初」と言われたのはまさしくその通りです。

 記事の続きです『判決などによると男性は1998年8月、都内の会社に入社。00年3月まで同社運営の複数のレンタルビデオ店で勤務し、同年9月に死亡した。月平均時間外労働時間は約60時間だった。不支給処分をした足立労働基準監督署(東京)は「判決を検討して判断する」としている。』
 さて、このあと、どうするのでしょうか?(争うのかどうか…?)

 「長期間の過重業務」については、「労働時間の評価の目安」があります。
(1)発症前1~6ヶ月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱いいと評価できる。
(2)月45時間を超えて長くなるほど、関連性は強まるいと評価できる。
(3)発症前1ヶ月間に100時間又は2~6ヶ月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症との関連性が強いと評価できる。
 以上を踏まえて判断するとされています。 

 なによりも過労死という不幸なことが起こらないことが一番です。

雇用・能力開発機構が9月末で廃止

2011年04月22日 | 社会保険労務士
 朝のブログで「雇用・能力開発機構」を廃止する法案が20日、衆院厚生労働委員会で民主、自民、公明各党の賛成多数で可決されたことを書きました。
 今日(22日)、廃止法案が衆院本会議で民主・自民などの賛成多数により可決・成立しました。
 法案は昨年10月の臨時国会で継続審議となり、今国会では参院ですでに可決されています。

 同機構は9月末で廃止となり、主な業務である職業訓練は新たに発足する「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に移管されます。「職業能力開発総合大学校」など基幹となる訓練施設が「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に統合されせ、10月1日から新機構を発足します。一方、全国に置かれた職業能力開発促進センターや雇用促進住宅は各都道府県に移管を目指していますが、各自治体は負担増に難色を示しており、こちらはまだまだ時間がかかりそうです。

 同機構は職業訓練と勤労者の財産形成を扱う厚生労働省管轄の法人で、「私のしごと館」(京都府、昨年閉館)、「中野サンプラザ」(現在は東京都中野区が運営)や健康施設「スパウザ小田原」(現ヒルトン小田原リゾート&スパ)など豪華施設が批判を浴び、官のムダの象徴としてやり玉にあがってきた機構でしだが、曲折の末ようやく廃止となりました。

 3500以上の職員が働いています。約3100人の職員はいったん退職するが、新たにつくる採用基準に合致すれば採用されるとのこと。とは言え、全員の雇用が約束されているわけではありません。

 朝のブログから変更しておりますm(_ _)m

被災者向け求人、全国で6404件 厚労省調べ

2011年04月19日 | 雇用
【被災者向け求人、全国で6404件 厚労省調べ】
    《日経Web 2011/4/19 1:51】より

 全国のハローワークに集まった東日本大震災の被災者向け求人が4月中旬時点で6404件にのぼることが厚生労働省の調べで18日、わかった。寮や社宅がついていたり、アパートをあっせんしたりするなど、住居を失った被災者に対応している。がれき処理や建設など復興関連の求人も126件あるという。

 4月15日時点で全国のハローワークに集まった求人件数をまとめた。1件あたりの募集人員は1~数人程度が中心。中小企業からの引き合いが多いという。

 受理した地域別でみると、東京が最も多く1211件、次いで埼玉の584件となっている。被災者のために引っ越しの費用を出すなどの求人もあるという。厚労省は地震に対応した雇用対策として、全国のハローワークで寮・社宅付きなど被災者を支援する求人を集中的に集めている。

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 中小企業庁では、東日本大震災の被災者の就職を支援するため、合同就職説明会の開催が発表されました。第1回目は5月9日に盛岡市の岩手県産業会館で開かれます。題して「がんばろう!東北 就職応援フェア」。

 盛岡を皮切りに、被災地の宮城、福島両県や、被災者が避難している東京都や埼玉県でも順次開催予定です。

 同時に、被災地の新卒者の雇用に積極的な企業125社が公表されました。
 詳しくはも中小企業庁のホームページ

 なお、厚生労働省の調べでは、大震災の影響で内定を取り消された学生は現在218人にのぼってそうです。

 最後に、厚生労働省から雇用・労働関係に関してリーフレットが出されています。
 こちらです。