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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

コンプライアンス経営へ No.12(過半数代表者)

2010年02月28日 | 会社の法律ミニレッスン
企業へのコンプライアンス(法令遵守)の要請は高まっています。
「知らなかった」では済まなくなってきています。日曜日、「会社の法律」をお勉強!

第12回は、「過半数代表者」です。


年度末を控えて、36協定などの労使協定を締結する事業所も多いのではないでしょうか。こんな判決が出ました。

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【再雇用拒否は「不当」横浜地裁】

川崎市川崎区のタクシー会社「京浜交通」の元運転手である同市幸区の男性(62)が、継続雇用の条件に適合しないとして再雇用を拒否されたのは不当労働行為に当たるとして地位確認などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁川崎支部は25日、男性の請求を認め、再雇用するよう言い渡しました。

2008年1月、男性は雇用継続を会社に申し出ましたが、就業規則で定める条件に該当しないとして、再雇用を認めらませんでした。

判決などによると、再雇用制度を導入する場合、希望者全員を再雇用するのが原則ですが、各企業の実情に応じ条件を定め、その条件に該当する者を再雇用することが認められるとしています。

裁判長は、再雇用制度を導入するには就業規則の変更手続きが前提で、そのためには、労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要ですが、「労働者の過半数を代表する者は選出されていなかったし、労働者側に代表者を選出するように要請することもなかった」として、手続き自体が無効であると判断しました。

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労働基準法でいう労使協定とは、使用者とその事業場の過半数労働組合(そのような組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)が、特定の制度を実施する前に締結する書面協定をいいます。

こんなことをする場合は、労使でしっかりと話合って約束をして下さい!と言う趣旨ですね。過半数労働組合がない場合は「労働者の過半数を代表する者」を決めなければなりません。

■「労働者の過半数」と言うときの労働者の範囲はどうなっているのでしょうか?
ハートやアルバイトは?契約社員は?兼務役員は?病休などの休職者は?管理監督者(労働基準法第41条第2号)は?

…すべて労働者に含まれます。
含まれないのは、受け入れている派遣労働者くらいですね。


■協定等をする者を選出することを明らかにして投票や挙手等の方法で選出しなければなりません。
「○○君、ちょっと来て!ここに名前とハンコを押してよ」
ではダメだと言うことです。


■法第41条第2号に規定する「監督または管理の地位にある者」は過半数代表者になれません。
「○○部長、お願いしますよ!」は無理と言うことですね。


選出にあたって、これらの手順を踏む必要があります。「過半数代表者」とは認められないと、上のような判決になってしまうと言うことですね。
36協定が無効になると大変ですよ!きっちりと選んで下さいね!

「なるほど」と納得には…

2010年02月27日 | 社会保険労務士
昨日午後1時過ぎは移動中でした。携帯のTVを見ている人が多かったですね。
素人の目には、2人の違いはわかりません。同じように見えるけど…、やっぱり「真央ちゃんの方がいいのとちがう?」と思ってしまいます。安藤さんはノーミスなのにどうして点が伸びないの?言い出せば、次々と…。
今は「キム・ヨナと浅田真央の得点比較」まで新聞やネットに出ているんですね。
これで「なるほど」と納得しました?

さて、御社の人事評価でも同じことは起きる可能性はあります。
「どうして○○さんより低いんだ」「どうして私がBなのよ!」
説明はどこまでされますか?

社員の不満に付き合っているとキリがない、と考える方
きっちりと理解してもらわないとやる気に影響する、と考える方

ある程度の人数までなら可能かなと思いますが、評価がすべての人に納得・理解を得るのは難しいかもしれませんね。
得点表を明示できますか?資料は見せないで説明ですか?

公平性は重要な要素です。そのためにオープンにすることも有効でしょう…
でも、その前に正しく評価してくれている、されているという思いが必要ですね!
なによりも評価者への「信頼性」が大切です!

労使紛争が昨年の3割増

2010年02月25日 | 社会保険労務士
暖かいですね。
最近、アップの時間が…^^;(目標の「午前9時までに」が、ほど遠い状況です)


【労使紛争が平成で最多 中労委調査、09年3割増の733件】
 中央労働委員会は24日、2009年に全国の労働委員会があっせんや調停を行った集団的労使紛争は733件で前年より32.7%増え、平成に入り最多だったと発表した。同委員会は「リーマンショックを機に企業の経営が悪化したことが背景にある」とみている。

 個人と使用者の個別労働関係紛争のあっせん件数も534件で、同20%増えて01年の制度開始から最多となった。。《NIKKET NET 2/25(07:00)》


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集団労使紛争では
賃金に関するものが336件(前年比38.4%増)
…使用者側の経営悪化による賃金体系の変更や賃金減額が目立ちます
経営・人事に関するものが346件(前年比40.9%増)
…このうち解雇が191件を占めました

個別労働関係紛争では
賃金未払いに関するものが114件、整理解雇が78件あったそうです。

もめ事が起こらないようにするには?難しい問題です。
どんなに誠意を尽くしても伝わらないことは残念ながらあります。

改めて、約束はきっちりと(誤解のないように)しておくことが重要だと感じます。

春は?

2010年02月24日 | 社会保険労務士
昨日は「改正労基法セミナー」を開催しました。
参加していただいた方,ありがとうございました。
シンプル改正のようで,実務や運用を考えると思いの外ややこしいのが今回の改正です。
あと1ヶ月,準備万端で迎えたいものですね。


次回は,6月30日施行「育児介護休業法」がテーマかな?と考えていますが,派遣法も…
今日,厚生労働省は
「平成22年2月17日に労働政策審議会(会長 諏訪 康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授)に対して諮問した「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について、本日、同審議会から厚生労働大臣に対して、『厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。』と答申が行われた。
厚生労働省としては、これを受けて法律案を作成し、国会に提出する予定である。」と公表しました。

このままで行くのでしょうか?
(ついでに、社労士受験生のみなさん「諮問」そして「答申」ですよ)


また,同日発表された2009年の賃金構造基本統計調査では
35~39歳の正社員の平均賃金は31万600円(前年比3.4%減)で、年齢階級別で最も減少幅が大きかったようです。次に減少幅が大きいのは40~44歳でした。35万3100(3.1%減)
働き盛りの世代の給料が厳しい状況がよく分かりますね。

全正社員の平均賃金は31万400円(前年比1.9%減)で,3年連続のマイナスです。男性正社員の賃金の減り方も厳しいデータ結果が出ています。


今週に入って寒さが緩み、今日はコートなしでした。春の陽気でしたが…
景気、雇用…、まだ春遠しですかね?

職場における受動喫煙防止対策に関する検討会

2010年02月22日 | 社会保険労務士
今日は2が5つ並ぶ日なんですね…(記念切符???)


厚生労働省には「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」なるものがあります。
職場での受動喫煙防止対策について検討しているそうです。
検討会が「受動喫煙を防止するため一般の事務所や工場などの施設は、全面禁煙ないし空間分煙とすることが必要」と報告書骨子(案)が公表されました。

以下、その抜粋です
◆職場における受動喫煙に係る現状
 職場における受動喫煙に係る現状は、「事業所全体を禁煙にしている」又は「喫煙室を設け、それ以外を禁煙にしている」といった有効な措置を講じていない事業場の割合は、全事業場の54%。特に規模の小さい事業場において取組が進んでいない状況。ただし、事務所全体を禁煙にしている割合は、規模の小さい事業場の方が規模の大きい事業場よりも多い。(平成19 年労働者健康状況調査)

こんな事案も出ているそうです。
労働者が、職場での受動喫煙で化学物質過敏症になったとして、会社に慰謝料などを求めた訴訟で、会社側が金銭を支払うことで、平成21年3月に和解したなど、職場における受動喫煙が原因で健康を損なったとして事業者を訴える事案も出てきている。

◆今後の職場における受動喫煙防止対策
職場でばく露するたばこ煙は職場における健康リスク要因。
受動喫煙のない職場が「快適」であることには変わりないが、このように有害性がはっきりと認識されてきていることにかんがみると、今後は、快適職場形成という観点ではなく、労働者の健康障害防止という観点から対策に取り組むことが必要とされています。続けて
職場は労働者が選択することが容易でなく、しかも一定の時間拘束されること、事業者には安全配慮義務があることを考慮に入れると、労働安全衛生法において、労働者の健康障害防止に着目した受動喫煙防止対策を検討することが必要。

安全配慮義務があるわけです。

◆具体的な措置
一般の事務所や工場などの施設においては、「全面禁煙」または「空間分煙」を求めている。空間分煙は一定の要件を満たす喫煙室でのみ喫煙を認めるということです。

飲食店などは難しいですよね。お客さんに禁煙っていうと来店されないといこともまだまだあります。(禁煙の居酒屋は…)換気などにより可能な限り労働者の受動喫煙を防止が必要とされ、禁煙タイムの導入も考えられるとしています。


さて、ますますタバコ愛好者には厳しい状況になってきました。でも「健康」が一番!
自分の出す煙で周りの人の健康が損なわれていると考えると取るべき姿は自ずと決まってきますね。禁煙??いやいや、せめて良きマナーを!