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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.8(振替休日と代休)

2010年01月31日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第8回は、休日その2「振替休日と代休」です。

「A君、忙しいので、次の土曜日、休みだけど出勤してね」と部長
「…、はい」(本当は○○の予定なんだけど)
「土曜日の代わりに次の月曜は休みにするよ」
「はい!」(じゃあ○○は月曜日にするか)

これは、振替休日です。
就業規則上の休日と定められた特定の日を事前に他の労働日と変更することを言います。
1.就業規則などに休日を振り替えることができるという規定が必要です
2.本人に、事前に、振り替える日を特定して、振り替える

あらかじめ休日を振り替えると、この土曜日は通常の労働日になります。
三六協定も割増賃金の支払いもいりませんと言われていますが…、どうでしょうか?

1日8時間、月曜から金曜の5日が通常の勤務とします。
土曜日は振り替えました。休日労働にはなりません。
(もし日曜日が法定休日なら、土曜日は所定休日で休日労働になりませんね)
でも、週40時間を超えていますから(40H+8H)、超過分の割り増しが必要です。
同一週内での振替でないと、この問題は起こります。

普通は1週間は日曜始まりですが、土曜日を週の始まりにするとどうでしょうか?
土曜出勤がよくあるという会社では一考の余地がありますね。


振替休日と似ているのが「代休」という制度です。
「A君、忙しいので、次の土曜日、休みだけど出勤してね」と社長
「…、はい」
これで終わりです。
この日は休日労働(もしくは時間外労働)ですので、割増賃金の支払いが必要です。
しばらくしてから、社長が「A君、この前の土曜の代わりに金曜休みにしていいよ」
使用者が後日、恩恵的に適当な労働日に休みを与えるのが「代休」です。
代休の日は無給か有給かは当事者の定めによります。無給だと「土曜」の代わりに「金曜」が休みで相殺されます。したがって割増賃金分(35%または25%)の支払いで済みます。

後日、社長が「A君、この前の土曜の代わりに休みを取っていいからね」
けれども、忙しくて代休が取れません。月が変わってしまったらどうしますか?
賃金全額支払いの規定があるので、135%(または125%)通常分+割増賃金分の支払いが必要です。

やっぱり長くなりました<(_ _)>
今日も長い長い文を最後までお読みいただきありがとうございました。


協会けんぽ 都道府県別の保険料率決定

2010年01月29日 | 社会保険労務士
全国健康保険協会は、来年度の「都道府県別の保険料率(労使折半)を決定について(案)」が出されました。
全国平均の保険料率は現在の8・2%から9・34%へと大幅に上昇しています。

景気悪化による賃金の低下に伴い、保険料収入が大幅に落ち込んだことが影響しているようです。

中小企業の従業員らが加入する協会けんぽ(旧政府管掌健康保険、約3500万人)は、都道府県毎に料率は異なります。
一番料率が高いのが北海道(9・42%)、低いのは長野県(9・26%)です。今年度と同じですが、両者の格差は0・11ポイントから0・16ポイントに広がっています。
関西では、( )は今年度の保険料率
滋賀県9.33%(8.18%) 京都府9.33%(8.19%)
大阪府9.38%(8.22%) 兵庫県9.36%(8.20%)
奈良県9.35%(8.21%) 和歌山県9.37%(8.21%)

これは月収が28万円の被保険者にとって月額約1,600円の保険料負担増であり、賞与も含めた年額では約24,000円の負担増です。当然、労使折半ですから会社も同じように負担増になります。

また、毎年3月に見直しが行われる介護保険料率についても現在の1.19%から1.50%へと0.31%の引上げを予定されています。

苦しい状況に追い打ちを掛けるような負担増ですが、協会けんぽの財政悪化を受け、政府は国庫補助率を13%から16・4%に引き上げます。大企業の健保組合などからの支援も見込み、本来9・9%まで引き上げる必要があった保険料率を9・34%に抑えました。
それでも1・14ポイント増と過去最大の引き上げ幅なんですね。

一方で、関西の企業が運営する健康保険組合でも保険料率の引き上げの動きが広がっています。収支悪化の状況は深刻だそうです。

皆保険制度は日本が誇る制度と言われていますが、医療費の支出が大きい後期高齢者の保険料負担割合などの抜本的な見直しが必要ですね。難しい問題です。

労働審判…不況で紛争急増

2010年01月27日 | 社会保険労務士
昨日の朝日新聞夕刊に「長引く不況の影響で、裁判所への労働審判の申し立てが急増している」という記事がありました。

さて労働審判って?と思われる方もおられるのではないでしょうか。

この制度は、労使がもめたときの解決方法の一つで2006年4月から始まりました。解雇の効力、賃金の不払い請求、損害賠償等の労働者個別の労働紛争が対象になっています。
裁判となると長期化、費用が高いなどが懸念されますが、労働審判は
1.手続きが簡易で迅速であること
2.早期解決が可能(原則3回以内で審理、調停を試みる)
3.当事者の実情にあった解決ができる
4.費用が低額(申し立て費用は民事訴訟の半額程度)
が利点と言われています。

労働審判委員会は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係の専門家である2人の労働審判員の計3人で構成されています。
調停の成立(7割弱で成立しています)または労働審判の受諾で紛争解決になります。労働審判に不服の場合は、2週間以内に異議申し立てをして訴訟に移行となります。

労使当事者の納得のゆく解決ができることから一定の評価を受けています。
申し立て件数は、06年4月~12月は877件、07年は1494件、08年は2052件、昨年は10月までで2850件だそうです。

記事は、およそ3ヶ月以内で結論がでる迅速性が、急増のあおりで時間のかかる地域が出ている問題を指摘していました。


どんなにきっちりと経営をしていても思いが伝わらなくてトラブル発生と言うことはあるでしょうね。改めて、いろいろな意味で問題が起こる前の対策の重要性を感じます。

人材を大切にする経営

2010年01月26日 | 社会保険労務士
「人材を大切にする経営」を提案します。
これは、今日の日経30面にある全国社会保険労務士連合会会長金田修氏の言葉です。

下には「経営者と労働者の皆様が『いきいきと働ける職場をつくる』これが私たち社会保険労務士の使命です」とあります。


私の思いもこの言葉通りです!
知識と知恵をフルに活用して役に立ちたいと…、考えています。

「今、これといって大きな問題はないのですが、このいい職場環境を維持し発展させたい」と思っておられる社長さんと部長さんのお話を伺う機会がありました。私にとっては本当に心地よい時間でした。自社に対する誇りと社員への愛情を感じました。
暖かい経営者の下で働くことは幸せなことですね。

誤解してはいけないのは、仕事は厳しいということです。会社は維持そして発展していかなければならないのですから、そのためにそれぞれが能力を発揮して労務提供するのは当たり前の話です。

よい環境だから、よりいっそうやる気が出てくるといういいサイクルで回っていきますね。
でも、勘違いする人はやっぱりいます。

それを防ぐための仕組み作りが重要になってきます。
人を大切にすることは「甘く」なることではありません。企業が必要とする当たり前のことを当たり前にやっていくための「いい仕組み」をつくることが私たち社会保険労務士の役割です。

よい仕組み作りを私も日々一生懸命に考えています。

コンプライアンス経営へ No.7

2010年01月24日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第7回は「休日」です。

「休日」「休暇」「休業」似たような言葉が並びます。あと「振替休日」と「代休」
どれも働かない日ですが…

休日は、休みの日=そもそも働かなくてよい日=働く義務がない日です。
休暇(年次有給休暇や特別休暇)や休業(育児休業)は、働く義務を免除された日です。
休暇と休日は違うものとして区別します。


その休日については、労働基準法第35条で
『使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。』と定めています。
でも、週に1日が難しいという職場もあるでしょう。そこで、
『2 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。』となっています。

□□休日は約束(労働契約)で働く(労働)義務のない日
休日は週に1日なければならないのですが、曜日の特定までは求めていません。
でも、働く者には決まっている方が良いに決まっていますよね。決まっていないと不便です。そこで「就業規則でできるだけ休日を特定するように」と行政通達で言われています。

□□1週間始まりは?
就業規則に特別の定めがなければ、日曜から土曜までです。
逆に言うと、週の始まりは会社独自で決めて良いと言うことです。土曜を週の始まりにするといいかも…

□□休日の始まりは?
休みは午前0時から午後12時までです。すなわち暦日です。
ウチは午前9時から翌日午前9時までの一昼夜交代勤務の場合に、午前9時からの24時間を1日とすることは出来ません。例外はあります。番方編成(8時間3直3交替)などの交替制は継続24時間の休息で休日1回が認められています。あと、旅館業のフロント係の人や長距離トラックのドライバーの方の休日も同じような特別な規定があります。

□□法定休日と所定休日
4月1日施行の改正労基法の60時間超の割増賃金率と代替休暇で注目されるのが法定休日です。法で定められた週に1日の休日を「法定休日」言います。
「ウチは土日の2日休み」の会社も多いでしょう。1日は法定休日で、もう1日は法定外休日(=所定休日)といいます。
おたくは、法定休日は土曜ですか日曜ですか?と聞かれても「?」の会社も多いと思います。決めない方が何かとお得だったり便利だったりで、わざと特定していなかったという場合も多くあります。でも、4月からはきっちりと決めておいた方が良いですよ!

□□4週4日(=変形休日制)
シフトを組んでという職場では利用されている所も多いのではないでしょうか。
注意点は1点だけですね。4週間を通じて4日以上の休みがあればよい制度ですが、「いつから4週間」の「いつから」をはっきりと決めておくという点です。「いつから」を起算日と呼んでいます。
どの4週間を区切ってもではありません。起算日から4週間ごとに区切って、その間に4日以上の休日があれば良いので、お間違えなく。


振替休日と代休が残ってしまいましたが、これは次回以降で…

今日も長い長い文を最後までお読みいただきありがとうございました。