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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

「名ばかり」店長、コナカと和解

2010年02月09日 | 社会保険労務士
今日は暖かいですねぇ~

【「名ばかり」店長、コナカと和解 未払い残業代訴訟】

紳士服大手のコナカ(横浜市)の店長2人が、職務権限が与えられていないのに残業代が支給されない「名ばかり管理職」だったとして、未払い残業代計約1280万円の支払いを求めた訴訟は8日、横浜地裁で和解が成立した。会社側が解決金を支払う内容で金額は非公表だが、原告側は「十分に納得できる額」としている。

 店長らは08年4月、未払い残業代の支払いを求めて同地裁に労働審判を申し立てた。同年8月に地裁は店長らの主張を認める判断をしたが、支払額でまとまらず、裁判に移行していた。《asahi.com 2010年2月8日19時8分》

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店長が管理監督者か否かは、ご存じのように、マクドナルドの現役店長を「管理監督者ではない」と認めた東京地裁2008年1月の判決から注目を集めるようになりました。新聞がネーミングした「名ばかり店長」「名ばかり管理職」はあっという間に広がりました。
でも、正確には「名ばかり管理職」ではなく、「名ばかり管理監督職」ですね。

管理職と労働基準法第41条にいう管理監督者は違います。管理監督者は正確には「監督若しくは管理の地位にある者」と言います。
管理職の範囲は各企業が就業規則で決めることができます。
一方、「監督若しくは管理の地位にある者」は「労基法が規制する労働時間、休暇、休日等の枠を超えて活動することが当然とされる程度に、企業経営上重要な職務を有し、現在の勤務形態もその規制になじまないような立場にある者をいう」(株式会社ほるぷ事件 東京地判平9.8.1)、また判断については「具体的勤務の実態に即して検討すべき」とあります。

難しい言葉が並びました。
とにかく、残業代を支払う必要がない「管理監督者」=「管理職」ではないわけです。


「管理監督者」は残業代の支給が義務づけられていないことを悪用することは許されないのは当然です。十分な経験を積まないうちに「管理職」に就かされ、長時間労働、労働量に見合わない低い賃金で酷使され、体調を崩す人も出ている、これは当然に正されなければなりません。労働者の健康を守ることは最優先にするべきことです。社員全員に肩書きを付けて「管理職扱い」にする。このような悪質な例は摘発されるべきです。

ただ、このような悪質は別として、実態に即して考える時に簡単に線引きをすることは難しいなあと感じています。実態に即して、かつ法令遵守で…。