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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表

2015年04月18日 | 社会保険労務士
 今年12月1日から始まります「ストレスチェック制度」の具体的な内容や運用方法を定めた省令、告示、指針が公表されました。

 ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度です。なお、従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務となっています。

 厚生労働省が公表している「省令、告示、指針のポイント」は以下のとおりです。

<省令>
 ○ ストレスチェックの実施頻度、検査すべき3つの領域、ストレスチェックの実施者となれる者、結果の記録の作成・保存方法、一定規模の集団ごとの集計・分析、ストレスチェック結果に基づく医師による面接指導の実施方法、労働基準監督署への実施状況に関する定期報告などについて定めています。

<告示>
 ○ ストレスチェックの実施者となれる者のうち、看護師、精神保健福祉士が修了すべき厚生労働大臣が定める研修の科目、時間を定めています。

<指針>
 ○ 衛生委員会の役割、ストレスチェックに用いる調査票、高ストレス者の選定方法、結果の通知方法と通知後の対応、面接指導結果に基づく就業上の措置に関する留意事項、集団ごとの集計・分析結果の活用方法、労働者に対する不利益取扱いの防止、労働者の健康情報の保護などについて定めています。

 そろそろ企業としても、ストレスチェックの実施準備を進める必要が出てくる時期になりました。制度の内容とどのような準備が必要かを説明するセミナーを弊オフィスでも開催します。関心のある方、どのように進めればよいか悩んでおられた経営者、経営幹部、人事担当のみなさんのご参加をお待ちしております。

 ★テーマ:ストレスチェックとメンタルヘルス対策
 ★日 時:4月30日(木)14:00~16:00
 ★会 場:総合生涯学習センター第7研修室(大阪駅前第2ビル5階)

 詳細は、こちらへ MIUコンサルティングオフィスセミナー24
 





労働基準法改正案の概要

2015年04月07日 | 社会保険労務士
今国会(第189回通常国会)に提出された労働基準法改正案の概要が公開されています。
施行期日は2016年4月1日(ただし、Ⅰ(1)については2019年4月1日)となっています。

成立すれば、中小企業では猶予措置がとられていた「月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)」が2019(平成31)年4月から始まります。
残業時間がなかなか削減することができない企業は、特に対策を講じなければなりません。小手先ではなく、抜本的な対策が必要です。
働き方、会社の進むべき方向が問われそうです。

概要を以下、紹介します。

Ⅰ 長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等
(1) 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
 • 月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(3年後実施)
(2) 著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
 • 時間外労働に係る助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を明確にする。
(3) 一定日数の年次有給休暇の確実な取得
 • 使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない)。
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進(※労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)
 • 企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組を促進するため、企業全体を通じて一の労働  時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。

Ⅱ 多様で柔軟な働き方の実現
(1)フレックスタイム制の見直し
 ・フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。
(2)企画業務型裁量労働制の見直し
 ・企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。
(3)特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
 ・職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
 ・また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)


労働基準法改正案を閣議決定し、国会へ提出

2015年04月05日 | 社会保険労務士
政府は3日、労働基準法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、国会へ提出しました。
2016年4月の施行を目指します。

働いた時間ではなく成果に応じて賃金を支払う新しい労働時間制度「ホワイトカラー・エグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)」の導入が注目されています。
改正の趣旨は「長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直しを行う等」となっています。

特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)では、対象業務および対象労働者の範囲が極めて限定的であるため、当面はほとんどの企業でこの制度を活用することは難しいと考えます。

この制度適用者には、健康確保措置が求められます。
長時間労働防止措置として、以下のいずれかの措置を労使委員会のおける5分の4以上の多数の決議で定め、講じる必要がある。
(イ)勤務間インターバルなどの実践的な対策
    始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、
    かつ、深夜業の回数を一箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。
(ロ)これまでなかった健康管理時間という概念が導入
    健康管理時間を一箇月又は三箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とすること
(ハ)1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を確保すること
とされています。

今回の労基法改正も底流には「働く人の健康を守る」が流れています。

過重労働など違法な労働取り締まり 特別対策班を新設

2015年04月03日 | 社会保険労務士
厚生労働省は4月1日、違法な長時間労働の監督指導に専従で当たる「過重労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)を東京労働局と大阪労働局に設置しました。
特別対策班には労働の専門家で逮捕権限もある労働基準監督官13人が配置されました。労働時間の記録がなく、指導が困難なケースなどに当たることを想定しています。
東京労働局で行われた発足式では、塩崎厚生労働大臣が、「過重労働による健康障害の防止と長時間労働対策は喫緊の課題。違法な長時間労働の撲滅に、全力で取り組んでほしい」と述べました。(PSRネットワークより)

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 3月27日の参院予算委員会で、労働環境を軽視する「ブラック企業」が社会問題化していることを踏まえ、安部首相は「社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を繰り返している場合には、是正を指導した段階で公表する必要がある」と表明がありました。

 守るべきは働く人の健康!

 これは「社員を大切に」のベースにあるものと考えます。